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4年ぶりに回帰したMacBook Air (M2、2022) は、名前通りの軽さと薄さを手に入れた : 実機レビュー

新しいMacBook Airはより薄く、そして軽くなり、エントリーモデルにふさわしい抜群のモビリティを手に入れた。今年はスペックも妥協しなくていい。大きく明るいディスプレイに、解像度1080pのウェブカメラ、そしてアップルの独自チップ「M2」を搭載している。

11インチの「MacBook Air」が出てからというもの、街に出れば誰かしらがそれを得意げに開いている光景が当たり前だった。ところが2015年に無印の「MacBook」が帰ってくると、大学生はこぞって新しいモデルを買うようになった。

そのあいだもMacBook Airは進化し、「初めてのMac」としてプロモーションされてきたのに。彼らのプライオリティは性能でも価格でもなく、単純に「持ち運びやすさ」だったのだろう。

新しいMacBook Airはより薄く、そして軽くなり、エントリーモデルにふさわしい抜群のモビリティを手に入れた。今年はスペックも妥協しなくていい。大きく明るいディスプレイに、解像度1080pのウェブカメラ、そしてアップルの独自チップ「M2」を搭載している。

PHOTOGRAPH BY KUJO HARU

MacBook Air (M2、2022)
メーカー Apple
発売日 2022年7月
ハード 質量 約1.24kg
サイズ 1.13×30.41×21.5 (cm)
ディスプレイ 13.6インチ Liquid Retina
解像度 2560×1664、224ppi
リフレッシュレート 60Hz
バッテリー 52.6Wh
充電 最大67W 高速充電
インターフェース Thunderbolt 3 (USB 4対応) ×2
3.5mmヘッドホンジャック
MagSafe 3
ソフト OS macOS
SoC Apple M2
CPU : 8コア
GPU : 8コア/10コア
メモリ 8GB/16GB/24GB
ストレージ 256GB/512GB/1TB/2TB
Webカメラ 1080p FaceTime HD
機能 ネットワーク 802.11ax Wi-Fi 6
センサー 指紋認証 (Touch ID)
その他 Bluetooth 5.0
カラバリ ミッドナイト/スターライト/シルバー/スペースグレイ
価格 (公式サイト、執筆時点)
吊るしモデル : 164,800円 (税込)
フルカスタム : 348,800円 (税込)

ブランドイメージを一新

新しいMacBook Airのデザインは、2021年に発売された新型MacBook Pro(14, 16インチ)を踏襲している。

先端に向けて細くなるウェッジシェイプ(くさび形)の代わりに、厚みの均一なフラットデザインが採用された。以前のモデルに比べて、幅は同じながら奥行きはわずかに小さくなっている(21.24 cm→21.5 cm)。

PHOTOGRAPH BY KUJO HARU

厚みは1.13cm。開いたときの薄さが際立つ。 PHOTOGRAPH BY KUJO HARU
厚みは1.13cm。開いたときの薄さが際立つ。 PHOTOGRAPH BY KUJO HARU
14インチMacBook Pro(2021)との比較。 PHOTOGRAPH BY KUJO HARU
14インチMacBook Pro(2021)との比較。 PHOTOGRAPH BY KUJO HARU
左からMacBook(2017)、MacBook Air(2022)、13インチMacBook Pro(2018)。 PHOTOGRAPH BY KUJO HARU

外観は似ていても、「MacBook Pro」よりはずっと薄い。重量はわずか1.24kgだ。それでも往年のMacBookには及ばないが、片手で持てるくらいには軽い。

ファーイーストガジェットの「Blackout Sticker Pro」を貼り付けている。 PHOTOGRAPH BY KUJO HARU

キーボードはフルサイズで、ファンクションキーがフルハイトに改められた。トラックパッドのサイズ感も違和感はない。とにかく、ハードウェアの使いやすさは歴代のMacBookで群を抜いている。

