Apple Watchは、定期的に新製品がリリースされます。2022年は「Apple Watch Ultra」に加えて「Apple Watch Series 8」と、機能を限定して価格を抑えた「Apple Watch SE」(第2世代)の3つが発売されました。
Apple Watch Series 8は見慣れた長方形のデザインで、ケースサイズは41mmと45mmの2種類が用意されています。
一方でApple Watch SEのケースサイズは40mmと44mmの2種類で、Apple Watch Series 8に比べると小柄です。また背面の素材がナイロン複合材に変わっており、サイズ感も相まって非常に軽く感じられます。
PHOTOGRAPH BY KUJO HARU
Apple Watch SE(第2世代) | |
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ケースサイズ | 44mm/40mm |
ディスプレイ | Retinaディスプレイ |
解像度 | 44mmケース 368×448px 40mmケース 324×394px |
本体素材 | アルミニウム |
耐水性能 | 50m(泳げる耐水性能) |
ウェルネス | 高心拍数と低心拍数の通知 不規則な心拍リズムの通知 心肺機能レベルの通知 |
SOS | 緊急SOS 海外における緊急通報 転倒検出 衝突事故検出 高重力加速度センサー ジャイロスコープ コンパスバックトレース |
バッテリー | 最大18時間 |
本体素材 カラー |
アルミニウム: ミッドナイト、スターライト、シルバー |
サイズ | 44mmケース 44mm x 38mm x 10.7mm 40mmケース 40mm x 34mm x 10.7mm |
重量 | 44mmケース 32.9 g(GPSモデル) 33.0 g(GPS + Cellularモデル) 40mmケース 26.4 g(GPSモデル) 27.8 g(GPS + Cellularモデル) |
細い腕に40mmがピッタリ
今回Apple Watch SEをつける腕は、親指と中指でつくった輪にすっぽりと収まるくらいの細さ。40mmのアルミニウムケースとソロループ(サイズ3)の組み合わせがフィットしました。
スターライトの筐体は「iPad mini」や「MacBook Air」と共通の仕様。ベージュカラーの「ブレイデッドソロループ」は上品な見た目で肌触りも良く、とても気に入っています。
Apple Watch SEの第1世代と比べて約4g軽くなっており、付け心地や取り回しの良さに優れています。SEはIPX6等級の耐水性を備えていますが、防水ではありません。耐久性ではApple Watch Series 8に譲ります。
使える機能、注目の新機能
Apple Watchで謳われるヘルスケア機能の多くは、他社のウェアラブル製品に搭載されているものと同じです。ところが個々の測定精度に関しては抜きん出るものがあります。
「Apple Watch Series 4」を使っていたときに、風邪をひいて数日ほど寝込んだことがあります。経過に応じて体温や心拍数の測定値が変化する様子は実感に近いもので、Apple Watchの正確さを知る体験でした。
Apple Watch SEでは心拍数(脈拍)を記録し、鼓動のリズムが早すぎるか低すぎる場合に知らせてくれます。一方で、血中酸素濃度や心電図、皮膚温センサーを使った正確な月経周期の推定といった最新の機能は備わっていません。
Apple Watchは背面のセンサーで脈拍や身体データを計測する。 PHOTOGRAPH BY KUJO HARU
Series 4以降で搭載されている転倒検出機能は55歳以上のユーザーで自動的にオンになり、転んだ場合にアラートを通知するものです。反応がない場合は、1分後に緊急電話を自動的に発信し、緊急連絡先にメッセージを送信します。
新たに加わった「衝突事故検知」機能では自動車事故による激しい衝突を検知し、チャイム音や振動で知らせてくれます。セルラーモデルかWi-Fi接続があれば、ユーザーの反応がない場合に自動で通報します。
こうした機能は、たとえば祖父母の見守りや、お出かけ中の子どもに異常がないかを確認するときに役立つでしょう。GPS機能を有効にすれば、iPhoneの「探す」アプリから居場所を常に確認することができます。
「睡眠」アプリでは日々のスケジュールやアラームを設定したり、睡眠時間や眠りの深さを記録することができます。測定された身体データはiPhoneの「ヘルスケア」アプリに集約されます。
自身の健康状態を把握し、継続的に管理するのは大変な作業です。面倒な測定や記録を実現し、健康上の不安があれば自動で知らせてくれる。これこそApple Watchを使う醍醐味であり、一番の目的といっていいでしょう。
watchOS 9を搭載
最新のソフトウェア「watchOS 9」は、「Apple Watch Series 4」以降の全モデルで利用できます。
Apple Watch SEはケースサイズが小さく取り回しに長けている一方、バッテリー駆動時間の短さが欠点。通常の使用では18時間しか持たないのですが、新たに加わった「低電力モード」をオンにすることで、丸一日充電なしで使うことができました。
PHOTOGRAPH BY KUJO HARU
Apple Watchのために用意された豊富な文字盤も魅力のひとつ。watchOS 9では新しい文字盤が4種類追加されています。
クラシックなアナログ時計を再現した「メトロポリタン」は、「デジタルクラウン」と呼ばれる竜頭型のダイヤルを回すことでスタイルが変化するユニークな仕様です。月の満ち欠けと暦を表現した「ルナー」は、美しいデザインで太陰暦を学ぶことができます。
対応する文字盤であれば、四隅に自分好みのショートカット(”コンプリケーション”と呼ばれる)を設定することもできます。ここにカレンダーやTO DOリストなどを配置することで、狭い画面であっても多くの情報を詰め込むことができるのです。
買い替えの価値はあるか
「Apple Watch SE」には他のモデルと比べて機能が制限されているものの、iPhoneやスマートホームとの連携やヘルスケアの面で多くの人が満足できる性能を備えています。
上位モデルの「Apple Watch Series 8」や「Apple Watch Ultra」は非常に高価なので、はじめてのスマートウォッチにはSEを選ぶのが良いかもしれません。
第1世代の「Apple Watch SE」や「Apple Watch Series 3」以前のモデルを使っている人であれば、新しいApple Watchに買い換える価値はありそうです。
PHOTOGRAPH BY KUJO HARU
心電図や血中酸素濃度の測定など、より高度なヘルスケア機能を求めるのであれば、いくらか値下がりした「Apple Watch Series 7」(2021年発売)を購入するのがおすすめです。Apple Watch Series 8と耐久性や基本性能は同じで、足りないものは皮膚温センサーと衝突事故検知機能だけです。
最近のアップル端末はファミリー共有設定に対応しており、Apple Watchは大切な家族の居場所や体調を把握するツールとしても活躍するでしょう。自分以外の誰かを想ってスマートウォッチを選ぶ機会が、今後は増えるかもしれません。