きさみん
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2016年にフルモデルチェンジを果たしたMacBookPro。それからというもの、Proシリーズの評判を見ると必ず目に付くのが「タッチバーは不要」の文言です。
さてこの記事を読んでくださっている方の多くはMBPユーザー、それもTouchBarという慣れないテクノロジーの扱いに苦戦しているものと思いますが、かくいう僕も「TouchBar」を上手く活用できないままただ放置する日々を過ごしていました。
…そう、「BetterTouchTool」に出会うまでは。
カスタムパターンは無限大
「BetterTouchTool」といえばキーボードショートカットやトラックパッドのカスタマイズ機能が有名だが、実はTouchBarのカスタマイズ機能も備えている。
Macのおすすめアプリといえば第一に思いつくのが「BetterTouchTool」。Macの長所とも言えるトラックパッドやマウスのジェスチャー機能をさらに拡張してくれるアプリで、設定次第ではMacの使い勝手を極限まで高めてくれる優秀なアプリです。
そしてこのアプリ、実はTouchBarのカスタマイズ機能も実装しています。実際に使ってみると、そのカスタマイズ性の高さに驚かされることでしょう。
通常、ショートカットを作ろうとしたら「トリガー」(きっかけ。特定のジェスチャー、ボタンを押す、など)と「それに伴う動作」(アクション)を決めてやって、一連のワークフローを作成します。
ワークフローの例。TouchBarのアイコンをタップすると(トリガー)…
NETFLIXのトップページが立ち上がった(アクション)。BetterTouchToolでは「トリガー」と「アクション」を無限通りに指定できる。
BetterTouchToolにはバリエーション豊富な「トリガー」が用意されており、「アクション」は用意されたテンプレートに加え「Automator」で自作したワークフローやAppleScriptも指定できるので、やろうと思えばこれ一つで究極の仕事効率化を実現できてしまう訳です。
きさみん
メロ
きさみん
TouchBarのカスタマイズ例、お見せします
BetterTouchToolの機能がわかったところで、重要なのはその使い方。なので、ここでは例として僕のTouchBarカスタマイズをご紹介したいと思います。ぜひ参考にしてみてください。
② 音量・輝度スライダー
③ Siri
④ スクリーンショット・指定範囲の読みあげ
⑤ すべてのアプリを終了
⑥ 指定URL・アプリの起動と表示(ボタン長押しで終了)
⑦ CPU使用率(ボタンタップでアクティビティモニタを起動)
BetterTouchToolの標準機能に加えて、「Automator」のワークフローやAppleScriptを駆使して「これなら使いたいと思える」TouchBarを目指しました。原型はもはや見る影もありません。
アプリ一つでここまで自由にいじれるっていうのが、本当に驚きですよね。ここからは「どうやって作るのか」、その方法を簡単に解説していきたいと思います。
TouchBarをカスタマイズする前に済ませておきたいのが、大事な環境設定です。
まずBetterTouchTool(以下、BTT)で「タッチバー」の項目を開き、「タッチバーの設定」をクリックしましょう。
TouchBarの設定項目は以下のようになっています。
「macOSのコントロールストリップを表示」のチェックを外すと、デフォルトの項目表示を隠して、BTTで設定した項目だけを表示することができます。
デフォルトでも表示されているesc(エスケープ)キーをそのまま残したい場合は、「タッチバーの左側にESCボタンを表示」にチェックを入れておきましょう。
チェックを外すと元のescキーは表示されなくなりますが、代わりにBTTでカスタマイズしたescボタンを配置することも可能です。
③ファンクションキーも使えるようにする
BetterTouchToolには自分でカスタマイズした項目とファンクションキーをTouchBarで併存させる設定があります。タッチバー設定で「高度」な設定項目を開き、一番上にチェックを入れましょう。すると従来通り、「fn」キーを押すことでファンクションキーがTouchBarに表示されるようになります。


通常時・fnキー押下時のTouchBar
BetterTouchToolの標準機能を活用しよう
① 日付・時刻を表示する
