Notionは、ビジネスやプライベートのタスク管理、プロジェクト管理、ノート作成など幅広い場面で使用される仕事効率化ツールです。
2023年2月には、Notionのワークスペース上で利用できるAI機能「Notion AI」をリリース。文章の要約や翻訳、ライティングからアイデア出しまで、作業の自動化やより高度なタスク管理が可能になりました。
この記事では、NotionのAI機能を使いこなすためのガイドと題して、ほかのAIサービスと比較しながら Notion AIの特長、主な機能、使用例を解説していきます。
Notion AIを使うための準備
料金プラン
Notion AIには無料トライアルが用意されていますが、1ユーザーあたり20回までの使用に制限されています。したがって継続的にNotion AIを利用するには、サブスクリプションへの登録が必須となります。
- Notionの有料プランに加入済
年払い: 月額8ドル/人
月払い: 月額10ドル/人 - Notionをフリープランで使用
月額10ドル/人
Notionの有料プランとNotion AIは別のプランで管理されています。つまり、Notion自体はフリープランでもNotion AIを個別に契約して使うことができます。
ほかのAIサービスと比較すると、Notion AIは比較的リーズナブルな価格設定になっています。たとえば「Chat GPT Plus」は執筆時点で月額20ドルですから、Notion AIはその半額で利用できることになります。
ただしChat GPTには無料プランがありますから、課金前提のNotion AIは導入のハードルが高いかもしれません。また、チームでNotionを利用する場合は人数に応じて料金が加算される仕組みのため、注意が必要です。
Notion AIを呼び出す
IMAGE BY QUEST
Notion AIは下記に示すようないくつかの方法で呼び出すことができます。
- ワークスペース上でスペースバーを押す
- スラッシュコマンド/、/aiを入力する
- 全角;を入力する
- command+Jショートカット
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また、テキストを選択してから「AIに依頼」をクリックすることでも呼び出せます。既存の文章を修正する場合に有用です。
Notion AIの基本機能
VIDEO BY NOTION
Notion AIでは用途を限定せずに様々な使い方ができますが、特定のケースを想定した便利なプリセットも用意されています。ここでは、Notion AIに実装されている代表的なプリセットをご紹介します。
プリセット機能 | |
新規のドラフト作成 | ・ アイデアのブレインストーミング ・ ブログ投稿 ・ SNSの投稿 ・ アウトライン ・ プレスリリース ・ 創作ストーリー ・ エッセイ ・ 詩 ・ ToDoリスト ・ 会議のアジェンダ ・ 長所・短所のリスト ・ 職務経歴書 ・ 営業メール ・ 求人募集メール |
既存の文章を改善 | ・ 文章を改善する ・ スペルと文法を修正する ・ 短くする ・ 長くする ・ トーンの変更 ・ シンプルな表現に書き換える ・ 要約する ・ 翻訳する ・ 説明を付ける ・ アクションアイテムを抽出する |
既存の文章に付け足し | ・ 続きを書く |
新しいコンテンツを作る
新規ページや行でspaceキーを押して、プロンプトを入力します。
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ブレインストーミング(ブレスト)は、自由な発想で多様なアイデアを出すための手法。「質より量」を念頭にアイデアを量産することで、新しい視点やアプローチが生まれやすくなります。
Notion AIを使うと、指定したテーマに関する複数のアイデアを自動で出力してくれます。
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テーマを指定すると、構成から実際の文章まですべてNotion AIが代筆してくれるという凄まじい機能です。あらかじめ見出しを作成しておいて、Notion AIに中身を書いてもらう、といった使い方もできます。
実際はところどころ文脈が崩れていたり、かなりの確率で誤った内容が含まれていたりと、実用性には現状難があります。あくまで草案として活用するにとどめ、裏取りと書き換えを併用するのが現実的でしょう。
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テーマを指定して、SNSへの投稿文を生成することもできます。「ですます調」だと少々堅苦しさがあるため「ラフな書き口で」と指定したり、「100字以内で」と指定することで思い通りの文に仕立てることができます。
