スマホ・PC業界の停滞が囁かれるなか、可能性に満ちたデバイスとしてのタブレットはその勢いを増すばかりです。そんなタブレット市場の雄として君臨し続けるAppleの「iPad」シリーズ。2020年3月18日には超広角カメラを ...
スマホ・PC業界の停滞が囁かれるなか、可能性に満ちたデバイスとしてのタブレットはその勢いを増すばかりです。そんなタブレット市場の雄として君臨し続けるAppleの「iPad」シリーズ。2020年3月18日には超広角カメラを新たに搭載しAR機能を強化した新型iPad Pro(11インチ、12.9インチ)も発表され、注目度が非常に高くなっています。
そこで「iPadは気になるけど、種類が多すぎてどれが良いかわからない」「自分に合ったiPadを選びたい」という方へ、難しいことは抜きに「目で見て」比較できるiPadの選び方をここに提示しようと思うのです。執筆現在で4種類、5モデルと複雑なラインナップとなっているiPadですが、その特徴を見れば用途に応じて絶妙な棲み分けがなされていることに気付くはずです。
きさみん
メロ
きさみん
見てわかるiPad全5機種
iPad5機種のスペック比較表
スペック・本体サイズ・そして価格の3要素に基づきiPad全モデルをグラフ化したもの。それぞれの用途に応じて絶妙な棲み分けがなされている

Hiro|Locus Loungeさん御本人の許可を得て、引用させていただきました。

Hiro|Locus Loungeさん御本人の許可を得て、引用させていただきました。
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モデル | iPad Pro | iPad Pro | iPad Air | iPad | iPad mini |
画面サイズ | 12.9インチ | 11インチ | 10.5インチ | 10.2インチ | 7.9インチ |
縦横幅 | 280.6×214.9mm | 247.6×178.5mm | 250.6×174.1mm | 250.6×174.1mm | 203.2×134.8mm |
厚み | 5.9mm | 5.9mm | 6.1mm | 7.5mm | 6.1mm |
重量 | 641g | 471g | Wi-Fi:456g | Wi-Fi:483g | Wi-Fi:300.5g |
プロセッサ | A12Z Bionic | A12Z Bionic | A12 Bionic | A10 Fusion | A12 Bionic |
ディスプレイ | 耐指紋性 フルラミネーション 反射防止 Pro Motion 広色域(P3) True Tone |
耐指紋性 フルラミネーション 反射防止 Pro Motion 広色域(P3) True Tone |
耐指紋性 フルラミネーション 反射防止 広色域(P3) True Tone |
耐指紋性 | 耐指紋性 フルラミネーション 反射防止 Pro Motion 広色域(P3) True Tone |
ロック解除 | Face ID | Face ID | Touch ID | Touch ID | Touch ID |
Apple Pencil |
第2世代 | 第2世代 | 第1世代 | 第1世代 | 第1世代 |
コネクタ | USB-C | USB-C | Lightning イヤホン端子 |
Lightning イヤホン端子 |
Lightning イヤホン端子 |
カメラ | 12MP広角 10MP超広角 LiDARスキャナ |
12MP広角 10MP超広角 LiDARスキャナ |
8MP広角 | 8MP広角 | 8MP広角 |
スピーカー | 4 | 4 | 2 | 2 | 2 |
容量と価格 | Wi-Fi 128GB 104,800円 256GB 115,800円 512GB 137,800円 1TB 159,800円 Cellular 上に+17,000円 |
Wi-Fi 128GB 84,800円 256GB 95,800円 512GB 117,800円 1TB 139,800円 Cellular 上に+17,000円 |
Wi-Fi 64GB 54,800円 256GB 71,800円 Cellular 上に+15,000円 |
Wi-Fi 32GB 34,800円 128GB 44,800円 Cellular 上に+15,000円 |
Wi-Fi 64GB 45,800円 256GB 62,800円 Cellular 上に+15,000円 |
価格はいずれも税別
何を比較して選べば良いのか?
現状、エントリーモデルの無印iPadを除いてスペック的に大きな差異はありません。そもそもiPadに搭載されるプロセッサは性能が非常に高く、スペックがボトルネックとなって作業に支障が出るケースは少ないと考えて良いでしょう。
すると比較するべきは「画面サイズ=作業効率」「厚み・重量=携帯性・使い心地」「ディスプレイ性能=書き心地・描画精度」「周辺機器(コネクタ・Apple Pencil)=利便性」、そして「価格=コストパフォーマンス」の5つがメインということになります。
1. 画面サイズを比較

