ラップトップにおける 「ベゼルレス化」 は、 製品開発の大きなトレンドとして位置づけられてきました。 2023年現在も、 画面の縁を数mmでも削るために各メーカーが死力を注いでいます。
そんな競争のなかで圧倒的な存在を放つのが、 狭額縁を特徴とするデル(Dell)の 「XPS」 シリーズ。 特に 「XPS 13」 はベゼルレスPCの象徴とも称され、 洗練されたデザインと高い性能で定評を得てきました。
そして2022年、 ブランドの進化を印象づけるかたちで 「XPS 13 Plus」 が誕生しました。 縁のないインターフェースはさることながら、 タッチ式のファンクションキーや継ぎ目のないトラックパッドを搭載し、 ラップトップの未来像を追求したデルの意欲作です。
シリーズではじめて 「Plus」 の名を冠した本モデルは、 デザイン・性能ともに従来の 「XPS 13」 より上位に位置付けられています。
3.5Kの有機ELディスプレイは目を見張る美しさ。 28WクラスのPシリーズCoreプロセッサーに加えて、 LPDDR5-5200メモリ、 PCIe Gen 4 SSDなどスペック面も抜かりがありません。
XPS 13 Plus (9320) | ||
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メーカー | Dell | |
発売日 | 2022年5月20日 | |
ハード | 質量 | 約1.23kg |
サイズ | 295.30×199.04×15.28mm | |
ディスプレイ |
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解像度 |
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リフレッシュレート | 120Hz | |
バッテリー | 55Wh | |
充電 | 60W (USB PD) | |
インターフェース | USB-C (Thunderbolt 4) ×2 | |
ソフト | OS | Windows 11 Home |
CPU |
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GPU | Intel Iris Xe Graphics | |
メモリ | 16GB/32GB (LPDDR5-5200) | |
ストレージ | 512GB/1TB/2TB | |
Webカメラ | 720p | |
機能 | ネットワーク |
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センサー | 指紋認証/顔認証 (Windows Hello) | |
カラバリ | プラチナシルバー/グラファイト |
※ サンプル提供 : デル・テクノロジーズ日本
ノートPCラインナップ (Dell)
Gシリーズ | ライトゲーマーを意識したグラフィック強化モデル | |
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XPS | Plus | XPSの上位モデル |
デザインと性能にこだわったハイエンドシリーズ | ||
Inspiron | 7000 | 大衆向けミッドレンジ〜ハイエンド |
5000 | 大衆向けミッドレンジ | |
3000 | 価格を抑えたエントリーモデル |
… 今回のレビュー構成
Windows史上最もミニマルなデザイン
XPS 13 Plus (9320)は、 デルのハイエンドシリーズ 「XPS」 に属するモバイルノートです。 13.4型のディスプレイを備えながらも、 本体サイズは幅295.3mm、 奥行き199.04mmとコンパクトに抑えられています。
本体の厚みは15.28mmで、 重量約1.23kg。 特筆すべきは無駄な機構を配したミニマルなデザインで、 パームレストにトラックパッドを埋め込むことで実現した、 継ぎ目のないシームレスな外観が特徴です。
XPS 13はパームレストにカーボンファイバーを用いていますが、 XPS 13 Plusでは強度にも優れたゴリラガラスを採用し、 よりすっきりとした見た目に。
ファンクションキーはタッチ式になっており、 Fn+ escキーでマルチメディアキーと交互に切り替えることができます。
両側いっぱいに拡張されたキーボードは、 まるで本体に埋め込まれているかのよう。 キー同士の間隔を極限まで狭めた 「ゼロラティスキーボード」 を採用しており、 従来のノートPCとは一線を画する見た目です。
これらの機構がXPS 13 Plusの近未来的なデザインに大きく貢献しています。 使用時に片手で筐体を開けるのも底部の重量を細かく調整した結果で、 製品開発に注がれたデルの執念を感じる一台と言えます。
スピーカーは4ユニット(2W×4)で、 キーボード面の真下に2つ、 左右に1つずつ配置されています。 13型のラップトップでは比較的クリアな音質で、 最大音量も満足できる大きさです。
音の解像度は全域で優れていますが、 特に高音域ではザラザラとした聞こえ方になることも。 同梱のオーディオツール(MaxxAudio Pro)でイコライザを調整すれば、 好みのサウンドで没入感を高めることができます。
