新型MacBook Air・Pro(late 2020)の発表に合わせて情報を更新しました
MacBookシリーズの購入を考えているすべての方へ。用途に適う「最高の一台」と出会うためのアドバイスをまとめました。
今この記事を読んでくださっている貴方は何故、MacBookの購入を検討されているのでしょうか?MacOSの使い勝手、Appleデバイスでの統一、iMacのサブ機として、そして単純に格好良くて憧れだったから…等々、その理由を考えれば枚挙にいとまがありません。
ところが、貴方の用途次第では、最も相性の良いMacBookが全く違ってくる可能性も大いにあります。そこでおすすめなのが、どの機種がベストか?どんな構成が適しているか?を、自分の用途に応じて考えること。
本記事ではMacBookを選ぶ理由から、現行のラインナップ解説、そして用途別のおすすめモデルまで徹底的に紹介していきます。
MacBookを選ぶ理由
“企業”のWindowsと、”個人”のMac
普段使いに最適化されたシステム
元々企業に向けて集団作業の効率化をコンセプトに開発された経緯をもつWIndows。一方でMacは真性のパーソナルコンピューターとして生まれ、常に日常使いを想定したデザイン・開発が施されてきたシステムです。
現在はどちらも一般家庭で広く利用されていますが、普段使いに最適化されたMacOSというシステムとそれを支えるハードの組み合わせは、Macシリーズにしかない魅力と言えるでしょう。
macOSの強み
最初のパーソナルPCに最適
Macシリーズの核たるmacOSは、UI・UX含むユーザーインターフェースの美しさ、またシステムの扱いやすさから定評を得てきました。デザイナーやクリエイターといった業界のプロが好んで使用する印象も少なからずあって、どこか初心者には扱いづらいものと思われがちなのが残念なところ。
実際はビギナーにこそおすすめしたい、慣れやすく親しみやすいOS。それこそがmacOSであると僕は考えています。特にiPhoneやiPad、何かしらのAppleデバイスと時を過ごした方なら、iOS・iPadOSからmacOSへ違和感なく感覚を移行できるはず。Appleが提供するエコシステムはそのように設計されており、ゆえにMacは他のAppleデバイスと共に使用することでその真価を発揮するのです。


UNIXベースのOS
デザイナー・エンジニアに嬉しい環境
現在でもフォント関連の豊富さと拡張性、およびデザイン系アプリの代名詞たるAdobe系ソフトの使用環境についてはmacOSが業界をリードしています。Macがデザイナーに強いと言われるのはこの為です。
一方で、世界シェアを独占するUNIXをベースとするmacOSは、Web開発などに携わるエンジニア・プログラマーにも深く愛されてきました。特にiPhone・iPadにおけるアプリケーション開発やWebキット開発との親和性が極めて高いこともあり、これからプログラミングをはじめたいという人にとってmacOSは将来性のある有力な選択肢となることでしょう。
ブランドとしてのApple
洗練されたハードそのものが購入理由になることも
スティーブ・ジョブズが最初のMacBook Airを発表してから12年、現在のMacは「ブランド」としての特性を強く帯びるようになりました。すなわちMacを買うということは単に「PCを買う」ということ以上に、「高級なブランドものを買う」という感覚、付加価値を伴う行為として認識されつつあるのです。
価格の高さも皮肉的な一因ではありますが、このトレンドを後押しした大きな理由は洗練されたハードとそのデザインでした。筐体の美学は勿論のこと、他のPCに比べ高精細なディスプレイと使いやすさで群を抜くトラックパッドはMacBookシリーズの大きな特徴と言って良いでしょう。いまやソフトよりハードを理由にMacを選ぶ人が増えている、というのもAppleならではの興味深い一面です。
MacBookの現行3モデルと選び方の基本
現在のMacBookシリーズは概ね性能の高い順に「MacBook Pro 16インチ」「MacBook Pro 13インチ」「MacBook Air 13インチ」の3モデルに大別されます。

作業効率重視。3DCAD・CG作成にも
MacBook Pro 16′
最大8コア、メモリ64GBまで選べるプロ仕様だが、上位モデルでは排熱構造不良によるサーマルスロットリングが問題になる。スペックの近い他製品に比べて薄くコンパクトではあるが、重量は2.0kgに及び気軽に持ち出せるとは言い難い。
16インチの大画面がもたらす作業効率と天井を知らない性能の高さはこのモデルならではの魅力。吊るしモデルは一般用途でも十分購入対象になるだろう。
248,800円(税別)から

