BECOME A MEMBER

SEEKERS

ガジェット・モノ好きが集う情報共有プラットフォーム。モノやサービスのアイデアを、 記事にして共有しよう。

Review

テクノロジーの価値を創造する Nothing Phone (1) は、 刺激を求めるユーザーにぴったりの一台だ : 実機レビュー

初めてのスマートフォン、それも生まれて間もないスタートアップから放たれた一台が、ここまで注目を集めているのは何故だろう。ブランド初のスマートフォンとなる「Nothing Phone (1)」は、刺激的なデザインだけでなく、価格以上の機能性を備えた一台だ。
本サイトはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています (詳細

初めてのスマートフォン、 それも生まれて間もないスタートアップから放たれた一台が、 ここまで注目を集めているのは何故だろう。

英国発のNothing Technologyは、 スマートフォンメーカーのワンプラス(OnePlus、 万普拉斯)の共同創業者として知られるカール・ペイ(裴宇)が立ち上げたスタートアップだ。

21年に発売されたイヤホン 「Nothing ear (1)」 は新ブランドの製品第1弾にして、 ギーク層を中心に一定の評判を集めた。 ところが、 これは同社が思い描く壮大なエコシステムの始まりに過ぎなかった。

ペイが第2弾のプロダクトに選んだのが、 スマートフォンだ。 名前は、 「Nothing Phone (1)」 である。

テクノロジーの価値を創造する Nothing Phone (1) は、  刺激を求めるユーザーにぴったりの一台だ : 実機レビュー

PHOTOGRAPH BY KUJO HARU

Nothing Phone (1)
メーカー Nothing Technology
発売日 2022年8月(国内)
ハード 質量 約193.5 g
サイズ 約159.2×約75.8×約8.3 (mm)
ディスプレイ 6.55インチ OLED
解像度 2400×1080(FHD+, 402ppi)
リフレッシュレート 60〜120Hz アダプティブリフレッシュレート
バッテリー 4,500mAh
充電 USB 2.0 (33W)、 ワイヤレス充電 : Qi (15W)
リバース充電対応
防水防塵 IP5X/IPX3
インターフェース USB TypeC
ソフト OS Nothing OS (Android 12ベース)
SoC Qualcomm Snapdragon 778G+
RAM 8GB/12GB
ストレージ 128GB/256GB
カメラ リアカメラ 50MP(広角)、 50MP(超広角)
フロントカメラ 16MP(広角)
機能 ネットワーク 5G(Sub6)、 4GLTE、 3G
SIM nanoSIM×2
センサー 顔認証、 画面内指紋認証
その他 Bluetooth 5.2、 NFC対応、 Felica非対応
カラバリ ブラック、 ホワイト
created by Rinker
Nothing
¥73,800

テクノロジーに対する挑戦

Nothing Phone (1)を見ていると、 テクノロジーとは本来魅力的で、 わくわくするものだったと気付かされる。 ハードウェアそのものが、 Nothingのデザイン哲学を強烈に体現しているからだ。

テクノロジーの価値を創造する Nothing Phone (1) は、  刺激を求めるユーザーにぴったりの一台だ : 実機レビュー

PHOTOGRAPH BY KUJO HARU

スマートフォン業界で急成長を遂げ、 大きなシェアを占めている中国のテックメーカー。 ファーウェイ(華為技術)やシャオミ(小米科技)、 Vivo(維沃)といった企業はいずれも低価格帯のブランドを展開し、 限られたパイを奪い合う。

これらのブランドに属するモデルは、 名前こそ違えど、 どれも見覚えのある外観ばかりだ。 かつてはミドルレンジで異彩の輝きを放っていたワンプラスも、 今や機能を揃えて 「他社より劣らないようにする」 トレンドに飲み込まれている。 昨今のスマートフォンは、 奇妙なほどに均一化されてしまったのだ。

こうした刺激のなさが、 テクノロジーに対する人々の無関心の根底にあるとペイは考えているようだ。

一般ユーザー向けのインターネットの世界では、 大手テック企業はプライバシーの問題や反競争的な行為などの問題のおかげで、 わたしたちの心のなかで“悪者”になってしまっています。 だから一般的に、 人々はテクノロジーに胸をときめかせないのです。 わたしたちは、 それを再び変える触媒になりたいのです。

CITED FROM WIRED INTERVIEW

広告/Advertisement

価値を提案するデザイン

Nothing Phone (1)のマーケティング手法は、 ワンプラスで実績のある成功パターンを踏襲したものだ。 すなわち、 ミドルレンジの価格帯でありながら、 ハイスペックでデザイン性に優れた製品を作ることである。

テクノロジーの価値を創造する Nothing Phone (1) は、  刺激を求めるユーザーにぴったりの一台だ : 実機レビュー

側面 (電源ボタン)

