これは、マイクロソフト(Microsoft)の新しい「Surface Go 2」。「Surface Book 3」と同時に発表され、初代「Suface Go」の後継にあたる機種です。
マイクロソフト謹製のデバイスであることを踏まえれば、最大の特徴は65,780円というその価格帯であり、6万円で手に入るWindows PCの中では最も高品質なモデルの一つなのが魅力です。
エントリーデバイスとしての立場上ベース構成に費用を投じるのはコスパが悪い気もしますが、Surface Go 2の場合85,580円のオプションでRAMは倍に(4→8GB)、ストレージも倍に(64→128GB)、しかもデータの読み書き速度まで向上するので、予算に余裕があればこちらを選択するのが賢明です。
一方で、今回のモデルには新たに Intel Core M3プロセッサのオプションも追加されましたが、これを選択すると価格が107,580円に跳ね上がってしまうのが難点です。10.5インチのエントリー機に10万円を支払う価値があるのか、これは議論のしがいがありそうですね。
Surface Go 2
10.5インチ
3:2 Pixel Senseディスプレイ(タッチ対応)
ベースモデルはPentium Gold Processor 4425Y
第8世代Core m3プロセッサのオプションも登場
eMMC:64GB、SSD:128GB
メモリ4GB/8GB
USB-C×1
ヘッドホンジャック
Surface Connect
MicroSDカードリーダー
Wi-Fi:544g〜 LTE:533g〜(タイプカバー含まず)
Windows 10 Home
65,780円から
日本発売は5月12日
外観とスクリーン
Surface GoのデザインはSurface Proシリーズのそれを確かに継承しており、マグネシウムで統一された美しいボディーがビルドクオリティーの高さを伺わせます。丸みを帯びた角は手に持った時の違和感を減らしてくれる秀逸な設計です。
Surface Go 2の本体サイズや厚み・重量はSurface Goから変わっていないので、その分大きくなったタッチスクリーン(10→10.5インチ)は印象的に感じられます。やや太かったベゼルはより細く、スマートな見た目になりました。
わずか0.5インチの差でも新しいSurface Go 2はずっとスマートに見える
初代Surface Goの時からそうですが、十分な解像度を有しシャープで明るいディスプレイは、6万円台のデバイスに搭載されたスクリーンの中では群を抜いて優れた品質を誇ります。今、Surface Go 2の解像度は1920×1280(220PPI)まで引き上げられよりシャープな表現力を実現しました。
Surfaceシリーズに採用される3:2の画面比率は、Surface Goのようなミニマムデバイスでこそ本領を発揮します。Windows PCのなかで10.5インチという画面サイズはやや小さく思われますが、ワイドディスプレイ(16:9)に比べて画面が縦に長いおかげで、ブラウジングやライティングのような縦読み作業は思ったより快適にこなすことができます。
Surface Pen(別売)を購入すればスタイラス付きのタブレットデバイスとしての使用も可能で、Surface Goの経験を踏まえればタブレットとしての使用感は「悪くない」と思います。サイズ・重量においてアップルのiPad(10.2インチ)やiPad Pro(11インチ)が比較対象になりますが、プロセッサやOSの違いも含め一概にどちらが良いと言うことはできません。
Surface Go 2とiPad Proの重量比較(キーボード含む)。どちらも全モデル中最も軽いものを示している
内部スペック
ちょっと残念なのは、ベースモデルは初代に引き続きIntel Pentium Goldプロセッサを搭載している点でしょうか。とはいえ前モデルの4415Yでもネットサーフィンやメールのような仕事関連の基本的なタスクならスムーズに動作していたので、Surface Go 2で採用された4425Yにも同等の性能を期待できるでしょう。問題はオプションとして新たに用意されたCore m3の方で、こちらはMacBook 12インチに搭載されていたものに近いモデル(おそらく8100Y?)と推察されますが、4415Yより64%(公称値)はやい処理性能を手に入れる代わりに価格は10万円の大台を超えてしまうのが難点。