作業効率とモバイル性を両立するバランス型
MacBook Pro 13′
買ってから後悔しないようスペックに余裕が欲しい、けど気軽に持ち運べる携帯性も確保したいという欲張りな貴方におすすめの機種。M1チップ搭載で駆動時間は最大20時間に延びた。
M1プロセッサ搭載モデルはType-Cポートが片側2つの構成だが、Air+3万円の価格帯でコスパは良い。従来のインテル搭載モデルもあり(Type-C両側4ポート)。1.4kg、13.3インチ。
2ポートモデル:134,800円(税別)〜
4ポートモデル:188,800円(税別)〜

初めてのMacBookはこれで決まり
MacBook Air
エントリーモデル。アップル独自のM1プロセッサを搭載し、高性能ながらバッテリー持続時間はMacBook Pro 16インチを優に超える。
エントリーながら、PhotoshopやIllustratorなどの重いアプリも難なく動かせる。動画編集のような負荷をかける作業には弱い面も。13.3インチ。携帯性を謳うが重量は1.29kgとさほど軽くない。
104,800円(税別)から
選び方のポイント①
外での作業、家での作業、どちらがメインか?
ノートPCですから、当然「持ち出しの頻度」が優先して考慮すべきポイントになってきます。出先にPCを持ち出して作業する場面が多いのであれば、少なくともMacBook Pro 16インチは選択肢から外れます。16インチはモバイルノートというより、半据え置きで使うワークステーションとしての性格が強いためです。持ち運びは可能ですが、喫茶店の丸テーブルをそれ一つで占領してしまうサイズ感は非現実的ですし、何より重量が2.0kgを超えるため頻繁に持ち出すとなれば他の荷物を削減するなどある程度の妥協を迫られるでしょう(そもそも16インチが入るサイズのバックパックは種類が限られます)。

気軽に持ち運べるサイズ感が13インチの魅力。
高校・大学の授業で使用する、あるいはライトな書類作成やプログラミング、写真編集などの用途であれば13インチ(MacBook Pro/Air)の2機種でも十分こなすことができます。13インチモデルならA4サイズのバックパックでもすっぽり収まるサイズ感ですし、重量も1kgちょっとですから携帯性に優れています。
特に出先での作業がほとんどでバッテリー持ちを重視する方であれば、MacBook Airの一択に絞られるでしょう。Airの強みは、卓越したバッテリー性能です。連続駆動時間をみるとMacBook Pro 13インチが連続10時間(公称値)と最も少ないのに対し、Airが連続12時間で、およそ2時間も長くなっていることに気付きます。これは現行モデルで最長のバッテリー持続時間です。
現行モデルのバッテリー性能比較
モデル | M1 MacBook Air | M1 MacBook Pro 13′ | MacBook Pro 16′ |
サイズ | 13.3インチ | 13.3インチ | 16インチ |
連続駆動時間 | 18時間 | 20時間 | 11時間 |
一方で、自宅での作業が中心で持ち出す頻度がそれほど多くないのであれば、16インチを含め全モデルが選択肢となります。この場合、作業効率や用途を鑑みて自分に適したモデルを吟味せねばなりません。
選び方のポイント②
画面サイズは作業効率に直結する
続いて考えるべきは「作業効率」です。例えばPhotoshopやLightroom、Illustrator、Premirere等のAdobeソフトは写真やベクターデータを見ながら細かい部分を修正したりすることが多いので、画面サイズの大きさが作業効率に直結する典型的なアプリと言えるでしょう。他にも、プログラミングではコードとコンパイルした実行結果を横並びにしてリアルタイムで確認しながら作業するケースがありますが、このようなマルチタスキングは十分な画面領域がないとそもそも実現しません。

