ついに、デバイスはケーブルから解放される ー 「光」をエネルギー源にして、自律駆動するガジェットが普及したら。それは間違いなくテクノロジー界のパラダイムシフトになることでしょう。
2020年初頭、その第一歩が踏み出されようとしています。オーディオブランド王手のJBLが、ソーラーパネルを内蔵しUSB給電が”実質不要”なヘッドホン「JBL REFLECT Eternal」の開発プロジェクトをクラウドファンディングを通じて立ち上げました。
2時間半の外出で無限に再生できる
「JBL REFLECT Eternal」はヘッドバンドにソーラーパネルを搭載し、屋外の太陽光、ひいては室内の自然光が当たると内部のバッテリーが自動で給電される仕組みになっています(もちろん、USB経由の充電も可能です)。
クラウドファンディングサイト「Indiegogo」のプロジェクトページによれば、1日3時間半音楽を再生する場合、太陽光の下2時間半外出すれば実質無限に音楽を聞くことができるとか。
ここで技術的に注目なのは、折り曲げ可能な発電シートです。光充電システムにはスウェーデン企業Exegerの「Powerfoyle Technology」が採用されており、複雑な構造かつ小型なソーラーパネルでも高い充電効率が実現されています。
また従来の平面的なソーラーパネルと異なり多様な形状をとることができるため、今例のように湾曲したヘッドバンドにも組み込むことが可能なのです。似たようなコンセプトは以前にもありましたが、実際にオーディオ機器でこれを実現した「JBL REFLECT Eternal」は正にこの分野のパイオニア。そこに本製品の意義があります。
背景には
クリーンエネルギーと言えばずらりと並んだ太陽光発電パネルや立ち並ぶ風車が思い浮かぶように、以前はコミュニティ全体の電力をまかなう大規模なシステムが当たり前でした。ところが家庭用ソーラーパネルに代表されるように、光発電は家庭レベル、ひいては個人レベルでも活用される段階に進みつつあります。
事実、ヨーロッパを中心に世界規模でグリーンテクノロジーとしての光充電技術に対する関心が高まっており、ソーラーパネルを組み込んだスマホやIoTデバイスを各メーカーが開発しています。「JBL REFLECT Eternal」もまた、コンシューマー向け市場におけるソーラーデバイス需要と供給の一環と言えるでしょう。
光エネルギーの利用には、個人目線で見ても大きなメリットがあります。環境に優しいのはもちろんのこと、コンセントを使用しない分電気代を節約することができます。何より、バッテリーが減るたびにいちいち充電コードを探して、アダプターにつなぐ…という煩わしい行程が一切なくなるというだけでその価値は十分に感じられるのです。
ケーブルから解放される未来
ガジェットと言えばUSB給電が当たり前の現状から、ケーブルいらずの光充電へと業界はシフトしていくのか?「JBL REFLECT Eternal」のプロジェクトが大成功を収めた事実は、この問の答えを知る上で一つの手がかりになるでしょう。
国内ではグリーンテクノロジーの個人普及がまだまだ進んでおらず、光駆動のデバイスと言ってもソーラパネルーを搭載したモバイルバッテリーくらいしかないような状態です。ところが、太陽電池の効率化と小型化が進み、小サイズのガジェットにも積めるようになった今、同ジャンルのガジェットやIoT機器が今後発売される可能性は高まっているはず。
「JBL REFLECT Eternal」を例にとっても、1日2時間半の外出でほぼ無限再生、かつ室内の環境光でも充電できるなど(実際に使ってみなければわからないものの)スペック上はかなり実用性が確保されていることから、この革新的機構に技術的な無理がないことも想像されます。
問題は、この新技術がテック市場の中でいちカテゴリーを確立できるかということです。Qiワイヤレス充電もそうですが、近い将来「ケーブルレス」が一大トレンドになるかもしれないという期待の中、光充電技術はどこまでそのポテンシャルを発揮することができるのか個人的にはとても楽しみだったりします。
九条ハル
こういう技術の先端をいくガジェットってギークの心にめっちゃ刺さるのよね…
ダウト!購入するためのベタな言いわけ!
メロ
九条ハル
な、なんでばれたっ…!!!?