きさみん
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日本時間11月13日夜、 かねてから噂されていた新型MacBook Proの16インチモデルがゲリラ発表されました。
15インチモデルの後継機にあたる本モデルは見た目こそ劇的な変化はないですが、 ここ数年のアップデートが馬鹿らしくなるくらい 「正統な」 進化を遂げ、 MacBook Pro本来のすがた、 輝きを取り戻しています。
新しいMacBook Proを見た第一印象は、 2016年以前のMacBookを彷彿とさせるような 「ユーザーの意見を忠実に反映し、 現場に即して設計されたプロダクト」 の再来でした。
サイズ的には従来の15インチとほとんど変わりませんが、 横ベゼルが26%、 縦ベゼルが34%狭くなった分、 ディスプレイは大きくなっています。 元々十分に高かった解像度もさらに向上し、 プロユースでも満足して使える高いクオリティーに仕上がりました。
ディスプレイ性能については、 500ニトの輝度、 広色域(P3)、 True Tone対応など従来モデルと共通する点が多いです。 リフレッシュレートはシステム環境設定から自在に調節できるようになりました。
Image:Dave Lee
16インチは昨年の15インチモデルより 0.7 mm 厚くなり、 重量はジャスト 2.0 kg になっています。
前もって言っておきますが、 これは決してネガティブな要素ではなく、 むしろAppleの英断による大きな 「改善点」 と言えます。 これまでのあまりに薄すぎる筐体と排熱システムは、 MacBook Pro本来のパワーを抑制してしまう面があったのです(詳細は後述)。
Point1: シザーキーボードが復活。 キーストロークは2倍に
新しい16インチモデルでは、 不具合が多く評判の芳しくなかったバタフライキーボードがついに廃止され、 構造的に安定なシザー式キーボードが搭載されました。 Appleはこれを 「Magic Keyboard」 と呼んでいますね(非常にAppleらしい笑)。 実際は、 一般的なシザー式キーボードの構造をベースにしながらも、 打鍵音がかなり抑えられた独自設計になっています。
MBP 16インチはシザー式キーボードを採用。 Image:Apple
キーストロークは従来の 0.55 mm から 1 mm と深くなり、 確かな打鍵感を得られるようになっています。 何より大きいのは、 バタフライキーボードで頻発していたチャタリング(特定キーの重複入力)や無反応、 タイプ時の異音などの構造的脆弱性がオミットされたことでしょう。 キーボードの異常は作業効率に直結するという点において致命的な欠陥になり得るのです。
Point2: 「esc」 が物理キーとして復活
Touch Barが継続して採用された一方で、 esc(エスケープ)コマンドが物理キーとして復活しました。 これまでもTouch Bar上でタップすることができましたが、 使う頻度の高い重要なキーである以上、 この判断は多くのユーザーに歓迎されることになりそう。
Point3:矢印キーは全てハーフサイズに
サイズの統一により、 触覚による矢印キーの識別が容易になる。 Image:Marques Brownlee
矢印キーは昔のMacBook Proを踏襲するかたちで、 全てハーフサイズに統一されました。 矢印キーのサイズが揃えられたことで、 視認せずに触覚のみで矢印キーを識別するのが容易になりました。 小さいですが仕事の上では大きな変化になるでしょう。
Point4:指紋センサーは大型化
指のサイズに合わせるかたちで、 指紋センサー(Touch ID、 電源ボタン兼用)のサイズが従来モデルよりも若干大きくなり、 またTouchBarから独立した配置になりました。
Point5:音質は大きく向上か-6基のスピーカーを内蔵、 Dolby Atmos対応
新モデルのスピーカーは大きく刷新されており、 キーボードに次ぐ注目点と言えそうです。
特に低音領域はかなり強化されたとのこと。 左右で合わせて6基の高品質スピーカーからなり、 フォースキャンセリングウーファーも搭載されているのがポイント。 ウーファーを相対的配置にすることで振動を相殺し、 低音域でもよりクリアな音質が楽しめるようになりました。 極め付けはDolby Atmosにも対応。 PCの内蔵スピーカーとは思えないほどの重厚なサウンドがユーザーを包み込んでくれます。
聴覚に関連して、 内蔵マイクの品質も大きく向上し、 外付けのものを使わずとも実況品質の録音ができるとされています。
Point6:大型の感圧トラックパッド
