この記事は、 MacBook Proの2016年から続くリフレッシュモデルに関して未だ解決を見ない構造的な問題点について触れながら、 新型MacBook Proの購入を検討されている方にその意義を今一度問い直すことを目的とするものです。
MacBook Proの2019年アップデートモデルではCPUのアップグレードとバタフライキーボードの改良が施され、 さらに追加アップデートで全モデルがTouchBarを搭載することになりました。
ところがネット上の記事を見ると、 その多くは上辺のスペック情報だけを取り上げており実際の使用に基づく問題点に触れているものは少ないようです。
巷にはMacBook Proよりも安価な価格帯でかつ同等かそれ以上のスペックを有するノートブックが数多く存在します。 それを踏まえた上で、 貴方にとってMacBook Proがノートブックとして唯一無二の選択となる理由は何か?
この問題をじっくり考え、 後になって後悔しない 「ベスト」 な選択をするきっかけになれば良いと思い、 この記事を執筆する次第です。
きさみん
筆者はMacBook(early 2010)、 MacBook Pro(2012)、 そしてMacBook Pro(2018)の順にMacBookシリーズを愛用してきました。 一方で、 現在使用している2018年モデル、 および最新の2019年モデルでも未解決の構造的な問題点はどれも致命的で、 ワーク環境に少なからず支障をきたしているのもまた事実です。
MacBook Proの熱問題は深刻
冷蔵庫で冷さなければ本来のパフォーマンスが出せない? Image:Dave Lee/YouTube
初めてCore i9搭載の15インチが出た時に話題になったのが、 放熱処理の不全に起因する深刻な 「熱問題」 です。
薄い筐体を維持したまま内部をアップグレードしすぎたせいで、 放熱が上手くいかず頻繁にサーマルスロットリングを起こすようになり、 本来の性能を発揮できない状態に陥っています。
Arranged from Dave Lee/YouTube
それは最新の2019年モデルでも大きく改善されていないようです。 本ブログでも紹介歴のある、 テック系YouTuberのDave Lee氏は同じCPUを搭載するPCで比較してもi9 MBPは長時間使用すると発熱による性能低下が顕著であると報告しています。
Dave Lee/YouTube
熱問題は15インチに限った話ではありません。 僕は現在Corei7 CTOモデルの13インチMBP(2018)を使用していますが、 頻繁に起こる過度な発熱と処理性能の低下に悩まされることは少なくありません。
Pagesでいくつかの画像を配置した状態で作業したり、 Youtubeを一定時間開いたり、 あるいは複数アプリを立ち上げた状態で作業していると、 あっという間に発熱してファンがうなり出すこともしばしばです。
キーボード問題も未だ解決せず
チャタリングやキーの反応異常は作業の効率性に重大な支障をきたす
MBP含め全てのMacBookシリーズに採用されているバタフライキーボード。 その不具合は、
- チャタリング(特定キーの重複入力)
- タイプ時の異音
- キーを押しても無反応
など致命的なものばかりです。 これらの問題については多くのユーザーから指摘されて続けていて、 最近になってAppleもようやく構造的欠陥を認め修理プログラムを実施し始めています。
Video:IFIXITキーボード問題も未だ解決せず
2019年モデルでは第3世代バタフライキーボードを基に改良したキーボードを搭載していますが、 iFixitによる分解検証動画によると根本的なキーボード構造は何も変わらず、 ドームスイッチの素材または処理の変更やスイッチカバーの素材変更といった 「最低限の応急措置」 に過ぎない代物です。
2018年・2019年モデルにおけるキーボード内部構造の比較Image:IFIXIT
事実、 最新モデルも発表されてすぐにAppleが実施する 「キーボード修理プログラム」 の対象に追加されてしまいました。 将来の新モデルでは、 結局従来のシザー構造に戻して安定性を確保するとの噂もありますが、 少なくとも何らかの抜本的な改善が施されるまでキーボード関連の問題はついてまわるでしょう。
MacBook Proでなければならない理由は何か?
TouchBarにしろ排熱構造にしろ、 近頃のAppleはユーザーに対して 「攻撃的」 なようにすら思える
最大の疑問は価格設定にあります。 MacBook Pro 13インチの2019年モデルは、 TouchBar付きのベースモデルが日本円で198,800円(税別、 19年5月時点)となっています。 ハイエンドPCとしてMBPのライバルに当たるWindowsデバイスの価格帯が14〜17万円台なのを見るに、 MBPとこれらに数万円レベルの大きな価格差があるのは明らかです。
この数万円差に秘められたメリットは何か。 Appleブランドだから?MacOSが使えるデバイスとしての付加価値?それとも勝手についてきたTouchBarのせい?
