はっきり言って、 自分をコアなモバイルゲーマーと思ったことは一度もない。 ゲームアプリは山ほど入れているが、 そのどれもが移動中の暇つぶしか、 ひと仕事終えたあとの気晴らし程度である。
その理由を考えてみると、 ある結論に行き着いた。 スマートフォンで得られるゲーム体験は総じて、 チープすぎるのだ。
この問題は、 ソフトとハードの両方に起因するだろう。 まず大概のモバイルゲームは、 コンソールのそれに比べて出来が悪い。 もちろん上質なタイトルもあるが、 有象無象の中から掘り起こすのは至難の業だ。
仮に好きなゲームを見つけたとしても、 スマートフォンという筐体が快適なプレイングを邪魔してくる。 ディスプレイの上で指を踊らせたとて没入感は得られないし、 ホットプレートのごとく熱された本体に両手が耐えられないのである。
ところが、 ASUSが作った新しいスマートフォン 「ROG Phone 6」 なら、 こうした問題をユニークに解決してくれる。 「ゲーミングスマホ」 を名乗っているから、 ゲームに特化した筐体を用意するのは当然である。 重要なのは、 プレイ体験そのものに働きかける高度な機能とオプションを備えている点だ。
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PHOTOGRAPH BY KUJO HARU
ROG Phone 6 | ||
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メーカー | ASUS | |
発売日 | 2022年10月(国内) | |
ハード | 質量 | 約239 g |
サイズ | 約173×約77×約10.4 (mm) | |
ディスプレイ | 6.78インチ AMOLED | |
解像度 | 2448×1080(FHD+) | |
リフレッシュレート | 最大165Hz | |
バッテリー | 6,000mAh(3,000+3,000 デュアルセル) | |
充電 | 下面 : USB 2.0 Type-C、 左側面 : USB 3.1 Type-C 最大65W (Quick Charge 5.0/USB PD 3.0) |
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防水防塵 | IPX4 | |
インターフェース | USB TypeC×2、 オーディオジャック | |
ソフト | OS | Android 12 (ROG UI) |
SoC | Qualcomm Snapdragon 8+ Gen1 | |
RAM | 12GB/16GB | |
ストレージ | 256GB/512GB | |
カメラ | リアカメラ | 50MP(広角)、 13MP(超広角)、 5MP(マクロ) |
フロントカメラ | 12MP(広角) | |
機能 | ネットワーク | 5G、 4GLTE、 3G |
SIM | nanoSIM×2 | |
センサー | 画面内指紋認証、 超音波センサー(AirTrigger 6)ほか | |
その他 | VoLTE、 Bluetooth 5.2、 Wi-Fi 6E、 NFC対応 Felica非対応、 ワイヤレス充電非対応 |
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カラバリ | ファントムブラック、 ストームホワイト |
ゲーム体験を変える機能
前提として、 ゲーミングスマートフォンでしか遊べないタイトルは存在しないと言っていい。 一定以上の性能を備えたスマートフォンであれば、 大半のゲームは問題なく遊べる。 それでもROG Phoneを選びたくなるのは、 プレイングを楽しくするような機能が揃っているからだ。
たとえば、 ROG Phone 6の両肩には 「AirTrigger 6」 と呼ばれるボタンが付いている。 タッチセンサーで反応し、 押し込むと振動が返ってくる見えないボタンだ。 横持ちが基本のモバイルゲームにおいて、 AirTriggerはコントローラーで言うところのL/Rボタンとして機能する。
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ROG Phone 6の両肩に配された超音波センサー 「AirTrigger 6」 は、 コントローラーのL/Rボタンとして機能する。 PHOTOGRAPH BY KUJO HARU
「アスファルト9:Legends」 を例に考えてみよう。 この手のゲームは画面をタップしてドリフトやブーストを操作するため、 自分の指で肝心の画面が見えなくなるという欠点を抱えている。 ところがAirTriggerに操作を割り当ててしまえば、 こうした問題は見事に解決してしまうのだ。 通常の物理ボタンと異なりダブルタップやスライド操作が可能で、 割り当て方によって様々な活用ができるのも強みと言える。
