携帯性と直感的な操作性が魅力のタブレット型コンピュータ「iPad」は親しみやすいOSと豊富なアプリケーションで、幅広い職種や年齢層に愛されるデバイスです。
そんなiPadには「Wi-Fiモデル」と「Wi-Fi+Cellularモデル」の2種類が存在します。価格差もあり、どちらを購入すべきか悩むところです。
ここでは、Wi-FiモデルとWi-Fi+Cellular(いわゆるセルラー)モデルについて、違いや価格を比較していきます。セルラーとは何ぞや?って人も、ぜひこの記事を読んでiPad選びの参考にしてみてください。
Wi-Fiモデルとは
Wi-Fiモデルとは、Wi-Fi接続を介してのみインターネットに接続できるiPadのこと。 Wi-Fiは無線(ケーブルレス)で通信するための技術で、IEEE 802.11という共通規格に基づいています。
駅・空港や公共施設では無料のWi-Fi接続サービスが提供されているほか、現在は会社や一般家庭でもWi-Fi環境を構築するケースが大半です。自宅や会社などiPadを使う場所が決まっていて、インターネット環境が整っているのであれば、Wi-Fiモデルがおすすめです。
Wi-Fiモデルは「Wi-Fi+Cellularモデル」に比べて価格が安く、携帯会社(キャリア)によるデータ通信費もかかりません。ただしWi-Fi接続ができるのは電波の届く範囲に限られているため、そのほかの場所では後述のテザリング機能やモバイルWi-Fiルーターなどを使う必要があります。
Wi-Fi+Cellularモデルとは
セルラーモデルのiPadは筐体にアンテナ線が刻み込まれている。 PHOTOGRAPH BY KUJO HARU
Wi-Fi+Cellularモデルとは、Wi-Fi接続はもちろん、スマートフォンのようにモバイルデータ通信を用いてインターネットに接続できるiPadを指します。
そもそもセルラー(cellular)とは地域を「セル」(区画)に分割し、各区画に基地局を設置して無線通信を行う方式のこと。携帯電話はこのセルラー方式を通信に用いることから、「cellular phone」と呼ばれています。
セルラーモデルなら、家にWi-Fi環境がなくても携帯会社(キャリア)の回線を使うことでインターネットにアクセス可能です。たとえばドコモと契約した場合、同社の基地局がカバーする全地域でインターネットに接続できるようになります。
セルラーモデルのiPadには側面に「SIMカード」という通信に必要なカードを挿入できる箇所があります。ここにドコモやau、ソフトバンクなど各キャリアのSIMを挿入すればすぐにインターネット回線を利用できます。最近では物理カード不要の組み込み型SIM(eSIM ; embedded SIM)も普及しており、現行のiPadは全モデルがeSIMに対応しています。
セルラーモデルには、物理SIMカードを入れるスロットが付いている。 IMAGE BY QUEST
対してWi-Fiモデルは、インターネット環境が整っている場所でしか通信ができません。ただし最近は駅や様々な店舗でフリーWi-Fiが提供されていたり、後述のテザリング機能でスマートフォンの回線を借りることもできるため、通信面の制約はある程度カバーできます。
Wi-Fi+Cellularモデルのデメリットとして、Wi-Fiモデルに比べて高価であること、そしてスマートフォンと同様に毎月の通信料が発生することがあげられます。 もちろん、SIMカードを契約しなくてもWi-Fi環境があればインターネット接続は可能です。 ただ、それでは価格の安いWi-Fiモデルを買ったほうが良いという話になります。
セルラーモデルにあって、Wi-Fiモデルにない機能
モバイルデータ通信
セルラーモデルはWi-Fi接続に加えて、携帯会社(キャリア)の提供する回線(4G LTE、5G)を介したモバイルデータ通信が可能です。 Wi-fi通信が使えない場所でも、通信事業者(ドコモ、au、ソフトバンク、楽天モバイルなど)の基地局を介してインターネット接続ができます。 理論的には圏外を除きどこでも通信が可能です。
IMAGE BY QUEST
Wi-Fiモデルの場合、iPad単体でインターネットに接続できるのは自宅や職場、公共施設などWi-Fi接続環境の整った場所に限られます。お持ちのスマートフォンで「テザリングオプション」が利用できる場合は、モバイルデータ通信を介したインターネット接続も可能です。 ただしスマートフォンのデータ通信料がかさんでしまうため、長時間の利用はおすすめできません。