16インチ

13インチ
マルチタスク時の様子。13インチでも作業自体に支障はないが、画面の窮屈感は否めない
マルチタスクやアプリの作業性について群を抜いているのが、16インチモデルです。スペックのパワフルさもありますが、画面サイズが大きいというだけであらゆる能動的作業(写真編集、動画編集、プログラミング、ブログ執筆、etc.)における大幅な時間短縮をもたらしてくれます。
13インチでもマルチタスキング自体は可能ですが、作業領域に限界があるためやはりその質は16インチに及びません。13インチの場合、アプリ間の移動は主にウインドウ切替が担うことになるでしょう。何故なら狭い画面を2つのアプリで無理に分割するよりも、1つずつを最大ウインドウで開いて必要な時に行き来する方が結果的に効率が良いのです。このように、画面サイズが違うだけで作業スタイルも変わってくることは知っておくべきポイントです(どちらが適しているかも人によって異なります)。
16インチの作業スタイル
16インチは複数のウインドウを1画面で開いてマルチタスクを行うのに長けている
13インチの作業スタイル
13インチでも画面分割によるマルチタスクは可能だが、内容によっては作業領域の狭さが気になることも…
ウインドウは一つだけ表示して、タブや仮想デスクトップを利用してアプリを切り替えることも多い
選び方のポイント③
ストレージとメモリだけは絶対に妥協しない
CPUやGPUよりもずっと慎重に考慮すべきなのが「ストレージ」と「メモリ(RAM)」です。MacBookシリーズは原則として購入後にストレージの換装やメモリの増設等ができません。そしてこの2つはPC作業に欠かせない構成要素であると同時に、「このPCはサクサク動く」「あのPCは動作がモッサリしてる」といった体感性能を決める要因になるのです。
ストレージ
PCを作業机に例えるならばストレージは「引き出しの容量」を指し、大きければ大きい程保存できるデータ量も多くなります。加えて、現在ストレージの主流規格となった「SSD」の構造上、ストレージ容量とPCの読み書き性能(データの転送速度)は概ね比例することが知られています。なお現行のMacBookは全モデルがSSDを採用していますから、ストレージの多いモデルほど沢山のデータを保存でき、かつデータの転送速度も高くなる訳です。
SSDの容量と読み書き性能の比較
モデル | MacBook Air(2019) | M1 MacBook Pro 13′ | MacBook Pro 16’(2019) |
SSD容量 | 128GB | 256GB | 1TB |
読込速度 | 1700MB/s | 2813MB/s | 2531MB/s |
書込速度 | 425MB/s | 2389MB/s | 2630MB/s |
上記の理由から、ストレージをケチるのは間違いなくコストパフォーマンスを損なう行為です。具体的におすすめできるラインは、最低でも512GBになります。初めてのPCとしてMacを購入するのであれば、ストレージは高くても512GBか(筆者的には)1GBを選択するのが無難でしょう。そこでストレージが足りなくなるようであれば、次回の購入時は容量を一段階引き上げるのが得策です。
Macはストレージの一部を仮想メモリとして使用していますから、容量ギリギリの運用もまた性能を落とす要因になります。それゆえ、自分の想定する使用量より多めのストレージを選択して、常に50〜100GB程度余裕のある容量を保つことが重要です。
クラウドを活用すれば大丈夫?
僕の実体験から言わせていただくとクラウドベースのファイル管理はものすごく不便です。クラウドにのみ保存されているファイルはいちいちダウンロードしてから開かねばならないので面倒、というのが主因なのですが、いずれにせよクラウドとMacの間には一定のバリアがあるのが現状であり、結局Mac本体の中で完結するファイル管理がベストなのは言うまでもないことです。
外部ストレージの活用はどうか
外部ストレージ(SSD)を活用して擬似的に容量を増やす方法もあります。こちらは一般にコストが低く手軽に導入できるメリットもありますが、転送速度がメーカー・モデルによって大きく異なる点に注意が必要。外部ストレージについて、詳しくはこちらをご覧ください。
メモリ(RAM)
メモリ(RAM)は「作業机の広さ」に相当し、そのPCが同時に実行できる作業量の指標として機能します。一般に、メモリの不足は動作が遅くなったり、アプリケーションが落ちるなどの致命的な状況を引き起こします。この傾向はAdobe系アプリやCGソフト、動画編集ソフトなど多数の処理を必要とするもので顕著に見られる為、クリエイティブな作業をする方は特にこのメモリを重視すべきでしょう。
RAM | 性能 |
8GB | Chromeでタブを多数開くと多少もたつく。クリップ程度の簡単な動画編集や写真編集なら問題なくできる |
16GB | 大半のアプリケーションは軽快に動く。Photoshop、LightroomやIllustratorは作業次第でややもたつくことも |
32GB〜 | CADソフトや動画編集も軽快にこなせる。このクラスになるとメモリがボトルネックになるケースは少ない |
インテル版MacBookの下位モデルはメモリが8GBになっています。アプリがサクサク動作する安心感を求めるならば、16GB以上のメモリを選択したいところです。
用途ごとにベストなMacを考える
ここからは、用途に合わせて適しているMacのモデルを紹介していきます。ただし少なからず主観的要素が入っていることは否定できないため、ここに書いた情報だけを鵜呑みにして購入機種を決めることはお勧めしません。
学生、初めてのPCを購入する人に
普段使い、Excel処理、レポート作成
学生であれば、高校や大学の授業で使用する、かつプライベートの利用でも満足できるMacが理想的でしょう。あるいは普段使いに限定して割り切った使い方を想定している方も対象になります。
この場合、作業の中心はブラウジング、Office系アプリ(Word、Excel、PowerPoint)の使用、プライベートなら簡単な写真編集、動画編集あたりになるでしょう。スペック的には、現行のどのモデルを選択しても問題ありません。

