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iPhone 8の後継機?iPhone SE 2 は想像以上に”つまらない”端末になりそうだ

2018年9月に惜しまれつつ販売を終了した「iPhone SE」の後継機に当たる「iPhone SE 2(仮称、iPhone 9とも)」が2020年3月に発表されると噂されています。ガラパゴスな日本市場では需要の高い小型端末であるだけに期待値も当然高くなりますが、噂をもとにアップルの思惑を考察する限り、その期待はどうやら空振りに終わるように思えてならないのです。

目的は小型端末でなく廉価版の開発

アップルのインサイダー事情に詳しいアナリスト Ming-Chi Kuo氏、米ブルームバーグおよび日経によれば、「iPhone SE 2」の目的は(かつての小さかったiPhoneを復活させることではなく)コストを抑えた廉価版のiPhoneを用意することにあるといいます。

ティム・クック体制になってからのアップルは、テクノロジーの革新性よりも全体としての利益率、有体に言うところのコストダウンにウェイトを置いてきました。数年ぶりの復活を遂げたiPad Airや、新しいiPad mini(第5世代)はその好例と言えるでしょう。このことを踏まえる限り、廉価版としての「iPhone SE 2」の開発に特段疑問はありません。特に本機種の場合は、今なお世界中で売れ続ける「iPhone 8」の代替としての意味合いが強いと推測されます。

印iGeeksBlogが作成した「iPhone SE 2」のレンダリング画像。Source:OnLeaks, iGeeksBlog

技術的に”つまらない”端末の登場

そうなると新しいiPhone SEが技術的に何の面白味もない端末に仕上がってしまうのは想像に難くないことです。Ming-Chi Cuo氏のレポートによれば、「iPhone SE 2」はiPhone 11シリーズと同じA13 Bionicを積む一方で、「iPhone 8」に限りなく近い筐体を採用し、従来のホームボタン(つまりTouch IDを採用するということで、Face IDは搭載されない?)を継承した伝統的なデザインになると予想されています。

この立ち位置は昨年3月にサイレント発表された「iPad mini(第5世代)」に似ています。安価な値段設定が目玉である一方、プロセッサの更新とApple Pencil対応を除けば技術的な更新がほとんどなかったこの機種。そこには「頭脳だけ入れ替えて外身はそっくりそのまま、製造上のコスト削減を図る」というエントリーモデルに対するアップルの方針が強く現れていました。

この傾向を見るに、ホームボタン付きのiPhoneが再び登場するのは「Touch IDを愛用する人に選択肢を用意するため」とか「シングルカメラの機種が必要だから」といった消費者目線の理由ではなく、「価格を抑えるために以前の設計を流用する」という酷くシンプルな考えから来ていると結論せざるを得ません。

“中身だけ”進化したiPad mini 5。Source:Apple

しかし間違いなく「売れる」スマホになるだろう

アップルに限らず多くのテック企業は、フラッグシップ端末に自身が持ちうる限りの先進テクノロジーを詰め込んでブランドが持つ技術力をアピールします。一方でそうしたハイエンド端末が一部の層にしか売れない(全体の売上に大きく貢献しない)ことをわかっているので、絶妙に機能を削ぎ落とした廉価グレードのスマホを別に販売します。そして結果的に売上の大多数を占めるのは例に漏れず後者なのです。

iPhone 8ライクな「iPhone SE」が出るとすれば、それはアップルの堅実な姿勢の現れでしょう。先述のソースによれば、新しい「iPhone SE」はおよそ399ドル(約43,000円)からの販売になるとされています。iPhone 11の公式価格が74,800円から(執筆時点)であることを考えると、今のアップルにしては破格の安さと言えます。要するに、必要最低限のスペック(とは言え最新のA13チップ搭載なら性能は申し分ない)で価格を極限まで落として、着実に売れるスマホをつくるという訳です。

iPhoneの不振が囁かれるここ数年、「ハードの着実な売上」と「サービス事業への転換・拡大」はアップルにとって避けられない課題になっています。そうなれば、「技術の見本市」たるProシリーズ(iPhone 11 Pro、iPad Pro…)と、売上を支える無印シリーズの差別化が厳格になっていくのは必然なのかもしれません。