キーボードとディスプレイの間にスピーカーが配置されている。PHOTOGRAPH BY KUJO HARU

それで音楽を流してみると、ディスプレイの奥から音が聞こえてきた。よくみると、キーボードの左右に配されていたスピーカーグリルは姿を消している。代わりの穴はディスプレイとキーボードの隙間に、左右2つずつ設けられた。

左 : MacBook Air(2022)、 右 : MacBook Pro(2018)。 スピーカーグリルの有無に注目。 PHOTOGRAPH BY KUJO HARU

ツイーターとウーファーを組み合わせた4スピーカーシステムだが、音が良くなった実感はない。オンライン上の通話で相手の声がくぐもって聞こえるのも、おそらくはスピーカーの位置が関係しているだろう。

PHOTOGRAPH BY KUJO HARU

ディスプレイのささいな変化、実用上は大きな違い

このモデルの主なターゲットといえば、旧型のMacBook Airや13インチのMacBook Proを使ってきた人だ。刷新されたディスプレイは、少なくともそうした人から評価されるだろう。

PHOTOGRAPH BY KUJO HARU
左 : MacBook Air(2022)、 右 : MacBook Pro(2018)。 PHOTOGRAPH BY KUJO HARU
左 : MacBook Air(2022)、 右 : MacBook Pro(2018)。 PHOTOGRAPH BY KUJO HARU

リフレッシュレート60Hz、いたって普通の液晶ディスプレイだが、従来よりも少しだけ明るい(400→500ニト)。画面は端末の縁まで広がり、そのぶんだけ大型化している(13.3→13.6インチ)。ささいな変化だが、実際の作業では大きな違いになる。

PHOTOGRAPH BY KUJO HARU

画面上部のノッチ(切り欠き)に仕込まれたウェブカメラは、解像度が1080pに向上している。整容上は決して美しくないが、使ってみると案外気にならないのは本当である。

インターフェースに残る課題

新しいMacBook Airのインターフェースは、Type-Cポート2つに、MagSafeコネクタ、そして3.5mmオーディオジャックとシンプルな構成だ。

MacBook Proのように充実したインターフェースを期待していたなら、それは諦めてもらうしかない。

PHOTOGRAPH BY KUJO HARU

Type-CポートはThunderbolt 3/USB 4(最大40Gbps)、USB-C 3.1 Gen2に対応する。マグネット式の充電システム「MagSafe」も同様に備えている。ケーブルに足を引っ掛けてしまうほど乱雑な職場でも、パソコンごと机から落とすことはないだろう。

オーディオジャックは、ハイインピーダンスヘッドフォンに対応した。ヘッドフォンのユーザー層に、MacBook Airは適うだろうか。

もっとも残念なのは、出力可能な外部ディスプレイが1台に制限されていることだ。M2チップになってもなお続くこの仕様は、クラムシェルモードでモニターを活用したい人にとって、大きな障壁となる。

「M2」はパワフルだが、劇的ではない

今回のMacBook Airには、自社開発の新しいチップ「M2」が搭載されている。このチップは8コアのCPUを積んでおり、GPUは旧モデルより2つ多い最大10コアである(吊るしモデルは8コアのGPUを搭載)。

M2チップのクラス
・ 8コアCPU/8コアGPU
・ 8コアCPU/10コアGPU

PHOTOGRAPH BY KUJO HARU

レビューに使用したのは、8コアCPU8コアGPUのチップに、16GBのユニファイドメモリを搭載したモデル。メモリは最大24GBまでカスタムできる。

         M1 M2
CPUコア 8コア (高性能4 + 高効率4) 8コア (高性能4 + 高効率4)2
GPUコア 7コア/8コア 8コア/10コア
NPU 16コア Neural Engine
RAM 8・16GB ユニファイドメモリ
68.2GB/s
8・16・24GB ユニファイドメモリ
100GB/s
メディア
エンジン
1基
トランジスタ 160億個 200億個
M1チップとM2チップの性能比較。 SOURCE BY APPLE