モデル | Intel Pentium Gold 4415Y | Intel Core m3 8100Y |
CPU速度 | 2×1.6GHz | 2×1.1GHz |
GPUクロック速度 | 300MHz | 300MHz |
RAM/チャネル | 1866MHz/2 | 1866MHz/2 |
最大メモリ幅 | 29.8GB/s | 33.3GB/s |
PassMarkスコア (Single) |
865 | 1858 |
PassMarkスコア (Multi) |
1616 | 2898 |
Source:versus。Intel Pentium Gold 4415Yは初代Surface Goに搭載の型番。Surface Go 2に搭載されるPentium Gold 4425Yではこれ以上の性能が期待される。
上は初代Surface Goに搭載されていた4415YプロセッサとSurface Go 2のオプション(第8世代Core m3プロセッサ)の性能を比較したものですが、PassMarkスコアで1.7倍程度の差…うーん。
実際のところSurface Go 2のベースモデルに搭載される4425Yは4415Yの性能を多少なり上回るでしょうから、2万円をさらに投資してCore m3の上位モデルを手に入れるメリットがあるか?と問われれば、僕はあまりないと思います。思いますが、このモデルにのみ常時インターネット接続のLTEオプションが付いているのは捨てがたい魅力です(この点において、ベースモデルと上位モデルは明確に棲み分けがなされています。後者は明らかにiPad Proを意識したスペックになっているのも興味深い点です)。
その他Surface Go 2のベース構成(65,780円)は、Intel UHD Graphics 615、4GB RAM、64GBのEMMCストレージといった具合。EMMCはSSDに比べて読み書き速度は劣りますが、データとしての性能差は実際に測定するまで何とも言えません。一方で、85,580円のミッドティアモデルは同じ2万円の追加投資でも倍の8GB RAMに倍の128GBのSSDストレージがついてくるお得仕様になっていて、コストパフォーマンス的にはやはり中位モデルが一番魅力的な選択肢になるでしょう。
別売のキーボードは16,940円(執筆時点)の高級品だが、品質は値段相応に良い。Image:Microsoft
その他ハードの特徴
Surface Go 2のフロントカメラ(1080p)は6万円の端末とは思えないほど質が高いです。初代Surface Goで既に、MacBook 12インチ(720p)や最新のMacBook Air(720p)よりもずっと綺麗で繊細な品質のカメラを備えていたのです。
キーボードは残念ながら別売で、16,940円もする高級品なのがさらに残念なポイントではありますが、ほぼフルサイズで標準配列のキーボードはコンパクトなサイズの割に打ちづらさを感じませんし、トラックパッドの正確性や滑らかさも値段相応に優れています。
ビジネスマンや学生はもちろんのこと、子供向けの「最初のパソコン」としてSurface Go 2を購入する場合でもキーボードはセットで購入するべきです。なぜならキーボードがあるだけで生産性もできることも桁違いに広がり、長期的な使用を見据えれば大きなメリットになるから。
ただし本体とキーボードを合わせると安くても8万円を超えてしまうのは(たとえ質が良くても)素直に納得できない事実です。
キックスタンドやインターフェースなど、オリジナルのSurfaceと同じ特徴を有している。汎用規格のUSB-Cが一つしか搭載されていないのはやや心許ない気もする。IMAGE BY Microsoft
Windows Hello(顔認証)は便利だし、バッテリー持続時間は公称値で10時間(前モデルは約7時間)とかなり伸びました。インターフェースは独自規格のSurface Connectが1個、そしてUSB-Cポートが1個というシンプルな構成。
USB-CポートはThunderbolt 3非対応ですが、決してこのデバイスに求められるものではないので妥当なスペックになるでしょう。
初代Surface Goに引き続き、Surface Go 2は全体的にみて非常に完成されたデバイスだと思います。何より驚きなのは、6万円でこれだけ高質な製品を作ることができるということであり、安くても確かに動くWindows PCを求めるすべての人にこのモデルをおすすめすることができます。