“日本で最も売れたスマホ”、iPhone 8。Source:Apple


意固地にならないで

だからアップルの方針に対して消費者として反感を覚えることはないのです。でも「MacBook Pro(16インチ)」の時のように少しでも私達の目線に立ってくれるのなら、時代の変化に合わせた最低限のアップデートは施して欲しいと思います。

一つはType-Cポートの搭載。現在最新の11シリーズを含め全てのiPhoneにLightningポートが搭載されています。
アップルの製品開発には他社との差別化を意識し市場で流通するテクノロジーを好まない傾向があり、Lightningポートもその一つとして頑なに守られてきました(一方で自社のPCに他社より先んじてType-Cポートを採用したのもまたアップルというのが面白い点ですが)。
ただUSB-Cが統一規格として着実に普及しつつある現在、自社規格による囲い込みはもはや非合理的と言うべきでしょう。アップルのクローズドなエコシステムが一定の成果を出している一方で、このような矛盾も負の側面として確かに存在していることを忘れてはなりません。

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そろそろiPhoneもUSB-Cを受け入れて欲しい

二つ、バッテリーとワイヤレス充電。この点については、最新のiPhone 11シリーズで大幅なバッテリーの改善が見られたこと、かつそのiPhone 11シリーズと同等の「A13 Bionic」を搭載する(というMing-Chi Kuo氏の情報)から過度に心配する必要はないかもしれません。「A13 Bionic」は省電力性能が高く、同容量の他チップと比べて長い駆動時間が期待されます。ところがiPhone 8(1,821mAh)とほぼ同じ筐体を採用するとなれば、「iPhone SE 2」の容量は多くても2,000mAh前後といったところでしょう。フラッグシップモデルが4,000mAh〜5,000mAh級の争いを繰り広げているなか、どうしても見劣りする印象は拭えません。

三つ、ストレージ。これは特に日本市場で言えることかもしれませんが、「iPhone SE 2」に関してアップルが期待する客層と、実際に購入する層が異なる可能性があります。これは購入理由の差に起因するもので、要は「高いiPhoneは買えないので廉価グレードを選択する」という人に加え、「希少な小型端末に価値を見出している」人がこの端末を手に取り得るのです。後者にとって、スペックの制限はもちろん、ストレージの制約は多大な苦痛になります。
「iPhone SE」の場合、末期には32GB・128GBの2モデルしか用意されていませんでした。もし「iPhone SE 2」の価格以外に理由を見出して購入する人がいるなら、実質的な選択肢は128GB一択になってしまう訳です。
さてMing-Chi Kuo氏は「iPhone SE 2」のストレージについて64GBと128GBの2モデル構成になると言及しています。この構成で実際に発売されたとして、どう受けとめられるのでしょうか。

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安価ながら多彩な機能が盛り込まれた傑作、iPhone SE

かつてのSEの面影は、もうそこにない

スマートフォンの大型化が進む中、流行の逆を行く小型スマホとして果敢に闘った「iPhone SE」の姿はもうありません。発表が噂される新たな「SE」はその意思を継ぐ次世代機ではなく、「安価なエントリーモデル」として割り切った全くの別物であることを私達は認識する必要があります。

それは個人的に残念なことですが、しかしアップルが現在置かれている状況とその方針を考えれば仕方のないことだと同時に思うのです。


iPhone SE 2 のスペック予測情報

  • 2020年3月に発表
  • 「iPhone 8」に似た筐体を採用
  • 4.7インチディスプレイ
  • ハイエンド帯より劣るディスプレイを採用(liquid crystal display?)
  • 伝統的なホームボタン、TouchIDの採用
  • 最新のiPhone 11・iPhone 11 Proと同じ「A13」チップを搭載
  • RAMは3GB
  • ストレージは64GBと128GBの2モデル?
  • 価格は約399ドル(約43,000円)との予想(実現すればiPhone 11=74,800円より3万円以上安い)
  • スペースグレイ、ゴールド、シルバーの3色展開

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