HTC 「VIVE XR Elite」
VRヘッドセットの代名詞となった 「Meta Quest」 。 現在は上位機種にあたる 「Meta Quest Pro」 が発売されていますが、 HTCから対抗馬となるヘッドセットが発表されました。
「VIVE XR Elite」 はPC接続を必要としないスタンドアローンの複合現実(MR)ヘッドセットで、 4K解像度、 90Hzのリフレッシュレート、 最大110度の視野角、 RGBパススルーカメラを備えています。
本体273g、 ヘッドストラップ装着時でも625gと軽量で、 バッテリーが着脱式になっており取り回しに優れているのが特徴。 ワイヤレスコントローラーはハンドトラッキングに対応する一方、 「Meta Quest Pro」 が備えるアイトラッキング・フェイストラッキングには非対応です。 日本でもすでに予約を受け付けており、 価格は179,000円(税込)となっています。
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Shiftall 「mutalk」
日本のShiftallが開発した 「mutalk」 は、 パブリックスペースや自宅で大きな声を出したい人に適したBluetoothマイクです。 はたから見れば口輪にも見えるユニークなデバイスですが、 一度装着すれば優れた密閉性で音漏れを防ぎます。
カフェで参加するオンライン会議や、 マンションの一室で開くリモート飲み会。 mutalkは、 これらの心理的ハードルを下げてくれるかもしれません。 実際にはVRやメタバース、 ボイスチャットでの使用を想定しているようで、 本体を保持するバンドによりハンズフリーでゲームに没頭できることをアピールします。
同じくShiftallが開発するVRヘッドセット 「MeganeX」 と併せて装用すれば、 まさしくサイボーグのような出で立ちに。 メタバースの世界で気兼ねなく会話を楽しみたいなら、 mutalkが効果的なツールになるかもしれません。
”空飛ぶクルマ” 「ASKA A5」
CESの会場でひときわ注目を集めたモビリティといえば、 米国発のスタートアップ・ASKA(アスカ)が開発した”空飛ぶクルマ”です。 展示された機体は最新鋭の 「A5」 。 4人乗りの小柄な機体にプロペラを6つ搭載しており、 折り畳むと四輪の自動車に変形します。
モーター・エンジンで駆動し、 一度の充電で東京−大阪間に匹敵する約400キロメートルを飛行できます。 A5の実機は今回が初公開で、 現地の来場者を驚かせました。
物流の側面でドローンを用いた空輸が現実味を帯びるなか、 人を運ぶ次世代の交通システムに注目が集まっています。 垂直離着陸が可能な 「空飛ぶクルマ」 (eVTOL:electrical vertical take-off and landing)もその一つで、 日本でも経済産業省が策定したロードマップにもとづき、 機体開発や離発着場のモデル検討が進められてきました。
今回のCESでは国内企業のSkyDrive(スカイドライブ)やフランス・MACA、 韓国・PLANAも空飛ぶクルマのコンセプトを出展しており、 この分野の激しい競争が伺えます。
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ソニー・ホンダモビリティ 「AFFELA」
自動車メーカーとテック企業の連携は、 CES2023を象徴づける出来事のひとつと言えるでしょう。 ソニーは 「CES 2020」 で最初のコンセプトカーを発表して聴衆を驚かせたのち、 製造パートナーのホンダと手を組み電気自動車(EV)のブランド 「AFEELA(アフィーラ)」 を立ち上げました。
ついにお披露目となったAFEELAのプロトタイプはフロントバンパーにデジタルディスプレイを備えるほか、 45個のカメラとセンサー、 自動運転用のLiDAR(ライダー)を搭載。 半導体メーカーのクアルコムとシステムを共同開発し、 運転時に得られる道路やナビゲーション、 安全管理など膨大なデータをバックグラウンドで処理することができます。
AFFELAは特定条件下での自動運転が可能な 「レベル3」 を目指しており、 現在は市街地など開かれた運転条件下での支援を可能とする 「レベル2+」 の開発に取り組んでいます。
車内を覆い尽くすディスプレイは圧巻で、 運転情報だけでなく映画やゲームなど様々なコンテンツを楽しめる空間に仕上がっています。 さらに 「フォートナイト」 を手がける米・エピックゲームズの 「Unreal Engine」 を用いて、 3Dグラフィックや拡張現実(AR)を融合させたナビゲーションを提供するとしました。AFFELAのファーストモデルは米国で2025年前半に先行予約を開始し、 26年に出荷開始される予定となっています。
BMWのコンセプトカー 「i Vision Dee」
街中を走るクルマのボディーカラーといえばどれも白黒か落ち着いた単色で、 フォルムを除けばいたって没個性的です。 BMWが発表したコンセプトカー 「i Vision Dee」 は、 こうした無機質なクルマのイメージを変えるかもしれません。
電子ペーパーではおなじみの技術 「E Ink」 を車体に埋め込んだコンセプトカーは、 指示ひとつでボディーを好きな色に変えられるばかりか、 グリルやヘッドライトでパターンをつくることもできます。 フロントガラスはヘッドアップディスプレイ(HUD)になっているので、 道路情報を眼前に映し出すといった使い方も可能です。
BMWは 「CES 2022」 でボディーカラーが黒から白へと変わるコンセプトカー 「iX Flow」 を発表していましたが、 新しいコンセプトカーではE Inkディスプレイを採用したことで32色の表現が可能になったほか、 240枚のパネルをそれぞれ別の色に変えて芸術的な一台を創り出すこともできます。
i Vision Deeのもう一つの狙いは、 来る自動運転時代に最適化された室内空間の構築にあります。 BMWは複合現実(MR)の技術を用いることで、 自動車の進路予測やナビを拡張現実(AR)で投影したり、 フロントガラスいっぱいにバーチャル画面を表示する仕組みを開発しました。
BMWが 「ミクスト・リアリティ・スライダー」 と呼ぶこの機能は 「ステージ1」 から 「ステージ5」 まであり、 ステージ5にいたると窓全体がバーチャル画面で覆われ、 外界と遮断されます。 やがて自動運転が普及しドライバーがハンドルを握らない時間が増えると、 車内におけるエンターテインメントのあり方により多くの企業が関心をもつでしょう。
i Vision Deeは今のところコンセプトに過ぎませんが、 機能の一部は今後の自動車に採用される見通しです。
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