マウス無しでも満足できるほど高性能なトラックパッドが魅力。 Image:Marques Brownlee
15インチモデルの魅力でもあった、 大型の感圧トラックパッドは新モデルでもしっかり継承されています。 macOSの利点にトラックパッドの性能の高さが挙げられますが、 ワークスペースが広くなることで元々秀逸である使い勝手が飛躍的に向上することは心に留めておくべきでしょう。
新型MacBook Pro 16インチの注目は外観のハードウェアにとどまらず、 内部スペックにおいても驚くべき進化を見ることができます。 6コア/8コアの第9世代 Core i プロセッサを搭載し、 メモリはノートPCにして 64GB まで積めるように。 ベースの 16GB と比べると、 例えば Photoshop でギガピクセルの画像を編集する効率は最大4倍になるというのだから驚きです。
GPUは新規格のGDDR6を採用。 オプションで8GBまで選択可能になったのは大きく、 いよいよモバイルでも高度なデザイン・グラフィック作業が実現できる環境が整いつつあるように思います。
ストレージはCTOで最大なんと8TBのSSDが選択できるようになりました。 1TBあれば十分だと思っている僕にはわからない世界ですが、 外付けのストレージに頼ることなく、 本体に大容量データを詰め込んで持ち運べるのは確かに魅力的ではあります。
排熱構造は再構築で大幅に進化
排熱構造の再設計により、 ヒートシンクの表面積は35%増加、 エアフローは28%増加した。 Image:Apple
新型MacBook Proでは排熱構造が抜本的に見直され、 ファンの大型化、 筐体内エアフロー効率の向上、 そしてヒートパイプ、 ヒートシンクのアップグレードなど、 あらゆる要素が強化されました。 結果として筐体の厚みは若干増したものの、 従来より画期的に素晴らしい排熱性能を実現できています。
2016年以降のMacBook Proでは、 薄型の筐体が内部のハイパワーなCPU処理に耐えられず頻繁にサーマルスロットリングを起こす現象が深刻な問題になっています。
特にi9プロセッサを積むMBP 15インチでは長時間使用すると発熱による性能低下が顕著で、 本来のスペックを発揮できなくなってしまうという致命的な欠陥を今なお抱えているわけです。 この度、 サーマルアーキテクチャが完全再設計されたことにより、 これらの問題がどれだけ緩和されるかは多くのユーザーが注目するポイントでもあります。
バッテリーは業界最高クラスに
Image:Apple
排熱構造に次ぐもう一つの大きな進化は、 間違いなくバッテリーでしょう。 新しい16インチのバッテリー容量は、 15インチモデルより16Wh多い100Whに引き上げられました。 これにより、 スペックの向上にも関わらずバッテリー駆動時間は従来機(15インチ)より1時間長い 「最大11時間」 (ワイヤレスネットサーフィンとビデオ再生。 公式発表による)になっています。
これに合わせて電源アダプタの出力も 87W から 96W に引き上げられましたが、 サイズは全く変化していないのが嬉しいところ。 iPhone 11でもバッテリーの向上に対するAppleの取り組みが伺えたように、 もしかするとこれは今年のトレンドなのかもしれません。
ベース価格は15インチとほぼ同じ
Image:Apple
最後に、 価格に着目しましょう。 15インチモデルと比較すると、 ベース価格は1万円前後安くなっています。 スペックの向上にも関わらずここまで価格を抑えたのは素直に評価できます。
ベースモデルの価格は以下の通りです。
- MacBook Pro 16′ 2.6GHZ 6コア Intel Core i7:27万3680円(税込)
- MacBook Pro 16′ 2.3GHZ 8コア Intel Core i9:31万7680円(税込)
大好きなMacBook Proが、 帰ってきた
MacBook Pro 16インチ。 Image:Marques Brownlee
これまでMacBook Proに関して多くのユーザーから指摘されながらも放置されてきた数々の問題点。 Appleはついに、 これらの現実に真っ向から向き合って、 その答えを新しい16インチモデルで示してくれました。 クリエイターの愛するMacBook Proの再来です。
ディスプレイ、 キーボード、 バッテリー、 排熱構造。 見た目は似ていれど、 今までの15インチにはない機能性とパワーを有するマシン。 新しいMacBook Pro 16インチは、 ようやくその値段に相応しい価値を手に入れたように感じられました。
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