その上で、必然的に外へ持ち運ぶ機会が多くなること、また外出先での使用頻度が高くなることを考慮すると、選択肢の一つとしてM1 MacBook Airが有力です。これは先述の通り、現行Macで最も軽量・小型かつバッテリー性能が非常に高く(連続18時間)、モバイル性に特化した機種であることに起因します。
MacBook Air と 13インチMacBook ProのCPU性能比較

モデル | CPU(ベース構成) |
MacBook Pro 13′ (2019, 4ポート) |
第10世代 Core i5 2.0GHz、4コア |
MacBook Pro 13′ (2020, 2ポート) |
第8世代 Core i5 1.4GHz、4コア |
MacBook Air (2020) |
第10世代 Core i3 |
Max Techの試験データを元に作成。条件等でスコアは変動する可能性がある
一方で、価格帯およびコストパフォーマンスを最大限に重視するのであれば13インチMacBook Proの廉価モデル(139,800円〜)も選択肢の一つになります。価格対CPU性能を比較すると、同機種は単純価格で最も安価なMacBook Air(104,800円〜)に近いスコアを叩き出します。両機種の価格差は3万5千円で、CPU性能はGeekbench 5、Cinebench R20のマルチコアスコアで約2.7〜2.8倍です。
趣味、デザイナーを目指す人、デザイン系科目の学生に
イラスト・デザイン制作
Macを用いたイラスト制作やグラフィックデザインを用途として想定する場合、重視したいのはディスプレイ性能です。現行のモデルは全て高解像度のRetinaディスプレイを採用していますが、旧モデルのMacBook Airは非Retinaであり、画面を見ながらの作業が多いイラスト制作では不利になるでしょう。
色域については分野によって業界標準に差がありますが、一般的なsRGBやAdobeRGB等の色空間を正確に表現できること、またスタンダード規格で提出物を作成できることが求められます。現行は全モデルが広色域のDisplay P3(DCI-P3)に対応するディスプレイを搭載しています(ただしAirは他に比べ輝度が若干低いです)。モニター・ディスプレイで作品を表現するデジタルグラフィックの分野では色域に関して特に注意しなければなりません。

スペックは勿論、モニターとの相性にも気をつけたい
DCI-P3について気を付けたいのは、対応モニターの数が少ないことです。グラフィック制作であれば、MacBookをモニターに接続し大画面で作業する場面が考えられます。カバー率が十分でないモニターを使用すると、内蔵ディスプレイとモニターで表示される色に差が生じる可能性があります。
なおイラスト制作では、ペンタブや液タブをMacBookに接続して使用するケースが想定されます。この場合は、単純にポート数の多いMacBook Pro 13’(4ポート)かMacBook Pro 16’が選択肢として有力かもしれません。同機種は両側にThunderbolt 3ポートを2基ずつ搭載しており、本体を卓上のどの位置においても問題なく外部機器を接続することができます。一方でMacBook AirやMacBook Proの2ポートモデルは本体左側にのみポートが存在するため、位置によっては接続ケーブルの配置に苦労する可能性があります。