モデル | iPad Pro | iPad Pro | iPad Air | iPad | iPad mini |
画面サイズ | 12.9インチ | 11インチ | 10.5インチ | 10.2インチ | 7.9インチ |
アスペクト比 | 3:4 | 139:199 | 3:4 | 3:4 | 3:4 |
iPad5機種の画面サイズ比較。11インチiPad Proのみ画面の縦横比が変則的になっている
画面サイズは大きく3系統にわかれ、最も大きいiPad Pro(12.9インチ)はB5用紙よりやや大きく、A4用紙より小さい程度の大きさ。iPad Pro(11インチ)とAir、無印iPadはいずれも体感的にほぼ変わらない広さで、特段小さいiPad miniはハガキよりやや大きい程度の画面サイズになっています。
画面の大きさはいわば作業机の広さと同じであり、作業内容とその効率に直結する大切な要素だ。
写真:iPad Pro 12.9インチ
タブレットの特性を活かすなら10型以上が必須
かつてジョブズは「タブレットの最低サイズは10インチ」「タブレットユーザーのポケットには既にスマホがあることを考えれば、タブレットの画面サイズで妥協する意味がない」「7インチは優れたタブレットアプリを開発するのに不十分である」と発言しました。
タブレットのメリットを最大限に享受したいのであれば、画面サイズの最適解は10インチ以上。これは経験を元にした揺るがない原則です。

iPadシリーズの画面サイズを比較してみた。最も大きいiPad Pro(12.9インチ)はB5サイズのキャンバスを丸々表示できる広さを有する
iPad miniはできることに制限がある
iPad miniに限ってはある程度用途を限定して「割り切った」使い方をするのが前提になるでしょう。電子手帳やゲーム専用機として活用したり、iPadのサブ機として導入したり…。7.9インチという特性上、実用的に使えるアプリが制限される代わりに究極の携帯性を得ることができる訳です。
本体サイズに関して「mini」だけにしかない特典は「ポケットにも収納できる」ということ。つまりスマホと同等の取り回しの良さを保ちながら、その広い画面でスマホよりはるかに多い情報量を手に入れることができるのです。いずれにせよ、iPad miniは他のモデルと性質も用途も違う特殊なタブレットという認識を持っておきましょう。
ポケットにも入るサイズ感、究極の携帯性がiPad miniのアイデンティティ
12.9型は作業効率と情報収集に特化した機種
一方でiPad Pro 12.9インチは前モデルの中で突出して画面サイズが大きく、広さを活かしたマルチタスクから複雑な作業まで何でもこなします。
他モデルと比較すると11インチのiPad Proより縦横約3cm大きい程度ですから、その為にわざわざ2万円以上を追加で出す意味があるのかと思われがち。実際に使ってみると、この3cmの差が作業効率を飛躍的に高めてくれることに気づくはずです。
例えば2つのアプリを画面上で分割表示する「Split View」はiPadでマルチタスクを行う際に頻用する機能ですが、12.9インチなら領域の広さゆえに分割しても各アプリが適度な大きさで表示され、最も実用的に使うことができます。
ストレスなく正確に絵を描きたいなら、広いキャンバスにしっかり手を据えて描画できる12.9インチがオススメ。ノートテイキングの場合も同様だ
イラスト制作や楽曲制作、動画編集等のクリエイティブな作業やプログラミング、ライティング(ノートテイキング)などは「作業机の広さ=画面の大きさ」が作業効率に直接結びつきやすい類であり、12.9インチという大画面のメリットを最大限に活かせるでしょう。画面の大きさはすなわち一度に得られる情報量の多さをも意味しており、電子書籍の閲覧や動画の視聴などの受動的な動作でも大きな効果を発揮します。


12.9インチ(左)と11インチ(右)で電子書籍を表示した様子。前者はスペースに余裕があるため見開き表示でも難なく読めるが、後者は小さい文字の判別が厳しいこともあり、1ページ毎の表示が基本になるだろう
残りの3モデルはバランス型
11インチiPad Pro、iPad Air、そして無印iPadはいずれも10インチ前後のサイズ感。あらゆる作業を無難にこなせる上に、気軽に持ち運べる携帯性もしっかり確保する「良いとこどり」のバランス型となっています。大きな違いはスペックと価格にあり、原則としてiPad Proがハイエンドモデル、Airがミッドレンジ、そして無印iPadが機能を削って価格を最低限に抑えたエントリーモデルとなります。
10〜11インチでは、書きものをする際など場所によって段差が邪魔になるケースも
これら3機種の画面サイズですが、作業効率や得られる情報量は12.9型に劣るものの、基本的な作業やマルチタスクは問題なく実行できると考えて良いでしょう。ただしApple Pencilを用いたライティングが主な用途となる場合、作業場の狭さに起因する地面との段差や描きづらさがストレスになることもあるので注意が必要です。
2. 厚み・重量を比較