早速オリジナルボタンを追加していきたいのですが、実はあらかじめ用意されたテンプレートがいくつかあって、これを利用すれば簡単にウィジェットボタンを作成することができます。
まずは現在時刻と日時をTouchBar上で表示するウィジェットを追加してみましょう。
BTTのホーム画面から、⑴「タッチバー」を開き、⑵「すべてのアプリ」をクリックします。ここで設定したトリガー・アクションは基本的に全てのアプリ適用されますが、アプリ別に異なる設定を適用することも可能です。
⑶ 下の「+」マークをクリックすると、新しいウィジェットボタンが追加されます。
⑷「Selcet Trigger」を押すと、BTTにあらかじめ用意されたアクションの一覧が表示されます。この中から「タッチバーウィジェット」を選択し、「日付/時刻ウィジェット」をクリックしましょう。次のような詳細設定タブが開くはずです。
設定項目が多くて大変ですが、最低限カスタマイズしたいものを上の画像に示しました。表示方式の設定ですが、基本的なコマンドは以下の通りです。
- yyyy=(西暦)〜年
- MM=月
- dd=日
- aaa=AM or PM(午前 or 午後)
- hh:mm:ss=時:分:秒
- E=曜日
なので、例えば「yyyy年 MM月 dd日 hh:mm」と入力すれば「2019年 02月 23日 09:41」のように表示されます。
あとはアイコンの背景色やフォントカラーを選択、表示順序を指定すれば基本設定は完了です。実際にTouchBar上で表示を確かめてみましょう。
② 音量・明るさ調節スライダーを設置する
これもBTTのテンプレートにあるので簡単に設定できます。先ほどと同様に「Select Trigger」>「タッチバーウィジェット」から「音量スライダーウィジェット」または「明るさスライダーウィジェットを選択します。
設定項目ではスライダーの長さや左右に表示されるアイコン、調節ノブのアイコン等を自由に設定することができます。なんと自分で作成したpng画像を適用することも可能です。細部まで作り込みたい方にはおすすめです。
僕の場合は、左のアイコン(音量スライダーならのマーク)のみ表示させ、右のアイコンは非表示にしています。またノブのアイコンには黒塗りの画像をドラッグしてから、「ノブアイコン白を描く(Draw Knob Icon White)」にチェックを入れて、白抜きで表示しています。
音量スライダー、明るさスライダーはこんな風に表示される。
③ デフォルトと同様の「Siri」を設定する
TouchBarのデフォルト表示を隠すと、Siriの起動ボタンも表示されなくなってしまいます。そこで、デフォルトと同様のSiriボタンをオリジナルTouchBarで復活させます。
これも設定は案外簡単。トリガーを「タッチバーボタン」に設定したあと、目的のアクションを選択します。今回は「OS X機能」という項目に「Siriを起動」というアクションが用意されているので、これを選択しましょう。このようにテンプレートが用意されているアクションを活用すれば、自分でアクションを作成する必要がないので便利です。
これで、
- トリガー:TouchBar上のボタンを押す
- アクション:Siriが起動する
というワークフローができました。
続いて、ボタンの見た目をカスタマイズしていきましょう。アイコン表示欄に、ネットから拾ってきたSIriのPNG画像をドラッグしてやります。
設定画面で「アイコンのみ表示、テキストなし」にチェックを入れると、設定したアイコンのみが表示されるようになります。アイコンの縦幅・横幅は自由に調節可能です。
ちなみに、アプリのアイコンはネットから拾ってくるのではなく「画像」として直接抽出することもできます。
例えばSiriなら、Finderのアプリケーション一覧で「”Siri”をコピー」を選択します。
続いて「プレビュー」アプリを起動して「ファイル」→「クリップボードから新規作成」を選択すると…
アプリアイコンの画像データが表示されました。あとは好きな名前をつけて、png形式で保存するだけです。
④ ボタン一つでスクリーンショット、テキストの読み上げ
スクリーンショットはデフォルトで実装されていますが、これをカスタマイズしたTouchBar上で再現します。方法は③のSiriと同じで、新規項目を追加してトリガーを「タッチバーボタン(=TouchBarのボタンを押す)」、アクションをBTTに元から用意されている 「ScreenShot(スクリーンショット)」に設定するだけです。ボタンの見た目も③と同様にして調整してあげましょう。