インターネットに接続している端末の電波を他の端末に共有する機能。 多くの携帯会社はスマートフォン購入時の「オプション」としてテザリング機能を提供しており、利用料金(月額〜円など)はキャリアによって異なる。
テザリング(iPad自身をアクセスポイントにする)
PHOTOGRAPH BY QUEST
その「テザリング」機能ですが、実はセルラーモデルのiPadならモバイルデータ通信が使えるので、スマートフォンと同様にiPad自身をインターネット接続のアクセスポイントにすることができます。
たとえば、外出先で自分のパソコンをインターネットに繋ぐケースを考えてみましょう。
テザリング使用中は端末のバッテリー消費が大きくなります。 スマートフォンは頻繁に使うデバイスですから、肝心なときにバッテリーが切れてしまったら問題です。 だから長時間テザリング機能を使うわけにもいきません。
そんなときにiPadでテザリングを使えば、スマホのバッテリーを喰うこともありません。 iPadはスマートフォンよりもバッテリー容量が大きいので、テザリングには打ってつけのデバイスと言えます。
公共のWI-Fiスポットを利用するのも良いですが、フリーWi-Fiは通信速度が遅く使い物にならないことがあるほか、セキュリティ面のリスクも指摘されています。 モバイルデータ通信は通信料がかかるぶん、使用時の快適性は保証されています。
Apple SIM・eSIM
セルラーモデルはApple SIM・eSIMに対応しています。
Apple SIMは元から内蔵する機種と600円前後でApple SIMカードを購入する機種があり、SIMカードを交換するなく、キャリアを端末上から自由に乗り換えることができます。物理カードではなく実体のない規格なので、SIMカードを入れなくても通信キャリアと契約することもできます。
プリペイド方式の短期契約が特徴で、例えばGigSkyなら国内使用で1日プラン1,200円(500MB)、15日プラン1,800円(1GB)などの短期契約プランを選択してインターネット通信を楽しむ、といった感じ。
最近では物理カード不要の組み込み型SIM(eSIM ; embedded SIM)も普及しており、現行のiPadは全モデルがeSIMに対応しています。国際標準規格に準拠していて、Apple SIMの提携キャリアにより多くのキャリアから契約相手を選べるのが特長です。
- iPad Pro 12.9インチ : 第3世代以降
- iPad Pro 11インチ : 第1世代以降
- iPad Air : 第3世代以降
- iPad : 第7世代以降
- iPad mini : 第5世代以降
eSIMの回線契約には物理カードが要らないため、契約してからすぐにモバイルデータ通信を使うことができます。 物理カード特有の紛失リスクがないのも嬉しいポイントですね。
また海外旅行や出張でiPadを利用するケースでは、eSIMが役立つかもしれません。海外でモバイルデータ通信を利用するには、キャリアの海外通信オプションを契約(有料)するか、現地キャリアのSIMカードを差し替えて利用する必要があります。
ところがeSIMがあれば、滞在中にiPadの設定画面を開くだけで現地キャリアの短期契約が可能です。
普段はどこのキャリアとも契約せず、必要な時だけ短期で契約してインターネット通信をする、なんて使い方もできます。
ただしApple SIMやeSIMの短期契約は割高なので、 「あんまりインターネットは使わないんだけど…」という方は格安SIMを利用するのが現実的かと思います。
eSIMの利用方法
専用のプロファイルを使用するため、各キャリアのHPや窓口で申し込む必要があります。
この方法が利用できるキャリア・プランは限られていますが、簡単な手順で利用できるのが特長です。
モバイルデータ通信の設定画面から「新規プランを追加」を選択すると…
eSIMで契約するキャリアを選択できる
GPS機能
iPadのセルラーモデルはGPS機能を内蔵しているので、地図のような位置情報を必要とするアプリを使うときに重宝します。 GPSを搭載しないWi-fiモデルでもスマホや周囲のWi-fi環境からおおよその位置情報を取得することができますが、セルラーに比べて精度は劣ります。