既存のコンテンツを改善する
修正または改善したいテキストを選択し、「AIに依頼」をクリックします。
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既存のコンテンツの文調を変える機能です。「フォーマル」「カジュアル」「率直」「堂々とした」「フレンドリー」の5種類が用意されており、シーンに応じて文体を自在に変えることができます。
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ワークスペース上の文章を要約する機能です。文章の前にspaceまたは/aiを打ち込み、「要約する」を選択すると、200文字程度にまとめてくれます。
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試しに「ROG Zephyrus G14」のレビュー記事を要約してもらったところ、3000字以上の長文が見事な要約文にまとめられました。
カスタムAIブロックを活用しよう
他のAIサービスにはないNotion AIの特長として、「カスタムAIブロック」という機能があります。
カスタムAIブロックは/customで呼び出し、任意の命令を登録して 、データベースのテンプレートに埋め込むことができます。これにより、同じ命令を異なるページ、異なる日時で使い回せるようになります。
ブックマーク記事の要約
カスタムAIブロックで記事の要約を作成する様子。 IMAGE BY QUEST
たとえば「この記事を要約して」というカスタムAIブロックをテンプレートに組み込めば、あとで読む記事の要約をAIが自動で作成してくれます。
- ページ画面で「新規」横のvをクリック
- +新規テンプレートをクリック
- /customでカスタムAIブロックを設置し、保存する
アクションアイテム
会議やプロジェクトで雑多にとったメモから、対応が必要なアイテムやタスクを抽出してくれる機能。普通に利用しても良いですが、カスタムAIブロックをテンプレートに仕込んでおくと、ワンクリックでToDoを作成できて便利です。
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Notion AIの活用事例とTips
コードを書いてもらう
記述言語と内容を指定すると、コードを実際に書いてくれます。以下の例では、与えられた文字列から表を生成したうえで、htmlの記述を指定。複雑な指示ですが、ほぼ完璧な回答を返してくれました。
出力結果
Mermaid で図を作成する
MermaidはMarkdownにおいてテキストベースでグラフやチャートを描くための記法です。Notion AIを利用すると、コードを知らなくてもMermaidを用いた円グラフやシーケンス図を作成することができます。
出力結果
なお参照元や出典は記載されないので、データの正確性には注意が必要です。
音声を文字起こし→Notionで要約する
Notion AIと外部の文字起こしソフトを組み合わせれば、会議や講義などの音声情報をテキストベースで管理することができます。
たとえばQuestでも過去に取り上げた「Notta」にはNotionとの連携機能があります。Nottaは議事録作成に特化したアプリで、非常に優れた文字起こし精度が特長です。
自動文字起こしアプリ「Notta」には、音声をテキスト変換し、Notionにエクスポートする機能がある。 PHOTOGRAPH BY KUJO HARU
Nottaで起こした文章をノートとしてNotionに転送すれば、あとはNotion AIに文章の要約を指示するだけ。学校の講義やセミナー、プレスの記者会見等、さまざまなシーンで活用できると思います(録音の許可は取ってくださいね)。
さらにNotion AIでは文章を別の言語に翻訳したり、原文と訳文を並べて表示することができます。文字起こしとの連携は、外国語の学習にも役立ちそうです。
Notion AIで仕事効率化を
Notion AIはアイデアのブレストから記事執筆、プレス作成、議題の要約まで、幅広い分野のドラフト作成に有用なサポートツールです。
ほかのAIサービスと比べて文字数や回数の制限がなく、文章作成に特化した豊富な機能が特長。Notionのワークスペース上で利用できるのがなによりの魅力で、デバイスを問わずアプリ内で直接AIを呼び出せるのは非常に効率的と感じます。
Notionはユーザーからのフィードバックをもとに、Notion AIの機能を拡張していく予定とのこと。今後の動向から目が離せません。
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