2ポートモデルはType-Cポートが片側にしか存在しない
グラフィック性能を反映するGPU。従来は16インチMacBook Proの独壇場でしたが、Apple M1プロセッサを搭載するAir・13インチProのGPU性能が大幅に強化され、いずれも実用的な選択肢になりました。
ただし、他モデルが内蔵グラフィックチップ(iGPU)単体で処理を行うのに対し、16インチモデルはiGPUとは別に専用のグラフィックチップ(dGPU)を積んでおり、3モデルのなかで処理性能が突出して高くなっているのは変わっていません。
また16インチの場合オプションとしてベースモデルより性能の高いGPUを選択することも可能。Photoshop・Illustrator等を用いたデザイン制作を行う場合、高解像度モニターを接続して快適に作業したい場合は同モデルを選ぶのが良さそう。
GPU性能の比較
モデル | M1 MacBook Air | M1 MacBook Pro 13′ | MacBook Pro 16’(2019) |
内蔵GPU | M1 Unified 7コア | M1 Unified 8コア | UHD Graphics 630 |
外部GPU | – | – | Radeon Pro 5300M (カスタム可能) |
OpenCL | 17120 | 19147 | 25297 |
GeekBench5 Metal |
18703 | 21819 | 23292 |
重視すべきはスペックと色域
写真編集・現像
ライトな写真編集なら廉価モデルでも快適に行えますが、Adobe LightroomやPhotoshopを本格的に活用する運用であればそれなりのスペックが必要になります。とはいえ、M1プロセッサによりエントリーモデルの性能が底上げされたため、実際はどのモデルを選択しても運用に特別困る場面は少ないと思われます。ただこれらのアプリはメモリを激しく消費するので、メモリ(RAM)、CPU、GPUあたりを重視してカスタマイズしてあげる必要があります。

Core i7、RAM16GB以上ならLightroomやPhotoshopもほぼ快適に使える
Adobe系アプリを筆頭とするヘビーなアプリ群を快適に使いたいのであれば、M1かCore i7(メモリ16GB以上)を選択したいところです。16インチに限っては過度にスペックを引き上げるとサーマルスロットリングによる性能低下が頻繁に起こる可能性が高いのもあって、オプションのCore i9を強くお勧めすることはできません。
なお写真の現像をされる方は、色域にも注目しておきましょう。先述の通り、MacBookシリーズは広色域のDisplay P3に対応しているのに対し、Airは旧来の色域のみカバーします。これはすなわち、ディスプレイに出力される写真の色味や鮮やかさが異なることを意味します。
作業効率がストレス値を大きく左右する
Web開発・プログラミング

プログラミングをベースとするWeb開発を目的とするのであればCPU性能とメモリにウェイトを置いてモデルを選ぶべき。特にメモリは並行処理能力の指標ですから、複数のタブを開いて作業することの多いプログラミングでは必須のスペックになります。
XcodeやAndroid Studioといった代表的なIDE(統合開発環境)は一般にPCにかける負担が大きく、これに対応できるだけのCPU性能がなければ作業以前の問題になってしまいます。
趣味の範囲でのプログラミング、フロントエンドの諸作業、及び簡単なアプリ開発であれば機種を問わず快適な作業環境を構築できると思って良いでしょう。
エントリーモデルのMacBook Airでも大半のプログラミングソフトはスムーズに動きますし、Adobe系の諸アプリ(Photoshop、Illustrator、After Effects等)もシンプルな行程なら難なくこなします。ただしMacBook Air及びProの下位モデルについてはCPU・メモリ周りのカスタマイズ(オプションで上位グレードを選択すること)をお勧めします。体感の作業効率を左右するクロックについても2GHz前後かそれ以上を選択したいところです。
3Dモデルや仮想環境の開発を伴う作業がメインであればCPU・GPU性能で余裕のある16インチMacBook Pro一択になります。ただしハイスペックな16インチモデルには熱問題が伴うことをご承知おきください。またこれらの作業は十分なグラフィック性能がなければまともに動かないケースがあるため、必然的にグレードの高いGPUをオプションとして選択することになります。13インチモデルは独立GPUを積んでおらずカスタマイズも不能なので、3Dモデル・仮想環境の開発自体難しいかもしれません。
見た目よりスペックを優先!ストレージも妥協できない
動画編集
最もスペックを必要とする動画編集。動画制作の業務やYoutubeへの投稿などで定期的な動画編集を伴うのであれば、最低でもMacBook Pro(13インチ・15インチ)のCore i7、16GB以上は欲しいところです。
13インチでも動画編集はできる?
1080p 60fps程度の品質で、簡単なカット編集や追加テキストで構成される動画であれば、体感的にストレスのない作業ができると考えて良いでしょう。ただし処理性能には限界があり、例えば4Kレベルの高画質動画をPremiereで編集する場合、エンコードに莫大な時間がかかるほか、そもそも動画のプレビュー自体まともに動作しないこともしばしばです。
MacBook Pro 13インチと15インチのCPU性能比較(吊るしモデル)