モデル | iPad Pro (11インチ, 12.9インチ) |
iPad Air | iPad | iPad mini |
厚み | 5.9mm | 6.1mm | 7.5mm | 6.1mm |
iPad5モデルの厚さ比較。iPad miniを除けば、最も「薄さ」と「軽さ」を両立するのは11インチiPad Pro・iPad Airの2機種といえる
1.5mmの差がライティング環境を左右する
iPad本体の厚みは、講義や会議のメモをとったりイラスト制作時の環境を大きく左右します。Apple Pencilを用いてライティングをするときは、iPadを机に平置きした上に持ち手を添えて作業する体勢が基本になります。このときiPadが薄ければ薄いほど机との段差が少なくなり、無理な手の置き方をしなくてもスムーズに描くことができるようになります。
薄ければ薄いほど、机に平置きしても違和感なく作業できる
写真:iPad Pro 12.9インチ
現在、全モデルで最も「薄い」機種はiPad Pro(11インチ、12.9インチ)です。特に11インチはハイエンドでありながら6mmを切る薄さかつ重量は471gとかなり軽い(ペットボトル1本分より軽量です)ことも相まって、「気軽に取り出せてスムーズに作業できる」という点においては群を抜いてお勧めできる機種といえます。
一方、エントリーモデルのiPad(無印)はiPad Proより約1.5mm厚い7.5mmで、手に持って比べても体感的に「太い」と感じられる程度の差があります。iPadとApple Pencilを組み合わせてのお絵かきやノートテイキング等を想定している人にとっては、7.5mmという厚みそのものが作業環境の質を低下する一因になるかもしれません(後述のディスプレイ性能についても省略されている機能があるため、注意が必要です)。
iPadの重量は持ち出しの頻度に関係する
iPadの重量比較
モデル | iPad Pro | iPad Pro | iPad Air | iPad | iPad mini |
画面サイズ | 12.9インチ | 11インチ | 10.5インチ | 10.2インチ | 7.9インチ |
重量 (Wi-Fi) |
641g | 471g | 456g | 483g | 300.5g |
重量 (Cellular) |
643g | 473g | 464g | 493g | 308.2g |

11インチiPad Proは無印iPadよりも軽量、かつ同サイズではiPad Airに次ぐ軽さ。片手持ちで長時間読書したり動画を視聴することもできる
12.9インチiPad Pro。この重量になると片手持ちはさすがに厳しくなる。持ち出し頻度がそれほど多くなく、自宅での使用がメインの人におすすめ

軽さという点で特化した機種は「11インチiPad Pro」「iPad Air」「iPad mini」の3機種になります。これらは片手持ちによる受動的な動作(動画を観る、読書をする、調べ物をする…etc.)と非常に相性が良く、移動中や外出先でiPadを使う頻度が多いほど得られるメリットも大きくなります。
「出先ではノートPCとiPadをセットで持ち運ぶ」という人からすれば、PCが重量的に負担となる分iPadの方はできるだけ軽くしたいと思うところです。12.9インチiPad Proは単体で641g(Wi-Fiモデル)、追加でカバーやキーボードをつけると総重量は約1kgに及ぶため、頻繁な持ち出しは難しくなるでしょう。ノートPCと合わせて1kg〜2kgあたりが現実的といったところでしょうか。
重さを意識したMac×iPadオススメの組み合わせはこちら
【macOS Catalina/iPadOS】Sidecar で Mac×iPad がさらに便利になるぞ!理想の組み合わせを考えてみた
3. ディスプレイ・描画性能を比較
ディスプレイ性能はApple Pencilの使用感・描き心地に影響する。
写真:iPad Pro 11インチ
書きもの中心なら無印iPad以外を選ぶ
iPad miniを除く4機種のディスプレイ性能を比較してみます。
iPadのディスプレイ性能比較
モデル | iPad Pro | iPad Pro | iPad Air | iPad |
サイズ | 12.9インチ | 11インチ | 10.5インチ | 10.2インチ |
解像度 | 2,732 x 2,048 Liquid Retina |
2,388 x 1,668 Liquid Retina |
2,224 x 1,668 Retina |
2,160 x 1,620 Retina |
コーティング | 耐指紋性撥油 反射防止 |
耐指紋性撥油 反射防止 |
耐指紋性撥油 反射防止 |
耐指紋性撥油 |
フルラミネーションディスプレイ | ○ | ○ | ○ | – |
ProMotion | ○ | ○ | – | – |
色域 | DCI-P3 | DCI-P3 | DCI-P3 | フルRGB |
TrueTone | ○ | ○ | ○ | – |
見てわかる通り、無印iPad(第7世代)はディスプレイ周りの機能が大幅に削減されています。最も気付きやすい違いは「フルラミネーションディスプレイの有無」です。iPad(第7世代)は保護パネルと液晶の間に黒い隙間が目立ちます。手で触れるガラス部よりも実際の表示画面が奥まった場所に存在するように見える訳です。
保護パネルと液晶の隙間
左:iPad Pro 10.5”(フルラミネーションディスプレイ)
右:iPad第6世代(通常のディスプレイ)
一方で、フルラミネーションディスプレイを搭載するiPad Proではこの隙間が目立ちません。
iPad Pro 11’(2020):フルラミネーションディスプレイ有
一般的に、ディスプレイは「カバーガラス」「タッチセンサー」「LCD」の3層から構成されていますが、これら3層を一体化し中間の空気層を無くしたものが「フルラミネーションディスプレイ」です。通常の液晶では各層の隙間で光が乱反射して画面が白っぽくなりますが、フルラミネーションディスプレイではこれがかなり軽減されます。また、空気層がなくなり実際にパネルに触れている感覚を味わいやすいという利点もあります。
特にApple Pencilを使うときにその差は大きくなります。