「M2」はM1チップと同等の5nmプロセスで製造されているが、トランジスタ数が160億個から200億個に増えている。「GeekBench 5」のスコアをみれば、同じコア構成でもCPUパフォーマンスが向上していることがわかる。

マルチコア性能では「M1」と「M1 Pro」の中間に位置するが、正直にいってM1チップとの劇的な違いは見出せない。「M2」は強力だが、価格差を考えればM1チップを差し置いてまで選ぶほどのメリットはない。

GeekBench 5 (Single-Core)
MBA 2022
(M2)

1926

MBP 2021
(M1 Pro)

1668

MBP 2020
(M1)

1660

MBP 2018
(8th Core i7)

962

GeekBench 5 (Multi-Core)
MBA 2022
(M2)

8769

MBP 2021
(M1 Pro)

9540

MBP 2020
(M1)

7290

MBP 2018
(8th Core i7)

3301

基準値

実測値。 M1 Pro : 8コアCPU/14コアGPU。 M2 : 8コアCPU/8コアGPU。 環境やパフォーマンスで値は変動する

一方で体感性能は、冷却ファンの有無に左右される。ブラウジングやメール、書類作成などの日常的な作業なら問題ない。Photoshopで複数の画像を編集したり、3Dのレンダリングをする場合は、同じM2チップでもファンを搭載したMacBook Proの方がサクサク動く印象だ。

ファンレスのMacBook Airは排熱性能に難があるわけで、実際に高負荷の作業ではキーボード周りに熱を感じることもあった。

PHOTOGRAPH BY KUJO HARU

ストレージは512GB以上、メモリは16GB以上が無難

新しいMacBook Airを購入する場合、ストレージには注意したほうがいい。基本構成となる256GB SSDは、旧モデルより速度が低下しているからだ。

従来の256GBモデルが128GBのNANDフラッシュメモリを2つ搭載しているのに対し、新型MacBook Airは単一のチップで256GB SSDを構成している。

SSDに保管されるデータはその転送速度に依存することを忘れてはならない。MacBook Airの256GBモデルでは、空き容量が減るにつれ著しい速度低下が生じることがわかっている。この問題は、512GB以上のモデルでは発生しない。

Blackmagic SSD Speed Test (書込速度、MB/s)
M2 MBP
(256GB、2022)

1463

M1 MBP
(256GB、2020)

2215

Blackmagic SSD Speed Test (読込速度、MB/s)
M2 MBP
(256GB、2022)

1446

M1 MBP
(256GB、2020)

2900

内蔵SSDの書込/読込速度テスト。 SOURCE BY MAX TECH

プロセッサの性能を最大限に活かしたいなら、惜しまず512GB以上のストレージを搭載したモデルを選ぶべきだ。

同様に、スワップ(メモリが不足している時に、ストレージ⇄メモリ間で一時的にデータをやり取りする現象)による動作不良のリスクを考えれば、メモリは16GB以上を選ぶのが無難といえる。

ラップトップらしい一台に

新しいデザインのMacBook Airは、名前の通りモビリティに重点をおいた製品に仕上がっている。アップルの独自チップを積んでからは、バッテリー性能の向上も著しい。

実際に使ってみると、80%の輝度で8〜10時間はもつ印象だ。これほどの省電力性はインテル製チップの頃には考えられなかった。

MacBook Airを注文するなら、67WのUSB-C電源アダプタを併せて購入したい。この出力なら、MacBook Airを30分で最大50%まで急速充電ができる。

PHOTOGRAPH BY KUJO HARU

2つの新色「ミッドナイト」と「スターライト」も非常に美しい。レビューに使用したのはスターライトのほうで、「ゴールド」よりも控えめで上品な色調が気に入っている。

それでも、164,800円(税込)から始まる価格構成をみれば、エントリーモデルにはふさわしくないと感じるだろう。予算が限られているなら、なお強力なM1チップを搭載したMacBook Airもいい選択だ。

半導体供給が安定したその時は、新しいMacBook Airが本当のエントリーモデルになることを期待する。それまでの間は、従来のモデルが役目を担うはずだ。