テクノロジーの価値を創造する Nothing Phone (1) は、  刺激を求めるユーザーにぴったりの一台だ : 実機レビュー

側面 (音量ボタン)

テクノロジーの価値を創造する Nothing Phone (1) は、  刺激を求めるユーザーにぴったりの一台だ : 実機レビュー

PHOTOGRAPH BY KUJO HARU

外観を見れば、 そのデザイン言語がNothing ear (1)と共通していることは明らかだろう。 背面に配された900個のLEDインターフェースは極めて象徴的で、 強烈な個性を放っている。

このLEDは単なる飾りではなく、 着信や通知が届くとそれぞれが独特なパターンで発光し、 音を視覚的に奏でてくれる。

Nothingが 「Glyph Interfaceグリフインターフェース)」 と名付けたこの機能は、 想像以上にユニークで面白い。 たとえば複数用意されている発光のパターンを、 電話やメッセージの相手に応じて個別に設定することができる。 光り方で、 画面を見なくても何が起きているのかわかるという具合だ。

テクノロジーの価値を創造する Nothing Phone (1) は、  刺激を求めるユーザーにぴったりの一台だ : 実機レビュー

PHOTOGRAPH BY KUJO HARU

さらに、 本体で再生した音楽に合わせて背面がリズミカルに光る隠し機能も用意されており、 ペイの遊び心を感じさせる(別の設定は、 今後発見されるかもしれない)。

このほか 「Flip to Glyph」 という機能では、 画面を下にして置くと自動でサイレントモードに切り替わる。 通知が来るとLEDが点灯し、 所有者にさりげなく伝える仕組みだ。

Glyphインターフェースの特徴的で柔らかい光を、 撮影時の照明として活用する人もいる。 現時点で公式のサポートはないが、 たとえば照明用に輝度や色温度を細かく調整できる設定があれば面白い。

テクノロジーの価値を創造する Nothing Phone (1) は、  刺激を求めるユーザーにぴったりの一台だ : 実機レビュー

PHOTOGRAPH BY KUJO HARU

このように卓越したデザインセンスは、 Nothing phone (1)が 「OP-1」 や 「Pocket Operator」 を手がけたTeenage Engineeringと共同開発であることを踏まえれば、 不思議なことではない。

初代 「iPhone」 の登場に目を輝かせ群がった人々の一体どれほどが、 詳細なスペックを気にしていただろうか。 目新しい価値・アイデアはそれ自体が購買意欲の根幹をなすもので、 Nothingが挑戦しているのはまさしくこの領域なのである。

申し分ない機能性

Nothing Phone (1)は、 舌の肥えたスマートフォンユーザーでも満足できるだけの性能を備えている。

6.55インチの有機ELディスプレイは精細で明るく、 晴天下でもくっきりと文字を読み取ることができる。 最大120Hzのアダプティブリフレッシュレートに対応しており、 操作感も非常に滑らかだ。

テクノロジーの価値を創造する Nothing Phone (1) は、  刺激を求めるユーザーにぴったりの一台だ : 実機レビュー

PHOTOGRAPH BY KUJO HARU

SoCはクアルコムの 「Snapdragon 778G+」 で、 8GBのメモリを備えている。 ミッドレンジだが動作がもたつくことはなく、 一般的なゲームも問題なく楽しめる(ただし、 背面の発熱はそれなりに感じられる)。

機能面についても申し分ない。 通常のワイヤレス充電に加えて、 イヤホン等に給電できる”逆ワイヤレス充電”が実装されている。 前面と背面を保護するのは強度に優れた 「ゴリラガラス5」 だ。

画面内指紋認証と顔認証に対応し、 ロック解除にストレスを感じることはない。 デュアルステレオスピーカーは必要十分の音質で、 Glyphインターフェースと併用すればより刺激的な音楽を味わえる。

テクノロジーの価値を創造する Nothing Phone (1) は、  刺激を求めるユーザーにぴったりの一台だ : 実機レビュー

PHOTOGRAPH BY KUJO HARU

バッテリーは4,500mAhと大型であるが、 アダプティブリフレッシュレートや画面の輝度を調整しない限り、 その性能を存分に生かすのは難しいだろう。 これらを最大の設定で連続的に使うと、 もって9時間から10時間といったところである。 現実的な使い方なら、 半日から1日の電池持ちは期待できる。

惜しい点もある。 複雑な背面構造をみればわかるように、 Nohting Phone (1)は水に弱い。 IP53規格なので多少の雨なら凌げるが、 風呂の中に落としてしまえば目をつむるほかない。