フルラミネーションディスプレイの有無とApple Pencilによる描き心地の違い
左:iPad Pro 11’(フルラミネーションディスプレイ)
右:iPad第7世代(通常のディスプレイ)
フルラミネーションディスプレイ非搭載のiPad(第7世代)ではペン先と入力された線の間に大きく隙間が開いていることがわかります。筆者の経験から言って、この隙間が描き心地と正確性を大きく損なうのは確かです。したがってApple Pencilを用いて勉強用途に使用したりイラスト制作でスタイラスを多用する方にとって、少なくとも無印iPadをお勧めすることはありません。
ProとAirでは画面の滑らかさが違う
2017年モデル以降のiPad Proは「ProMotionテクノロジー」を採用し、リフレッシュレートは最大で120Hzに対応しています。一方で無印iPad(第7世代)とiPad Airは通常のモバイル端末と同じ60Hz駆動です。リフレッシュレートは画面の滑らかさを決める要素であり、値が高いほどスクロール等の操作がヌルヌルと動き、Apple Pencilで描画時の遅延(レイテンシ)も少なくなります。
iPad Pro 11’(2020)とiPad(第7世代)の滑らかさの違いをスローモーションで比較してみます。
iPad Pro 10.5’(2018)とiPad(第7世代)のリフレッシュレート比較
左:iPad Pro 10.5’(ProMotionテクノロジー有)
右:iPad(ProMotionテクノロジー無)
Video:Sin-Spce(シンスペース)
無印iPadでは操作に若干のカクツキがみられるのに対し、iPad Proの方はサクサク動いていることがわかりますね。続いてApple Pencilで描画した時のタイムラグ(遅延)を比較してみましょう。
Apple Pencilの追従性能比較
左:iPad Pro 10.5’(ProMotionテクノロジー有)
右:iPad(ProMotionテクノロジー無)
Video:Sin-Spce(シンスペース)
無印iPadの方はペン先に遅れて線が出力されるため、描画時の違和感がかなり大きいです。iPad Proの方は、実際の紙に書いているような感覚で全くストレスを感じません。このように、ProMotionの有無は描画性能にも大きな違いを生むのです。
4. Apple Pencilの使い勝手を比較

第1世代Apple Pencil。電池ではなくバッテリー駆動。ワイヤレス充電非対応なので、iPad本体のLightning端子に接続して充電しなければならない。
第2世代Apple Pencil。マグネット式で、ワイヤレス充電に対応。iPad Pro本体にくっつけるだけで充電・ペアリングができる