いずれにせよ、 値上がりが止まらないAppleプロダクトの昨今を踏まえても、 近年のAppleがしていることは我々ユーザーに対していくぶん攻撃的なもののように思えてきます。
ライバルの例を挙げてみましょう。 DellのハイエンドPC 「XPS 13」 です。 スペック的には、 OSの差異を除いて大きな相違は見られません。
価格は16万円ほどで、 4Kのタッチスクリーンも 「おまけで」 ついてきます。 Appleが高らかに自慢するMBPのRetinaディスプレイは、 タッチ非対応です。 冷静になって考えてみるに、 これらのPCに数万円プラスしてでもMacBookProを買う理由は何でしょうか?macOS、 デザインの美しさ、 Appleというブランドそのもの…これは人によって様々だと思います。
MacBook Proでなきゃならない 「根拠」 は何か?
僕がMacBookProを使うのは、 macOSが8年前から触れてきて一番使い慣れたOSであること、 そのmacOSを搭載する機種で僕のする作業に足りるスペックを(表記上は)有するものがMBPだったこと、 これに尽きます。
要するに僕の場合はソフトの有用性が第一にあって、 その上でいくつかの選択肢を考えるわけですが、 先述のハード面に関する致命的な問題から、 あるいはmacOSからWindowsに乗り換えてでもハードの安定性を重視した方が、 結果として効率が上がるのではないかと思うようになった次第です。
何が言いたいかといえば、 これからPCの購入を検討されている方には 「何のためにPCが必要なのか」 その目的を明確にした上で、 自身の使い方を想定しそれに合致する選択肢を是非じっくり考えて欲しいということです。 特にOSに対して特別なこだわりがないのであれば、 ソフトウェア・ブランドの垣根を無くした上で、 あくまでハードウェアおよび価格の妥当性を優先して考えることを強くお勧めします。
買ってから後悔しない、 最上の選択をするために。
Macbookpro 13インチ 2019(4×thunderbolt)購入してみましたが,発熱に関して2017(2×thunderbolt)との比較ですがずいぶん改善されました.
また,キーボードのタイプ音もずいぶん改善していて,これなら会議中とかに記録とかでタイプするのも問題ないですね.さらに,portが外れやすいのも改善されましたのでいつの間にかケーブルが抜けていてトラブってたのも無くなりました.
購入して1週間ほどですが,今のところ問題点は見つからずというところです.
値段はやはり,WindowsPCの倍近くするのでしょうが,今更使う気にもなれないなあ.
さとしんさん、コメントありがとうございます。
MBP2019モデルのレビュー、大変ありがたいです。排熱構造については最新モデルから設計が変更されている他、キーボードのスイッチカバーに使われている素材も変更されているようですね。
MacOSに慣れてきた身からすると、Windowsに乗り換えるのは中々ハードル高いと思います>_<
当方としては実際にMacBook Proの2018年モデル、及び以前のモデルの使用経験があり、その上で実際に直面した問題点を記事にまとめることが本記事の主旨であって、
アフィリエイトを主たる意図として執筆したものではありませんでしたので、結果的にそのような認識を受けたことをとても残念に思います。
よろしければ、今後の為に具体的な改善案などがあれば教えていただければ幸いです。
きさみさん、iMac2019の件ではお世話になりました!
仰るようにこのインテルの第九世代corei9は発熱の点でMacだけでなくwindowsでも問題のようです。私の知り合いでwindowsで自作PCを扱う非常にこの件に
詳しい方がいまして、その方曰くcorei9は確かに早いがその性能をフルに生かすためには一般の空冷では不可能で水冷をを導入しているそうです。同じCPUを搭載したゲームPCのエイリアンウエアもお使いのようですが、不可をかけれるファンの音が尋常ではく時としてシャットダウンしてしまうそうです。詳しいことはわかりませんが、これはMAC、WINDOWS側の責任というよりインテルが10mmのチップを開発できるところ14mmのチップにしてしまったためだとも言っていました。デスクトップはともかく便利である反面コストパファーマンスの悪いBOOK型にこのCPUを搭載することは間違いなく寿命を縮め、買うべきでないとも断言していました。
snake007さん、お久しぶりです!
確かに、ラップトップ(ultrabook)全体における排熱処理技術がCorei9のパフォーマンスを維持できる水準に達していない感じはしますね。
仰る通り、自作PCでCorei9を用いる場合、水冷システムが必須という話はよく聞きます。それでもCPU温度は最高で60〜90度くらいになるようですから、やはりチップの構造上の問題もあるのだと思います。