ガラケーからスマホへ、そして初代iPhoneから最新のモデルまで…その筐体は代を経るごとに美しく、そして脆くなりました。いつしか背面もガラスで覆われるようになったiPhoneは、今やケースなしでは安心して使えない代物になっています。
かく言う僕も、これまで様々なケースや保護フィルムを取っ替え引っ替え使ってきました。一方でiPhone本来のデザイン、美しい外観をケースで覆い被せる度に、何だかすごく勿体無いことをしているような感覚に苛まれていたのもまた事実。
理想を言えば、やっぱり裸のままで使いたいんです。でもiPhoneの価値と構造的な「脆さ」がそれを許してくれない。このジレンマを解決するために、筐体を保護する新しい手法として”液体コーティング”を試してみようと思ったのです。
硬化性の”液体”でスマホをコーティングする
スマホ用の液体コーティング剤「EVERPROOF」
スマホを液体でコーティングする。初めて聞いたときは「そんな突飛な手法もあるのかあ」なんて思っていましたが、3,000円で買うことができると言われたら試してみたくなるものです。
「EVERPROOF」は保護フィルムでもケースでもありません。表面、背面を問わず筐体そのものを透明な被膜で保護してしまおうという発想から生まれた、新しいタイプのプロダクトです。
だから内容物はすごくシンプルで、正直驚かされました。画面を綺麗にするためのアルコールパッドやクロスを除けば、入っているのは液体入りの小瓶と霧吹きだけ。
内容物これだけ?
肝心の液体は想像以上に少量で二重に驚かされましたが、後から思えばこれくらいの量で十分だったかもしれません。スマホ一台で丁度良いくらいの量、裏を返せば無駄遣いできる余裕はないので、3,000円という値段を考えるとこれは相当慎重に塗布しないといけないぞ…と気を引き締めます。
本当にこれでスマホを保護できるのか?という不安を抱えつつも、まずは何も考えずに塗ってみよう、と。僕が使っているホワイトのiPhone SE(2020)で試してみることにしました。
塗ってみる
まずは付属のアルコールパッドで塗布面を綺麗にしていきます。ここら辺は保護フィルムを貼る時と同じ工程ですね。
クリーニングクロスで水分を拭き取ったら、続いてコーティング剤を数滴垂らします。ここで大量に使ってしまうと後に使う分が無くなるので、2・3滴程度に留めておくのがベストかな。
コーティング剤を2、3滴垂らす
そしたら、先程とは別のクロスで垂らしたコーティング剤を全体に広げていきます。薬品が放つ独特な匂いが思ったより強烈ですね。揮発性なのかな、あまり体に良くなさそうな香りですが、塗布してしばらくのうちに消えて無くなりました。薬剤が手につくと怖いので、手袋をしながら作業しております。
塗布した液体を全体に広げていく
続いて、塗布面に霧吹きで水をかけることでコーティング剤を硬化させます。この工程がとっても重要。僕は水を吹きかけてから1分くらい放置して拭き取りましたが、もっと時間を置いた方がより硬化して強度が上がるかもしれません。
表面に水を吹きかけて1分放置
最後にティッシュで表面の水を拭き取って、工程の1段階が完了です。一度だけではコーティングの層が薄いので、同様の作業をもう2回繰り返して強度を高めていきます。
表面の水を拭き取って、1サイクルが完了
全く同じ作業を背面にも行っていきましょう。iPhone SE(2020)は背面もガラス素材でできているので、ケースをつけずに裸使いをするということは、軽い衝撃でヒビが入るかもしれないという恐怖に怯えながら眠れない日々を過ごすのに等しい訳です。だから前面と同じくらい慎重にコーティング剤を塗布しておきました。
実力を測るには時間が必要
とりあえず前面を3回分コーティングしてみましたが、肉眼的には全く変化がありません。表面を指で触ってみるとほんの少し摩擦力が上がっていることに気づきますが、これもわずかな変化といった様子でひたすらに僕の不安を煽るばかり。
ただ何もつけていない時に比べると撥水性が明らかに増しているので、見えないコーティングは確かに施されているようです。そうすると問題は「耐久性がどこまで上がっているのか」ですよね。流石にポケットから地面に落としたりしたら傷の一つくらいはつけそうですが、日常生活で不意に傷がつくようなシーンは減るんじゃないかな、と少し期待します。
コーティング剤塗布後のiPhone前面
コーティング剤塗布後のiPhone背面
ちょっとだけ光沢が増した…?
僕は結構スマホを雑に扱うタイプで、持ち出すときは鍵と一緒にズボンのボケットに放り込んでいますし、時には手から滑って地面に落としてしまうこともあります。その背景にはやはり、スマホはそれくらい気軽に使える存在であってほしいというか、スマホを保護することに気苦労したくないという気持ちがあるのです。
スマホを裸で使うという考えもその延長線上にあって、小型軽量ならではの取り回しの良さをケースや分厚いガラスフィルムで台無しにするのは避けたいとずっと思っていました。果たしてEVERPROOFはこの悩みを解決してくれるのか。
とりあえず塗布してから一日が経った今の時点で、新たな傷は見当たりません。この状態でしばらく使ってみて目立った傷がつかなければ、耐久性、強度において一定の評価ができるんじゃないかなと。そういう訳で、長期使用後にもう一度「EVERPROOF」の効果を振り返ってみたいなと考えています。