モデル | iPad Pro (11インチ, 12.9インチ) |
iPad Air | iPad | iPad mini |
Apple Pencil |
第2世代 | 第1世代 | 第1世代 | 第1世代 |
機能 | 傾き検知、筆圧検知 | |||
充電方法 | ワイヤレス充電 | Lightningコネクタ | ||
仕様 | ダブルタップによるツール切替に対応 | – |
対応するApple Pencilの世代を比較。第1世代と第2世代の互換性はない
Apple Pencilを多用するならiPad Pro一択
現在iPadの全てのモデルでApple Pencil(スタイラスペン)を使うことができますが、対応するApple Pencilの世代に違いがあります。
結論から述べると、第2世代Apple Pencilの方が第1世代に比べてはるかに使い勝手が良いです。最大の理由は充電方法にあり、第1世代は後端のLightning端子をiPad本体のポートに直接挿して充電しないといけませんが、第2世代はiPad Proの本体側面にマグネット式にくっつけるだけで充電することができます。
第1世代Apple Pencilは充電スタイルと持ち運びに難あり
第1世代Apple Pencilは充電中にiPad本体のポートを塞いでしまう上に、構造的な問題から収納時の充電ができないという致命的欠点を有しています。対して第2世代Apple PencilはiPad Proにくっつけた状態で持ち運ぶことができ、しかも固定中は常に充電されているので、いざ使う時にバッテリーが足りなかったという場面がほとんど無くなります。
さらに第2世代は本体をダブルタップすることでツールの切り替え(例:ペンツール⇄消しゴムツール)ができるため、指で画面をタッチしなくてもスタイラスペンだけで入力が完結することも少なくありません。
第2世代Apple Pencilはダブルタップによるジェスチャー切り替え、ワイヤレス充電に対応する優れもの。
そして第2世代のApple Pencilに対応するのは現状iPad Pro(11インチ、12.9インチ)のみになります。したがって、高校や大学での使用で頻繁にノートを取る方やイラスト制作でiPadの購入を考えている方などApple Pencilを使う機会の多いケースでは、利便性と使い勝手の面から長期的にみてiPad Proが最もコスパの良い選択だと思います。
5. ストレージ容量と価格を比較
iPad(Wi-Fiモデル)のストレージと価格
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モデル | iPad Pro | iPad Pro | iPad Air | iPad | iPad mini |
サイズ | 12.9′ | 11′ | 10.5′ | 10.2′ | 7.9′ |
32GB | – | – | – | 34,800円 | – |
64GB | – | – | 54,800円 | – | 45,800円 |
128GB | 104,800円 | 84,800円 | – | 44,800円 | – |
256GB | 115,800円 | 95,800円 | 71,800円 | – | 62,800円 |
512GB | 137,800円 | 117,800円 | – | – | – |
1TB | 159,800円 | 139,800円 | – | – | – |
Wi-Fi+Cellularモデル:iPad Proは上の価格に+17,000円、その他の機種は上の価格に+15,000円
ストレージは絶対に妥協しない
iPadを最大限に活用したいならストレージだけはケチっちゃいけません。ストレージの大きさは保存できるファイル・データの量を示す指標であるとともに、データの読み書き(すなわち処理性能)にも比例しています。
まず物理ストレージ(容量)にはシステムファイルやアプリの容量分が含まれているため、実際に使える容量は表記より少ないと思ってください。
「クラウドサービスを活用すれば良い」という意見も多いですが、実際に64GBモデルのiPadを使用した僕の経験から言わせてもらえれば、クラウドベースのファイル管理は現状あまり現実的ではありません。
クラウドファイルのやり取りは案外時間がかかるものです。本体に保存してあるファイルのバックアップとして活用するならば良いですが、クラウドにのみ保存しiPad本体に無いファイルを開こうとすると、「クラウドサーバーからファイルをダウンロードする」という余計な手間が必要になります。容量の大きいファイルだとダウンロードだけでそれなりの時間がかかるため相当なストレスになります。
アプリを入れるだけでも結構な容量を食われてしまう。低容量のモデルを購入するとファイル管理にはそれなりの工夫が必要になる
ゆえに、最も理想的なのはiPad本体の中で完結するファイル管理。そう考えた場合、32GBや64GBという低容量では使い勝手がかなり制限されてしまいます。僕の場合、「低容量でも十分やりくりできるだろう」という考えから64GBモデルのiPadを購入し使用していましたが、実際は快適なファイル管理と程遠い状態だったため結局512GBを書い直す羽目になりました。