「Game Genie(ゲームジニー)」 はプレイ中にいつでも呼び出せる便利なダッシュボードで、 ゲーム体験の向上に役立つさまざまな機能を備えている。 たとえば、 ゲーム中の通知や着信をブロックしたり、 画面輝度を一定に保ったり、 誤ってゲームを閉じてしまうのを防ぐロック機能などだ。
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「Game Genie」 はプレイング設定をまとめたダッシュボードで、 モバイルゲームをプレイ中に上隅からスワイプすることで呼び出せる。 PHOTOGRAPH BY KUJO HARU
ほかには、 画面上にショートカットボタンを置くと、 ワンタップでプレイ画面の録画やスクリーンショットが撮れるようになる。 複雑なタップ操作を再現するマクロ機能や、 プレイ中に他のアプリをフローティング表示する機能もある。 たとえば、 グーグル検索で攻略やヒントを参照しながら、 じっくり遊びたい時に重宝する。
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抜群のパフォーマンス
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PHOTOGRAPH BY KUJO HARU
「X モード」 は、 ROG Phone 6の重要な機能の一つと言えるだろう。 いわゆるゲームモードのことで、 システム出力やサーマルスロットリングのしきい値を引き上げたり、 タッチ感度やネットワーク接続を調整してくれる。 別売のアクセサリである 「AeroActive Cooler 6」 を取り付けることで 「X モード+」 に切り替わり、 より強力なパフォーマンスを引き出すことが可能だ。
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システムアプリ 「Armoury Crate」 には対応するゲームタイトルがまとめられており、 いつでもインストール可能
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Xモードは、 Armoury Crateのアプリ上から設定できる
ROG Phone 6はCPUにクアルコムの 「Snapdragon 8+ Gen1」 を搭載しているが、 X モードをオンにした状態では、 他のモデルより高いベンチマークを記録した。 「8+ Gen1」 が現行最上位のハイエンドCPUであることを踏まえると、 ROG Phone 6は現時点で最もパワフルなAndroidスマートフォンのひとつと言えるだろう。
ROG Phone 6 : 実測値。 SOURCE : GeekBench
こうした便利な機能は、 システムアプリ 「Armoury Crate」 から簡単に設定できる。 ROG Phone 6は最大165Hzの画面リフレッシュレートに対応したが(前モデルは144Hzまで)、 すべてのゲームがこの性能を引き出せるわけではない。 幸い、 Armoury Crateには対応するゲームタイトルがまとめられており、 気になったらすぐにインストールできる。
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PHOTOGRAPH BY KUJO HARU
冷却性能に文句なし
優れたパフォーマンスに欠かせない要素として、 スマートフォンの適切な冷却が挙げられる。 負荷の高いゲームほど本体の温度は上がりやすい。 そうして熱くなればなるほど、 時間とともにパフォーマンスは落ちていく。
これを防ぐため、 ROG Phone 6の冷却システムには改良が加えられている。 CPUが本体の中央に配されているので、 四隅に効率よく熱を逃すことができ、 なおかつ発熱部位に指が触れることもない。 実際に 「PUBG Mobile」 を1時間ほどプレイしてみたが、 本体の発熱はかなり良く抑えられていた。
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ROG Phone 6に取り付けた 「AeroActive Cooler 6」 。 PHOTOGRAPH BY ASUS
より快適にゲームをプレイしたいなら、 オプションの空冷ファンを併用するのも手だ。 「AeroActive Cooler 6」 は本体から直接給電できるグリップオンクーラーで、 優れた冷却性能を有している。 ASUSによれば、 このファンを使うと背面の表面温度を最大25℃も下げられるという。
AeroActive Cooler 6には4つの物理ボタンとスマートフォンを立てられるキックスタンドも付いている。
