スマートフォンメーカーのOPPO(欧珀)は、2022年12月15日の新製品発表イベントにおいて、フォルダブル(折りたたみ)スマートフォンの第2世代となる「Find N2」を発表しました。
発展途上のフォルダブル端末、OPPOはその開発に力を入れている数少ないメーカーの一つです。中国国内では12/256GBモデルが7999人民元(約15万6600円)、16/512GBモデルが8999人民元(約17万6200円)という価格設定になっており、決して安いとはいえません。
グローバル販売については明らかにされておらず、日本でこの端末を手にする日が来るのかもわかりません。それでもこの話題に触れたいと思うのは、OPPOが国内での存在感を急速に増している近況を鑑みてのことです。

IMAGE BY OPPO
Huaweiの次を担うテックジャイアント
OPPOは2018年から日本市場に参入し、エントリー向けの「Reno A」シリーズや性能が光る「Find X」シリーズなどを展開。国内でもB to Cのスマートフォンブランドとして広く認知されるようになりました。
カウンターポイント・リサーチによれば、OPPOは本来の中国市場でも目覚ましい拡大を続けています。中国国内ではHuawei(華為技術)の衰退に乗じて、Vivo(維沃)と共にスマートフォンの市場シェアを独占するまでに成長しました。
ところが世界に目を向けてみると、企業規模に比してその名はあまり知られていません。
OPPOは中国BBKエレクトロニクス(歩歩高電子)グループが有するブランドの一つ。BBKはOPPO、Vivo、Realme、OnePlus、IQOOと5つの主力ブランドを有しており、地域ごとに棲み分けがなされています。たとえばOnePlusはアメリカやイギリスを中心に広く展開していて、多くの人はそれが中国企業であることを強く意識せずに親しんでいます。
グループ全体でサムスンやアップルをも凌ぐ市場が形成されるなか、システムやソフトウェアがブランド間で共有される例も増えてきました。たとえばOnePlusの端末で親しまれている「Oxygen OS」は、既にOPPOの「Color OS」とコードベースが統合されています。
「これからリソースの共有が進むでしょう。そしていくつかの技術は、将来的に2つのブランド間でしようし、共有できるようになります」—— OnePlusの共同創設者であり、OPPOの最高製品責任者でもあるピート・ラウ(劉作虎)は、2021年の技術イベントでこう語っています。
別々のエコシステムとして認識されてきたこれらのブランドが内面から統合されるとき、日本国内での存在感はよりいっそう高まるかもしれません。「OPPO Find N2」が中国市場で成功すれば、その派生が日本を含む世界中に展開され得るのです。
注目すべきテクノロジー
新しいフォルダブル端末で最も注目すべきテクノロジーは、やはりヒンジにあるでしょう。第2世代となる「Flexion Hinge」は構造の小型化と安定性に貢献しています。折り曲げた状態であっても、インナーディスプレイにすき間ができることはありません。

PHOTOGRAPH BY OPPO
画面の”折り目”は先代よりも目立たなくなっており、開け閉めによる画面やヒンジ構造の劣化にも対策がなされています。カバーディスプレイの大きさは5.54インチで、「Galaxy Z Fold4」のビルのように細長い見た目と比べれば、常識的なアスペクト比に見えます。
さらに先代から約40g軽くなったことで、片手使いも許容できるプロポーションに仕上がりました。スウェーデンのカメラブランドで知られるHasselblad(ハッセルブラッド)と共同開発した画像処理システムも目玉の一つで、カメラバンプにはハッセルブラッドのロゴが印象的に刻まれています。

IMAGE BY OPPO
フォルダブル展開が一つの転機に?
全体的なクオリティーは最盛期のファーウェイ端末を彷彿とさせるもので、フォルダブル特有のヒンジ構造を含め莫大な開発負担が想像できます。だからこそ合理的に考えて、中国国内にオーディエンスをとどめておくことは勿体ないと思うのです。
ファーウェイと同じ轍を踏まないように、たとえば欧州で広く受け入れられているOnePlusのようなブランドを使って、類似のハードウェアを展開するかもしれません。
OPPO単独よりも広大なエコシステムを構築し、シャオミ(Xiaomi、小米集团)やほかの中国企業がいまだなし得ないスマートフォン市場の”世界征服”を実現するかもしれません。
注目度の高いフォルダブル、そしてライバルとなるサムスンに価格面で優位にたつ「OPPO Find N2」。日本国内で販売されれば、OPPOの存在感がよりいっそう高まることは間違いありません。消費者サイドの私たちとしては、今後の動向を期待して見守っていきたいところです。
SOURCE