iPadを実用的に使うなら最低でも128GB以上のモデルを選びたいところです。今やスマホでも256GB以上を選ぶ人が少なくない時代ですから、お値段は高くなりますが、将来性を考えればメリットの大きい投資といえるでしょう。
Wi-FiモデルとWi-Fi+Cellularモデル、どっちを選ぶべき?
セルラーモデルのiPadは筐体にアンテナ線が刻み込まれているのが特徴
iPadには同じ機種でもWi-Fiに接続時のみデータ通信を行う「Wi-Fiモデル」と、これに加えdocomoやauといったキャリアのSIMカードを挿してモバイルデータ通信も可能な「Wi-Fi+Cellularモデル」の2種類が存在します。
Wi-Fi+Cellular(セルラー)モデルはWi-Fiモデルに比べて15,000〜17,000円程度高く、本体重量も数g程度重くなります。ところがその分モバイルデータ通信やテザリング、Apple SIMやeSIMによるデータ通信を利用できるというメリットがあります。
Wi-Fiモデルとセルラーモデルの価格差
・iPad Pro 11’/12.9’:17,000円
・iPad Air:15,000円
・iPad(第7世代):15,000円
・iPad mini(第5世代):15,000円
・iPad Air:15,000円
・iPad(第7世代):15,000円
・iPad mini(第5世代):15,000円
セルラーモデルを選ぶ最大のメリットは、場所を問わずインターネット環境を利用できるということです。MVNO各社が提供する格安SIMを利用すれば月額料金を抑えることも可能。とはいえ本体価格・通信費を含めてWi-Fiモデルより多額の費用がかかることは事実なので、自分の用途を鑑みて慎重に選ぶ必要があるでしょう。
Wi-FiモデルとWi-FI+Cellularモデルのメリット・デメリット、およびどちらがおすすめなのか?という点について、詳しくは以下の記事をご覧ください。
Wi-FiモデルとWi-Fi+Cellularモデルの違い、選び方はこちら
これからiPadの購入を検討している方へ。iPad買うなら「Wi-fi」モデルと「Wi-fi+Cellular」モデル、どっちがいいの?
6. カメラ・生体認証・コネクタを比較
背面は最新のiPad Pro(2020)のみ2眼カメラにAR機能を強化するLiDARスキャナを搭載。その他は単眼構成
iPadの背面カメラ性能の比較
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モデル | iPad Pro | iPad Pro | iPad Air | iPad | iPad mini |
サイズ | 12.9′ | 11′ | 10.5′ | 10.2′ | 7.9′ |
広角 | 1200万画素 f/1.8 スマートHDR |
1200万画素 f/1.8 スマートHDR |
800万画素 f/2.4 |
800万画素 f/2.4 |
800万画素 f/2.4 |
超広角 | 1000万画素 f/2.4 |
1000万画素 f/2.4 |
– | – | – |
センサー | LiDARスキャナ | LiDARスキャナ | – | – | – |
動画 | 4K(60fps) 1080p120fps 720p240fps スローモーション 手ぶれ補正 |
4K(60fps) 1080p120fps 720p240fps スローモーション 手ぶれ補正 |
1080p60fps スローモーション120fps 手ぶれ補正 |
1080p60fps スローモーション120fps 手ぶれ補正 |
1080p60fps スローモーション120fps 手ぶれ補正 |
iPadのフロントカメラ性能の比較
インカメラ | 700万画素 | 700万画素 | 700万画素 | 120万画素 | 120万画素 |
センサー | Face ID (顔認証) |
Face ID (顔認証) |
– | – | – |
動画 | 1080p HD | 1080p HD | 1080p HD | 720p HD | 720p HD |
背面カメラってどれくらい使うの?
iPadにおけるカメラの用途は少し特殊で、スマホのように出先で取り出して風景を撮影する…といった使い方をすることは少ないでしょう。ではどういう時に使うかというと、例えば授業中に板書をiPadで撮影しそのままノートに取り込んだり、会議の内容をiPadで撮影しメモに添付する等のケースが想定されます。
iPadのカメラはiPhoneに比べ機能が押さえられている分、室内での撮影はノイジーで粗くなりがち。それゆえ画素数が高いに越したことは無いですが、とはいえ無印iPadでもリアカメラは800万画素ですから、購入理由を左右する大きな要因にはなりません。
iPad Proの超広角カメラはプリントのスキャンに便利
2020年モデルのiPad Pro2機種(11インチ、12.9インチ)では背面に従来の広角カメラ(12MP)に加え超広角カメラ(10MP)を搭載しています。超広角カメラを使うと、被写体の近くで撮影しても周囲の領域を広く写すことができます。
例えばGoodNotesなどのノートアプリや専用のスキャンアプリでプリントを読み込む時、超広角カメラなら書類の四隅を綺麗に写し込むことができて便利です。