現在地を確認したり、現在地から目的地への経路を検索するときにGPS機能は欠かせませんが、「iPadで」それをする必要があるかと言われれば、話は別。 用途に応じて、GPS機能が本当に必要かどうか考えておきましょう。
iPadをカーナビとして使うならGPSは必須
iPadの大画面を車に取り付けてカーナビとして使う場合、GPS機能は必須です。位置情報を利用するゲーム(ポケモンGOとか)もありますよね。 用途によっては、GPSが必要になってくるシーンもあります。
セルラーモデルはWi-Fiモデルより高価格
■ iPad Air (第5世代) の場合
Wi-Fi | Wi-Fi+Cellular | |
価格 |
64GB 92,800円 256GB 116,800円 |
64GB 116,800円 256GB 140,800円 |
2023年時点で、iPadのWi-FiモデルとWi-Fi+Cellularモデルには約24,000円の価格差があります(全モデル共通)。 セルラーモデルはモバイルデータ通信が利用できて便利なぶん、初期費用がかさむのがネックです。
Wi-Fiモデルがおすすめな人
- 出来るだけ安くiPadが欲しい
- iPadではそんなにインターネットを使わない。使うときはテザリングすれば良い
- スマホのバッテリー持ちに不満を持っていない
- iPadは自宅や学校、仕事場で使うぐらい。出先で頻繁に使うことはない
Wi-Fi環境が整っている自宅や職場などでの使用がメインの場合、Wi-FiモデルのiPadでも十分な使い勝手が得られるはず。わざわざ2万円以上払ってセルラーモデルを手に入れる必要は無さそうです。
Wi-Fi+Cellularモデルがおすすめな人
- パソコンを持っていなくて、iPadをメイン機として使いたい
- パソコンは持っているが、iPadをサブ機として深く活用したい
- 出先でiPadを使うことが多い
- パソコンでネットをするときにテザリングを多用するが、それでスマホのバッテリーが減るのは困る
- 海外に行った時も快適にインターネットを使いたい
こういう人はセルラーモデルを購入するべきです。 テザリングやモバイルルーターを利用するのも良いですが、常にネット環境が利用できるモバイルデータ通信の利便性には及びません。
セルラーモデルのiPadを安く使うコツ
IMAGE BY UNSPLASH
セルラーモデルのiPadでモバイルデータ通信を使う場合、ドコモやau、ソフトバンクなどのキャリアと通信プランを契約します。 ネックになるのは月々のデータ通信料ですが、MVNO各社が提供する格安SIMのデータ通信プランを契約すれば、大手キャリアよりも低費用で快適なインターネットを楽しむことができます。
Mobile Virtual Nerwork Operator(仮想移動体通信事業者)の略で、携帯電話などの通信インフラ・回線を自社でもたず、他社の回線を借りて音声通信やデータ通信のサービスを提供する事業者のこと。
近年ホットな「格安SIM」はこのMVNO方式を採用することで、通信品質を保ちながら月額料金を抑えている。
たとえば「BIGLOBEモバイル」はドコモとauの回線を借りていたり、「UQ mobile」はauの回線を借りていたり…と、業者によって使用回線が異なる。
たとえばmineo(マイネオ)なら、3大キャリア(ドコモ・au・ソフトバンク)のデータ回線に対応し、執筆時点で1GB分のデータ容量を月々880円から利用できます。 大手キャリアだとiPad単体で月々4,000円くらいかかるケースもあるので、非常にお得感があります。
BIGLOBEモバイルの場合は、YoutubeやApple Musicなどの対象サービスなら「制限なく」利用できる美味しいサービスがあったり。 業者によって値段だけでなく提供サービスも様々です。
SOURCE
iPad Proですが、価格コムで見るとwi-fiモデル1TBが税込14万くらい、セルラーモデルは税込で22万くらいです。wi-fiモデルが販路が広い分かなり安く買える可能性がありますよー。(ちなみに自分も1TBwi-fiモデル14万で買いました)
なるほど、そこまで価格差が開いているとは驚きました。iPadを安く買おうと思ったらWi-Fiモデル一択になりそうですね。
1TBですか…正直羨ましいですm(__)m 大切に使ってあげてください!