広告/Advertisement

メインカメラは期待以上の仕上がり

テクノロジーの価値を創造する Nothing Phone (1) は、  刺激を求めるユーザーにぴったりの一台だ : 実機レビュー

PHOTOGRAPH BY KUJO HARU

Nothing Phone (1)といえばその奇抜なデザインに注目しがちだが、 実はカメラ部分もそれなりに仕上がっている。

5000万画素のメインカメラで撮った写真は、 おかしな彩度や画像処理に頼ることなく、 ごく自然な風景を見せてくれる。 暗所のディテール表現も得意なようで、 高架下で撮った一枚では看板の文字や天井の質感がつぶれることなく描写されていた。

テクノロジーの価値を創造する Nothing Phone (1) は、  刺激を求めるユーザーにぴったりの一台だ : 実機レビュー
テクノロジーの価値を創造する Nothing Phone (1) は、  刺激を求めるユーザーにぴったりの一台だ : 実機レビュー
テクノロジーの価値を創造する Nothing Phone (1) は、  刺激を求めるユーザーにぴったりの一台だ : 実機レビュー
テクノロジーの価値を創造する Nothing Phone (1) は、  刺激を求めるユーザーにぴったりの一台だ : 実機レビュー
テクノロジーの価値を創造する Nothing Phone (1) は、  刺激を求めるユーザーにぴったりの一台だ : 実機レビュー
テクノロジーの価値を創造する Nothing Phone (1) は、  刺激を求めるユーザーにぴったりの一台だ : 実機レビュー
Nothing Phone (1)のメインカメラ(広角)で撮影。 光量が十分にある限り、 露出や色彩の再現性は素晴らしい。 PHOTOGRAPH BY KUJO HARU
Nothing Phone (1)のメインカメラ(広角)で撮影。 建物のディテールもシャープに写し出す。 PHOTOGRAPH BY KUJO HARU
Nothing Phone (1)のメインカメラ(広角)で撮影。 高架下で撮った一枚では看板の文字や天井の質感がつぶれることなく描写されていた。 PHOTOGRAPH BY KUJO HARU
Nothing Phone (1)のメインカメラ(広角)で撮影。 手前と奥のボケ感に注目。 PHOTOGRAPH BY KUJO HARU
Nothing Phone (1)の超広角カメラで撮影。 葉や植物を写すと、 ディテールが過度に強調される傾向がある。 PHOTOGRAPH BY KUJO HARU
iPhone 13 miniの超広角カメラで撮影。 PHOTOGRAPH BY KUJO HARU

コントラストは強めにでる傾向があって、 日光が絡むシーンだとハイライトが飛び気味になることもある。 ところが、 ナイトモードの効果は素晴らしい。 夕焼けの空をきちんと写しながら、 暗くなった建物や道路の質感を見事に再現してくれる。

超広角カメラの仕上がりが良ければ、 なお嬉しかったと思う。 メインカメラと同じく5000万画素であるが、 露出や色彩の正確さには改善の余地がある。

テクノロジーの価値を創造する Nothing Phone (1) は、  刺激を求めるユーザーにぴったりの一台だ : 実機レビュー

PHOTOGRAPH BY KUJO HARU

Nothingの将来像とは

Nothing Phone (1)のソフトウェアはAndroidをベースにしたNothing OSだが、 実のところ素のAndroidとほとんど変わらない。 Androidの性質をあえて尊重するアプローチには、 何か狙いがあるかもしれない。

Nothingは、 Androidを創業したアンディ・ルービンが率いるEssentialを21年に買収している。 Essentialは過去に着脱式の360度カメラを備えたスマートフォンを発売したが、 評判を得るに至らなかった。

そんなEssentialが発表したユニークなアイデアの一つが、 「Ambient OS」 というプライバシーに特化したスマートホームシステムだ。 この構想が実現することはなかったが、 Nothing ear (1)のテーマにスマートホームテクノロジーとの統合が含まれていることを鑑みれば、 将来的に活用されてもおかしくない。

テクノロジーの価値を創造する Nothing Phone (1) は、  刺激を求めるユーザーにぴったりの一台だ : 実機レビュー

PHOTOGRAPH BY KUJO HARU

プログラミングベースの複雑なマクロをより簡易な次元に落とし込み、 どんな人でも自分だけのエコシステムを構築できるようになれば、 とても魅力的だろう。 ペイは、 自身の製品群でそうした世界を実現しようとしているかもしれない。

それに、 もっと現実的な利点もある。 Nothing Phone (1)には、 3度のOSアップグレードに加えて、 4年間のセキュリティアップデートが付いてくるのだ。

今後新たなデバイスが登場し、 エコシステムが拡充されるにつれて、 その利便性は増していくだろう。 Nothingの行く末を希望的に捉えるなら、 この一台と日々を共にするのも悪くないはずだ。

created by Rinker
Nothing
¥73,800

  SOURCE