これだけ近くで撮影しても…

プリントの四隅を含め全体を写し込むことができる

顔認証か、指紋認証か?
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モデル | iPad Pro (11インチ, 12.9インチ) |
iPad Air | iPad | iPad mini |
生体認証 | Face ID | Touch ID | ||
ロック解除 | 顔認証 | 指紋認証 (ホームボタン) |
iPad Pro(11インチ、12.9インチ)はホームボタンが無いベゼルレスデザインを採用し、フロント上部に埋め込まれたセンサーを用いた顔認証(Face ID)でロック解除や支払い決済を行います。その他の機種はFace IDを搭載せず、ディスプレイ下に配置されるホームボタンから指紋認証(Touch ID)を行う仕様です。
キーボードとセットで使う場合はFace IDのメリットが大きい
iPadをキーボードとセットで使う際は画面が顔を向く形になるため、Face IDによるロック解除が非常に手っ取り早く便利です。一方で平置きにして使う時やマスクをつけている時はFace IDが反応しないこともあります。Touch IDではこのような条件に左右されず確実にロック解除できるのが強みと言えるでしょう。認証速度についてはどちらも高いので、ストレスを感じることは少ないと思われます。
USB-Cの恩恵は大きい
ユニバーサルな規格のUSB-Cは周辺機器やデバイスとの親和性が高い
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モデル | iPad Pro (11インチ, 12.9インチ) |
iPad Air | iPad | iPad mini |
コネクタ | USB-C | Lightning イヤホン端子 |
インターフェースを見ると、iPad Pro(11インチ、12.9インチ)は統一規格のUSB Type-Cを搭載し、その他の機種は自社規格のLightningポートを備えていることがわかります。
LightningポートはiPhoneが備える端子と共通なので、充電ケーブル類も同じものを流用することができます。ところが、iPadはiPhoneと異なりクリエイティブな作業が多くなるという性質上、Lightningは利便性の面でユニバーサルな規格のUSB-Cに劣るという事実も無視できません。
最近は充電端子にUSB Type-Cを採用するデバイスが増えてきており、これら周辺機器とiPadを合わせて使うことを考えると、端子・ケーブル類は統一されている方が効率的ですし持ち運ぶケーブルの種類が減ってよりミニマルになるというメリットがあります。
Appleのエコシステム内では便利なLightningポートも、統一規格であるところのUSB-Cには汎用性で劣る
カメラで撮影した写真をiPadに取り込んで編集したい、あるいはUSBメモリ等でデータのやり取りを行いたいという場合も、Type-Cポートを搭載するiPad Proが有利に働くかもしれません。対応するカメラであればType-CケーブルでiPadと接続するだけで直接写真を取り込めるので、SDカードを介したやり取りより速くて便利です。USBメモリもType-Cに挿せる製品は数多とありますが、Lightning端子に挿せるものは選択肢が限られるでしょう。
もちろん、両者とも変換ハブやアダプタがサードパーティーから出ているため、拡張性についてはいくらでも広げることが可能です。
iPad Proにはイヤホン端子が無い
注意点としては、「iPad Air」「iPad(第7世代)」「iPad mini」の3機種にはイヤホン端子が搭載されているのに対し、iPad Proの2モデルではこれが省かれています。このため、iPad Proでイヤホン・ヘッドホンを使う場合はType-Cポートにアダプタを接続して有線で繋ぐか、無線式(ワイヤレス)のものを利用する必要があります。
iPad内蔵のスピーカーを比較
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モデル | iPad Pro (11インチ, 12.9インチ) |
iPad Air | iPad | iPad mini |
オーディオ | 4スピーカー | 2スピーカー |
YoutubeやNetflixなどの動画コンテンツをiPadで楽しみたいという方は、スピーカー性能にも注目しておきましょう。
iPad Proは左右合計で4つのスピーカーを搭載し、5.9mmという薄さながらその音質とステレオ再生の迫力は十分満足できるものと言えます。
その他のモデルはいずれも2スピーカーで、これ単体で音楽や映像を楽しむには流石にパワー不足といった感じです。動画・音楽コンテンツを楽しみたいなら、イヤホンやヘッドホン、ワイヤレススピーカーを接続しての使用が前提となるでしょう。
iPad Proは計4つの内蔵スピーカーで臨場感のあるステレオ再生を楽しめる
貴方に合ったおすすめのiPadは?
以上の比較を踏まえた上で、用途別におすすめなiPadのモデルを見ていきます。ただし筆者の使用経験に基づくものと一般的に想定される用途には少なからず誤差があるでしょうから、全て鵜呑みにはせずあくまで参考程度にしていただければと思います。
きさみん
メロ
iPad Pro 12.9インチがオススメの人
- 外に持ち出す機会はそれほど多くなく、家で使うのがメイン
- Apple Pencilでノートを取ったり、イラストを描きたい(またはそのような作業が中心になる)
- 大画面で写真編集や動画編集がしたい
- 携帯性より作業効率を重視したい
- ノートPCの代替として、iPadをメインで使うことを考えている
- YoutubeやNetflixを大画面と迫力あるサウンドで楽しみたい
- カメラで撮った写真をケーブル経由で直接取り込みたい
- USBメモリを介したデータのやり取りを想定している
全モデルで最も画面が広い分、タスクの効率性と一度に得られる情報量の多さは群を抜いて一番です。Apple Pencilによるライティングやイラスト制作では、広いキャンバスの上で作業できてかつiPad本体と机面の段差に悩まされにくいという利点があります。
一方で重量は600gを超えお世辞にも携帯性があるとは言い難いので、頻繁に持ち運んで外でも使いたい!という方には強くお勧めできないモデルです。
iPad Pro 11インチがオススメの人
- 外出先でも持ち運んでいつでも作業できる環境が欲しい
- Apple Pencilでノートを取ったり、イラストを描きたい(またはそのような作業が中心になる)
- YoutubeやNetflixを迫力あるサウンドで楽しみたい
- カメラで撮った写真をケーブル経由で直接取り込みたい
- USBメモリを介したデータのやり取りを想定している
- 十分な機能性は欲しいが、タブレットならではの携帯性も捨てがたい
iPad Pro 11インチは機能性と携帯性を両立するバランス型です。先述の通り、USB-Cと第2世代Apple PencilはiPad Proだけにしか無い特権であり、メモリ経由のファイル管理やApple Pencilを用いた勉強やイラスト制作を主な用途として想定しているのであれば、間違いなくProシリーズを選ぶメリットが大きいです。