ただし注意点として、 XPS 13 Plusにはイヤホン/ヘッドホンジャックがありません。 USb-C – 3.5mmオーディオのアダプターが付属するものの、 有線接続の頻度が高い人にとってはストレスに感じられるでしょう。
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16:10の狭額縁ディスプレイ
XPS 13 Plusは、 画面の外枠(ベゼル)を狭くした4辺ベゼルレスデザインを採用。 見た目が美しいだけでなく、 画面サイズを維持しながら筐体を小型化するのに一役買っています。
解像度 | 1920×1200 (FHD+) |
3840×2400 (UHD+) |
3456×2160 |
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光沢/非光沢 | 非光沢 (ノングレア) |
光沢・反射防止 (グレア) |
光沢・反射防止 (グレア) |
タッチ液晶 | – | タッチ液晶 | タッチ液晶 |
パネル | WVA | WVA | OLED |
輝度 | 500nit | 500nit | 400nit |
ディスプレイの解像度はフルHD+(1,920×1,200)、 UHD+(3,840×2,400)、 3.5K(3,456×2,160)の3つから選択可能です。 3.5Kモデルは有機EL(OLED)パネルを採用しており、 色鮮やかな映像を楽しむことができます。
フルHD+モデルは精細度こそ劣るものの、 バッテリー駆動時間は他モデルと比較して抜きん出ており、 かつ最も安く購入できるためおすすめです。
今回使用した実機は3.5K解像度、 タッチ対応の有機EL(OLED)パネルを採用。 有機ELは色彩表現、 特に黒の再現に優れており、 画面への没入感を高めてくれます。
光沢液晶は発色が豊かで正確なコンテンツ表示に長けているものの、 部屋の照明が画面に映り込んでしまうなど欠点もあります。
ディスプレイサイズは13.4インチで、 XPS 13と同等。 アスペクト比は16:10で、 一般的なノートPCよりも表示領域が縦に長いため、 ブラウジングや編集作業を快適にこなすことができます。
ディスプレイ上部には720p相当のwebカメラを搭載。 Windows helloによる顔認証と、 電源ボタンでの指紋認証に対応しています。 顔認証の速度は遅延を感じない程に良好なので、 指紋認証を使う機会は少ないかもしれません。
キーボードは使いこなすのに慣れが必要
横幅いっぱいに拡張されたキーボードは筐体面と高さをそろえたフラットなデザインで、 キー同士の間隔を狭めることでスタイリッシュな印象を与えています。
キーピッチは19.05mmと広く、 ストロークは浅め。 各キーは大型ですが、 間隔が狭いためタイプミスの頻度は多く、 慣れるまで時間を要しました。
大型の Enterキーは押しやすくて好みですが、 backspaceの右側に電源ボタンがあるのはやや特殊で、 打ち間違いの元凶になり得ます。
ファンクションキーはタッチ式になっており、 Fn+ escキーでマルチメディアキーとの切り替えが可能です。 物理キーではなくタッチ式を採用した背景には、 排熱用の内部スペースを確保するねらいがあったよう。 オーディオジャックを省いたのもこのためで、 内部設計の改善によりXPS 13(旧モデル)と比較して最大2倍の性能向上を実現しています。
とはいえタッチ式のファンクションキーには慣れが必要で、 実際に押している感覚(フィードバック)がないため、 打ち間違いも含めて使用感はあまり良くないです。
トラックパッドはパームレストとの境目を無くしたシームレスタイプ。 領域内にセンサーが埋め込まれており、 押し込みを感知して振動する触覚フィードバックが付いています。
同様の感圧トラックパッドを採用するMacBookと比較すると、 より強い押し込みが必要な印象。 フィードバックは実際のクリック感に近い感じです。
トラックパッドの領域を示す目印等はありませんが、 通常のポジションで操作するぶんには違和感なく使用できます。 四隅を含めた領域全体でクリックが可能なので、 一般的な物理トラックパッドよりも操作性は良好です。
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Type-Cポート×2の最小構成
インターフェースは、 左右にThunderbolt 4(USB 4)規格のType-Cポートが1基ずつのシンプルな構成。 Type-A端子はもちろん、 オーディオジャックすらもありません。
近年はType-C経由で使用できる周辺機器が増えていますが、 一部のアクセサリを使うには同梱のアダプターが必須となります。
パッケージにはUSB-C – USB-A 3.0アダプターと、 USB-C – 3.5mmオーディオアダプタが付属。 XPS 13に搭載されていたmicroSDカードスロットも省かれており、 画像編集や動画編集の機会が多い人にとっては改悪と言えるかもしれません。
処理性能はXPS 13の2倍
2022年モデルのXPS 13 Plus (9320)は性能にも妥協がなく、 ハイエンド帯にふさわしい強力なスペックを備えています。