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PHOTOGRAPH BY KUJO HARU
バッテリーシステムも特徴的で、 3,000mAhのセルを左右に2つ並べることで、 発熱を抑えながら6,000mAhの容量を確保している。 バッテリーの寿命を延ばすための機能も充実していて、 たとえば充電速度を一定にしたり、 充電量を80%に制限したりできる。
さらにROG Phone 6では、 65Wの急速充電に対応した。 適切なアダプタとケーブルを使えば、 50%の充電に10分もかからないのである。 なんなら、 プレイ中に充電したって構わない。 このスマートフォンは、 側面に2つ目のUSB-Cポートを有しているのだ。 おかげで、 ケーブルが邪魔になることはない。 ”充電”と”給電”を設定で切り替えることにより、 発熱を抑えることもできる。
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シリーズの流れを汲むデザイン
ROG Phone 6には、 これまでのアップデートで培われてきたROGブランドのデザイン哲学が継承されている。 たとえば背面のロゴグラフィックはRGBライトで色彩や発光パターンを調節できるのがユニークで、 意見の違いはあれど本体を唯一無二の個性的な一台に仕立てている(もちろん、 オフにすることもできる) 。
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PHOTOGRAPH BY KUJO HARU
ひとつ明らかな変化は、 大型化したカメラバンプだ。 5000万画素のメインカメラはソニーのIMX766センサーを採用しており、 どんな時もビビッドで精細な一枚を撮ってくれる。 ポートレートのボケ感も自然だし、 ナイトモードで光源が白飛びすることもない。
一方、 1300万画素の超広角カメラで撮った写真はよく見るとディテールが潰れており、 失望はないが感動もない。 接写用のマクロカメラ(500万画素)に至ってはさすがに非実用的で、 必要に思えなかった。
ROG Phone 6のハード的な魅力は、 やはりゲーム体験と結びついている。 たとえば2つのフロントスピーカーは低音がしっかりしていて、 イヤホンが無くとも刺激的なプレイングが楽しめる。 6.78インチのAMOLEDディスプレイは世界を鮮やかに再現し、 ゲームの没入感を高めてくれる。 イヤホンジャックの搭載やWi-Fi 6E規格への対応も、 一部のユーザーに気に入られるだろう。
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6.78インチのAMOLEDディスプレイは世界を鮮やかに再現し、 ゲームの没入感を高めてくれる。 PHOTOGRAPH BY KUJO HARU
ROG Phone 6のためだけに用意された、 アクセサリの数々も魅力の一つだ。 「Kunai 3 Gamepad」 (別売り)を入手すれば、 物理コントローラーでより本格的なプレイングが味わえる。 ただし最初のキーマッピングは時間を要するので、 手間に感じられるかもしれない。
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![asus rog phone 6 review-15 | quest ゲーム体験を変えるスマートフォン 「ROG Phone 6」 は、 実はライトユーザーにこそ最適かもしれない : 実機レビュー](https://kissanadu.com/wp-content/uploads/2022/09/ASUS-ROG-Phone-6-review-15-1024x684.jpg)
「Kunai 3 Gamepad」 (別売り)を入手すれば、 物理コントローラーでより本格的なプレイングが味わえる。 PHOTOGRAPH BY KUJO HARU
最後に短所を述べておく。 まず、 本体が大きくて重い(239g)ので、 片手持ちのハードルは高い。 ワイヤレス充電やmicroSDカードスロットを備えていない。 シリーズで初めてIPX4の生活防水に対応したが、 昨今のスマートフォンにおける水準に比べるとまだ足りない。
ROG Phone 6とともに、 限定モデルの 「ROG Phone 6 BATMAN Edition」 、 上位機種の 「ROG Phone 6 Pro」 も国内での発売が予告されている。 コアなゲーマーでなくとも、 モバイルゲームを楽しみたいと思っているすべてのユーザーにとって、 ROG Phone 6は良い選択になるはずだ。
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PHOTOGRAPH BY KUJO HARU
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