iPad Air(第3世代)がオススメの人
Image:Apple
- Apple Pencilを使って書きものをしてみたい
- 勉強やイラスト制作でApple Pencilの使用を想定しているが、頻繁に使用することはない
- レポート作成や写真編集、動画コンテンツの視聴など基本的なことはこなせる性能が欲しい
- しかしProシリーズよりは安い値段でコスパ良くiPadを手に入れたい
- 初めてのiPadなので、価格を押さえて様子を見たい
iPad Air(第3世代)は現状iPad Pro(11インチ)の廉価版という位置付けになります。最安で5万円台ながら、高性能のA12 Bionicチップを搭載し十分なスペックを備える万人向けのモデルと言えます。
iPad Pro(11インチ)とどちらにするか迷う方は、Apple Pencilの使用頻度を基準に考えてみると良いでしょう。iPad Airは第1世代Apple Pencil、iPad Proは第2世代Apple Pencilに対応していますが、この世代差で結構使い勝手が変わってくるので適当に選ぶと買ってから後悔する原因になるかもしれません。
iPad(第7世代)がオススメの人
Image:Apple
- ブラウジング等の軽度な作業が中心
- PCやMacを持っておりそちらでの作業がメインだが、サブ機としてタブレットが欲しい
- 可能な限り安くiPadを手に入れたい
- Apple Pencilやキーボードを使って作業をしてみたい
iPad(第7世代)は最安で3万円台から手に入る最廉価モデルです。最新の第7世代ではApple Pencil(第1世代)と純正のSmart Keyboardに対応し、コストパフォーマンスが向上しました。
とにかく安くiPadを手に入れたい、タブレットでどんなことができるのかを見極めたいという方にとっての最適解がこのモデルと言えます。またPCやMacをメイン機として使用しており、サブ機としてiPadの運用を考えている方にとっても有力な選択肢となります。
他モデルと比較して特別できないことは少ないですが、ディスプレイ性能とプロセッサの機能省略が顕著なのでApple Pencilを用いたライティングが中心の方、動画編集や現像などの重たい作業を行う方にはオススメできません。
iPad mini(第5世代)がオススメの人
- 画面の大きいスマホとして使いたい
- 電子手帳として割り切った使い方を想定している
- Kindleやブックアプリで手軽に電子書籍を楽しみたい
- iPadを既に持っており、サブ機として2台目のiPadが欲しい
コートのポケットにも入れられるサイズ感が魅力のiPad miniは、スマホにできることの大部分をカバーする一方、タブレットとしては電子書籍リーダー、電子手帳などの割り切った用途が中心になります。
7.9インチという画面サイズは絶妙で、書籍を読むのに丁度良い大きさかつ片手で持てるため場所を選ばずに使えるというメリットがあります。第1世代Apple Pencilに対応していますが純正のキーボードには非対応のため、キーボードを使いたい場合はサードパーティーの製品を別途購入する必要が出てきます。