任天堂が「Switch」の新型モデルを発売したことで、3年間愛用し続けた初代Switchもいよいよお役御免。Joy-Conに至っては酷使の末、いまや3代目に成り代わっています。
従来モデルの不満は、やはり貧弱なスタンド。テーブルモードを普段から頻繁に使うわけではないけれど、遠出をしたり友人と旅行するときはドックを家に残して、本体だけを持ち出すことがほとんどです。
背面に取り付けられたスタンドは申し分程度の大きさと強度で、お世辞にも実用的とは言えない作りつくりでした。新しいモデルではスタンドの構造が格段に改善されたことで、快適なテーブルモードが楽しめるようになっています。

PHOTOGRAPH BY KUJO HARU
実用的に使えるスタンド
そもそも、Nintendo Switchの初期モデルが登場したのは2017年ですから、発売から4年の歳月が経とうとしているわけです。対して新モデルは、性能面では従来モデルと共通なのに、価格は5,000円上がっています。
その違いはどこにあるのか、果たして購入する価値が本当にあるのか…?そう思うのも不思議じゃありません。ところが結果は冒頭にある通り、嬉々として旧機種から乗り換えることになったのです。
大きな違いは4つあります。一つはディスプレイが6.2インチから7インチへ大型化され、パネルも液晶から有機ELに変更されたこと。本体の内蔵ストレージが 2倍になり、ドックには有線LANポートも追加されました。そして何より、スタンド形状の改善は地味ながら大きな変化です。

有機ELモデルではスタンドの無段階調節が可能になった。PHOTOGRAPH BY KUJO HARU
従来のスタンドは角度調節ができない固定式で、プラスチックの板をヒンジで繋ぎとめた貧弱な構造でした。新モデルではマイクロソフト「Surface」のように背面の下半分を「ト」の字に開くかたちとなり、安定性が増しました。
たかが形状の違いと侮ることなかれ、やわらかいソファーや膝の上に置いても倒れることがなくなり、持ち運びのハードルが下がったのは無視できない変化です。
さらに、スタンドの角度を好きな位置で止められるのも嬉しいポイント。ヒンジの開閉はとても滑らかですし、本体下部に設けられた切り欠きのおかげで、爪による引き出しがかなり楽になりました。
有機ELがゲーム体験にもたらす効果は偉大
新モデルでは新たに有機ELディスプレイを採用し、より鮮やかな発色を楽しめるようになりました。
とはいえ、これまでの液晶ディスプレイも過去の「ゲームボーイ」や「ニンテンドーDS」に比べたらはるかに綺麗だったし、メインターゲットが子供であることを考えれば性能的にも十分な仕様だと感じるところです。
それでもあえて体験をアップグレードするのは、Switchのチープな体験では満足しきれない大人に目を向けているから——プレイユーザーの年齢層が上がるにつれ、そうした需要は増えているようです。
九条ハル
決算資料によると、Switchのプレイユーザーは20代前半、ついで20代後半が圧倒的に多いんだとか。

6.2インチから7インチに大型化した有機ELディスプレイにより、ゲーム体験は大幅に向上した。PHOTOGRAPH BY KUJO HARU
その恩恵は大きく、大型化した画面サイズも相まってこれまでにないゲーム体験が可能になりました。色彩がくっきり出るのはもちろん、従来モデルのように背景の黒が白っぽく浮いて見えることもないので、鮮明なコントラストでゲームの世界観に没頭することができます。
テーブルモードの解像度は変わらず720pなので、表示がより精細になったわけではありません。それでも、発色の違いでテーブルモードの楽しさがここまで変わることには驚かされました。
「大人向け」という意味では、細かいデザインもチープさを感じさせない仕様になっています。たとえば背面は高級感のあるマット調に仕上げられており、手触りが良いほか指紋も付きにくくなっています。
電源ボタンや音量ボタンの形状もわずかに変わっていて、以前より指の腹で見つけやすく、そして押しやすくなりました。細かい継ぎ目や凹凸も従来モデルに比べて少なくなっており、クリーンで洗練された見た目が好感です。

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必ずしも「買い」ではない
とはいえ、すべての人に無条件で勧めるわけにもいきません。まず、新モデルは本体の横幅が3mm長く、重量が23g重くなっています。これはわずかな差なので、実際に持ってプレイしても違いを感じる機会はほとんど無いでしょう。
もっと根本的な問題は、主要なアップデートの大半が「テーブルモード(携帯モード)」でしか活かされないことです。Switchを頻繁に持ち出す人からすれば、これらの要素は魅力的に映るはず。逆にドックに据え付けて使うことが多いなら、あえて買い換える必要性はない、ということになります。

新設計のドックは裏蓋が完全に外せるようになり、配線が管理しやすくなった。PHOTOGRAPH BY KUJO HARU
新モデルのドックには有線LANポートが備わり、アダプターを用意する手間がなくなりました。ところが設計上は新旧で互換しているので、LANポートが欲しいならドックだけ単体で購入すれば済む話なのです。
他にもスピーカーの設計が変更されていますが、プレイする分には音質の違いを感じないし、そもそもテーブルモードで音を出すこと自体そんなに多くありません。
このように、アップデートの多くは従来モデルで代替できるか、大差ないものと言えます。だからこそ注目すべきは、スタンドと有機ELの優位性、あなたがSwitchをドックなしで遊ぶ機会がどれほどあるかという一点のみ。もし初めての一台として既存のNintendo Switchと新しい有機ELモデルのどちらを選ぶべきか迷っているのなら、5,000円の差に目をつむって最高の体験を手に入れるのも良い選択だと思います。
九条ハル
いろいろ書いたけど、白いドックとJoy-Conに惹かれて買っちゃった節はあるよねー。
どっちも単体で買えるんだけど…。
メロ