この手順で設定できるトリガーとアクションは、次の通りです。
- トリガー:TouchBar上のボタンを押す
- アクション:スクリーンショット機能を立ち上げる
もう一つはボタンを押すだけで選択した範囲を読み上げてくれるショートカット。これがあればお気に入りのブログがオーディオブックになります。
これも設定は簡単で、新規ボタンを作成したあとアクション項目で「キーボードショートカットを送信する」を選択しショートカットキー(⌥G)をアクションとして入力すればOK。⌥Gは選択範囲を読み上げるショートカットです。
BTTで設定したトリガーとアクション
- トリガー:TouchBar上のボタンが押される
- アクション:ショートカットキー 「⌥G」を送信
実際に目に見える結果
- トリガー:TouchBar上のボタンを押す
- アクション:選択した文章が読み上げられる
Automatorのワークフローを活用しよう
Macの純正アプリ「Automator」を使えばもっと複雑なアクションを作ることができます。そしてBTT側でそれをアクションに設定すれば、ボタン一つで様々なアクションを実行するショートカットが作れるわけです。
⑤ 特定のアプリを除く、全てのアプリを終了するショートカット
Automatorを使ったショートカットの例をご紹介します。まずはボタン一つで全てのアプリを閉じることができるショートカット。
Automatorの「ワークフロー」新規書類を開き、左のリストから「すべてのアプリケーションを終了」を選択します。このとき「これだけは閉じたくない」というアプリがあれば、「終了しないもの」リストにアプリを追加すればOK。
あとはBTT側で新規ボタンを作成(やり方は③Siri起動ボタンの場合と同じ)して、アクションで「Automator ワークフローを開始」を選択、先ほど作ったワークフローを指定してあげます。
BTTで設定したトリガーとアクション
- トリガー:TouchBar上のボタンが押される
- アクション:指定したAutomatorワークフローを実行する
実際に目に見える結果
- トリガー:TouchBar上のボタンを押す
- アクション:例外を除く全てのアプリが終了する
という一連の流れができましたね。
あとは③と同様に、設定項目からボタンの見た目を調整するだけです。
⑥ まるでスマホの様なアプリアイコンを設置しよう
SafariやGoogleChromeでよく開くサイトは通常、ブックマークに保存したりお気に入りに登録したりしてすぐに開けるようにするものです。…実は、もっと素早くアクセスする方法があります。
Automatorを活用しましょう。「ワークフロー」形式で新規書類を開き、上の様なアクションを作成します。
- 「指定されたURLを取得」で開きたいサイトのURLを入力する
- 「Webページを表示」で指定したサイトをブラウザで表示する
続いてBTT側で先程と同様にボタンを作成、今作ったワークフローをアクションとして設定してやります(アクション設定で「Automator ワークフローを開始」を選択する)。これだけで、ボタンを押せば指定したサイトが表示されるショートカットの完成です。
僕はPocketやGoogleカレンダー、Youtube、NETFLIXなどよく開くサイトに直接アクセスできるアイコンをTouchBar上に並べています。


実際に目に見える結果
- トリガー:TouchBar上のボタンを押す
- アクション:指定したWebサイトが立ち上がる
メロ
サイトだけでなく、特定の「アプリ」を立ち上げるショートカットも作れます。この場合はAutomatorを使わなくても、BTTに予め用意されたテンプレートだけで完結します。
特定のアプリを開きたい場合は、アクション設定から「他のアプリケーションを制御する」>「アプリケーションを起動/ファイルを起動/Apple Scriptを開始する」を選択し、開きたいアプリを指定すればOK。
BTTでは、同じボタンに「短くタップした時」と「長押しした時」で別のアクションを設定することができます。ただし方法はちょっと複雑です。
例えば先ほどの ⑥アプリアイコン で、
・短くタップ→指定したアプリ・サイトを起動して表示
・長押し→アプリを終了
という別々のアクションを設定するとします。この場合、⑥で作成したトリガー・アクションとは別に、以下のようなトリガー・アクションの組み合わせを別個に作成しなければなりません。
実際に目に見える結果
- トリガー:ボタンを長押しする
- アクション:指定したアプリを終了する