CPUは第12世代/第13世代Coreプロセッサーで、 ラップトップに採用されることの多い省電力のUシリーズではなく、 より強力な28WクラスのPシリーズを採用。 モバイルノートながらパフォーマンスを重視した仕様になっています。
プロセッサーは第12世代インテルCore i5-1240P、 Core i7-1260P搭載モデルおよび第13世代インテルCore i5-1340P、 Core i7-1360Pの4種類から選ぶことができます。
メモリはLPDDR5-5200で、 16GB/32GBの2種類から選択可能。 ストレージはPCIe Gen 4 SSDを搭載しており、 512GB/1TB/2TBモデルが用意されています。
- CPU : Intel Core i7-1260P
- GPU : Intel Iris Xe Graphics (CPU内蔵)
- RAM : 16GB
CPU性能
XPS 13 Plus/Zenbook S 13 : 実測値。 XPS 13 Plusは 「Ultra performance」 モードで計測。 環境やパフォーマンスで値は変動する。 SOURCE BY GEEKBENCH
今回使用したのは、 CPUが第12世代Intel Core i7-1260P、 RAM 16GBのモデル。 ファンクションキーとオーディオジャックを省いたことで内部設計に余裕が生まれ、 エアフローの改善とよりパワフルなCPUの搭載が可能になっています。
デフォルトのOptimized(最適化)モードは約20Wと控えめな消費電力で動作する一方、 Ultra Performanceモードでは約28WのCPU電力で動くため、 ベンチマーク上も非常に高いスコアを記録しています。
グラフィックス性能
● ドラゴンクエストX (軽量級ゲーム) | |
設定 | 最高品質、 1,920×1,080 |
スコア | 4383 (普通) |
● FINAL FANTASY XIV (中量級ゲーム) | |
設定 | 高品質、 1,920×1,080 |
スコア | 6043 (やや快適) |
● FINAL FANTASY XV (重量級ゲーム) | |
設定 | 高品質、 1,920×1,080 |
スコア | 1628 (動作困難) |
実測値。 「Ultra performance」 モードで計測。 環境やパフォーマンスで値は変動する
XPS 13 PlusはCPU内蔵グラフィックス(Intel Iris Xe Graphics)ですが、 5200MHzのDDDR5メモリを搭載していることもあり、 高いグラフィック処理性能を有しています。
グラフィックス性能を評価するために行なったベンチマークテストの結果は、 軽量級ゲームの 『ドラゴンクエスト X』 が最高画質で4383、 より負荷の大きい 『FINAL FANTASY XIV』 では高品質で6043と、 一般向けラップトップでは非常に高いスコアでした。
排気口は底面と両サイドに設けられており、 ヒンジに隠れて目立たないようになっています。 内部には冷却用のデュアルファンを搭載。 盤石なエアフローにより、 TDP(熱設計電力)の高いPシリーズプロセッサーの搭載を可能にしているのです。
パッケージには60WのACアダプタが付属しており、 60分で約50%の急速充電に対応。 55Whのバッテリーを内蔵しており、 最適化モードで13〜16時間の連続使用が可能です。
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Windowsラップトップの集大成
XPS 13 Plus (9320)は従来のXPS 13を再設計し、 スタイリッシュなデザインと高い性能を備えたハイエンドノートです。
タッチ式のファンクションキーやシームレストラックパッドなど意欲的な機構を搭載し、 すっきりとした外観を実現しています。 ハイパワーなPシリーズCoreプロセッサーとLPDDR5-5200メモリの採用により、 中量級ゲームも動かせる高い処理性能が魅力。 普段使いからクリエイティブな用途まで、 幅広く使用できる万能な一台といえます。
一方で、 インターフェースがUSB Type-Cポート2基のみであること、 オーディオジャックが省かれている点には注意が必要。 キーボードは電源ボタンの位置が特殊で、 キー間隔が狭く打ち間違いのリスクがあるなど、 使いにくいと感じる人もいると思います。
とはいえ、 XPSの代名詞たる4面狭額縁ディスプレイを引き継ぎながら、 外観と性能にさらなる磨きをかけたXPS 13 PlusはまさしくWindowsラップトップの集大成といえる一台に仕上がっています。 デザインとスペック、 両方重視するモバイルユーザーは是非チェックしてみてください。
「デル アンバサダープログラム」 について
今回レビューに使用したXPS 13 Plus (9320)は、 デルアンバサダー限定のモニター企画でお借りしたものです。 アンバサダーには誰でも登録可能で、 限定イベントや企画に参加できたり、 デル製品を通常より安く購入できたりと特典が盛り沢山。 デル製品に興味のある方は是非参加してみてはいかがでしょうか。
提供 : デル・テクノロジーズ日本
SOURCE