指定したアプリを終了する方法はいくつかあります。一番簡単なのは、アプリを閉じるショートカットキー(⌘Q)を特定のアプリに送信するものです(初級編④を参照)。Automatorでアプリを閉じるワークフローを作成しても良いでしょう。
このトリガー・アクションは「タッチバー項目」で直接作成することができず、予め別の項目で作成してから間接的に紐付けする必要があります。まず「その他のトリガー」タブを開き、「Reusable Named Trigger(名前付きトリガー)」をトリガーに選択します。アクションは特定のアプリを終了するように指定すればOKです。
続いて「タッチバー」設定に戻り、アクションを適用したい項目を開きます。「長押し操作」という項目を見つけて、先ほど作成した名前付きトリガーを指定しましょう。これで、
- トリガー:ボタンを長押しする
- アクション:指定された名前のアクションを実行する
という一連の流れができました。
スクリプトで複雑なアクションを作ろう
ここまで色々学んでくると、もっと複雑なショートカットを作りたい、と思う方もいるんじゃないでしょうか。結論から言うと、できないことはないです。スクリプトを書けることができればという条件付きですが…
とはいえ、ShellScriptやAppleScriptのコード集は探せばたくさん出回っているので、案外コピペだけで使えてしまうことも少なくありません。
⑦ CPU使用率を表示する
TouchBar上にCPUの使用率を常に表示するウィジェットです。仕組みとしては、ps
コマンドで取得したCPU使用率をTouchBar上に表示するというもの。
トリガー設定から「シェルスクリプト/タスクウィジェット」を選択します。そして実行するスクリプトを書き込んでいく…という流れが基本になります。
今回はottanxyzさんが公開しているソースコードを使わせていただきました。こちらのサイトではメモリの使用率やバッテリー残量を表示するスクリプトも紹介されていますので、ぜひ参考にしてみてはいかがでしょうか。
さらに、中級編⑥の方法を利用して、CPU使用率のボタンをタップするとアクティビティモニタが起動するようにしました。これでパソコンの状態をいつでもチェックすることができるようになりました。
実際に目に見える結果
- トリガー:CPU使用率をボタンに表示
- アクション:(ボタンを押したとき)アクティビティモニタを起動
きさみん
メロ
TouchBarは使い方次第で十分活かせる
「正直TouchBarってなんのためにあるんやろ…」と思っていた僕ですが、BetterTouchToolでカスタマイズしてからというもの、TouchBarは僕のPCライフに欠かせない存在になってしまいました。
そりゃだって、よく使うショートカットだけを厳選して並べているんですもの、当然使う機会は多くなるはずです。TouchBarを初めて目にした時からずっと持て余していた「違和感」が解消され、真の合理性を宿したMacBook Proがここに誕生しました。
だから、これを読んでくださった貴方も諦めないでほしい。もう一度TouchBarの可能性に目を向けてほしい。この記事がそのきっかけになれば幸いだと思っています。
BetterTouchToolのインストール方法
今回紹介したBetterTouchToolですが、AppStoreでは購入できないので注意してください。アプリは公式サイトからダウンロードできます。
ただしこのソフト、有料です。支払い方法は色々ありますが、僕がオススメするのは同社が販売する別のソフト「BetterSnapTool」を買い切り360円で購入することです。
このアプリを購入すると、BetterTouchToolのアクティベーションコードもタダでついてきます。しかも「BetterSnapTool」はAppStoreからダウンロード可能なので、2つの神アプリをお手軽にゲットできちゃいます。
次に読みたい:BetterTouchTool×GoodNotesで最高の使い勝手を手に入れる
「BetterTouchTool」ではトラックパッドのジェスチャーに特定のショートカットや自作プログラム(AppleScriptやAutomatorなど)を割り当てることができます。次の記事ではこの機能をフル活用して、Mac用のノートアプリ「GoodNotes 5 for Mac」の使い勝手を格段に向上させる方法をご紹介します。
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