モデル | CPU(ベース構成) |
MacBook Pro 16′ (2019) |
第9世代 Core i7-9750H 2.6GHz、6コア |
MacBook Pro 13′ (2020, 4ポート) |
第10世代 Core i5 2.0GHz、4コア |
MacBook Pro 13′ (2020, 2ポート) |
Apple M1 |
Max Techの試験データを元に作成。条件等でスコアは変動する可能性がある
After Effectsによる編集を伴う高度な動画制作は、Adobe公式サイトにもある通り最低でもメモリ(RAM)16GB以上が必須になります。実際は32GB以上なければ編集に支障が生じるケースもあるので、事実上メモリ32〜64GBのオプションを有する16インチMacBook Pro一択になります。
ストレージも妥協できません。動画ファイルはテキスト・画像ファイルに比べサイズが圧倒的に大きく、数分の動画でも多量のストレージを消費します。外部SSDを活用しても良いですが、データの保存場所を考えるのに脳のリソースを割いて肝心の動画制作に手が回らなくなることは避けねばなりません。効率を重視するなら、本体ストレージに余裕を持たせて必要時以外はMac本体で完結する作業環境が理想的です。価格的な限界を考慮すると、具体的にはSSD1TB、2TBあたりが選択肢になるでしょう。

画面サイズにも注目
動画編集の作業効率を大きく左右する要因の一つが、ディスプレイの大きさです。PremiereやFinal Cutによる動画制作は基本的に全画面編集になります。作業領域が広がるほど編集項目の表示量が増え、一画面でも複数のタスクを同時に実行できるようになるのです。16インチMacBook ProであればPC本体での作業も現実的に可能です(ただし作業効率はモニター接続時のそれに及ばないでしょう)。13インチモデルだと単体での作業が厳しいケースがあり(一概には言えませんが)外部モニターに接続しての作業が基本になると思われます。
ソフトだけで数百GBは持っていかれる
作曲・DTM
「クリエイターのMac」ですから、各方面の基本的な編集ソフトはOS標準で揃っています(動画制作ならiMovie、音楽制作ならGarageBand…etc.)。ただしMacで本格的にDTM・作曲を行うとなれば話は別です。まず基本となる編集ソフト(Appleはプロ向けに「Logic Pro X」というアプリをリリースしている)を用意し、その上で各種音源ソフトをダウンロードしなければなりません。
例えばLogic Pro Xの場合、最低でも6GB、オプションを含む全コンテンツのダウンロードには49GBの領域が必要になります。音源になると、一楽器でも数十GB、統合音源の類なら100GBを優に超えることも少なくありません。つまり必要な環境を揃えるだけで数百GB分のストレージが持っていかれる訳です。

アプリだけで2、300GB以上ストレージを占有されることも
このことを考慮すると、ストレージは1TBが安心、長期的に使うなら2TBなければ厳しいと思って良いでしょう。またソフト音源は重いものだと10GB以上のメモリを占有することがあるため、ベースモデルの8GBでは作業に支障が生じるか、耳障りなノイズに悩まされることになります。ゆえにメモリは最低でも16GBが必須と言わざるを得ません。
動画制作の場合と同様で、DTMソフトも画面サイズの大きさが有利に働く事例の一つといえます。作業効率にこだわるのであれば、16インチMacBook Proが有力な候補です。携帯性を重視するなら13インチMacBook Proに注目が移るでしょう。CPU性能やメモリを鑑みると、DTMにおけるMacBook Airは長期的に見て得策とは言い難いものがあります。
各MacBookの特徴を知る
ベースモデルは価格対性能のコスパが非常に高い
MacBook Pro 16インチ

15インチモデルの後継機にあたる本モデルは見た目こそ劇的な変化はないですが、ここ数年のアップデートが馬鹿らしくなるくらい「正統な」進化を遂げ、MacBook Pro本来のすがた、輝きを取り戻しています。
バランスの良いモデルだが各構造に問題を抱える
MacBook Pro 13インチ

全モデルTouchBarを搭載。現行ラインナップは、従来のIntelプロセッサを採用するモデルとM1モデルが併存しています。
価格よりもバッテリー持ちの良さに魅力がある
MacBook Air
11月発表の新モデルは、Apple謹製のM1チップを搭載し、性能が大幅に強化されました。
廃盤になったが性能は見劣りしない
MacBook 12インチ

僕はメインのMacBook Pro 13’(2018)を補完するサブ機として購入しました。
iPad×Mac
iPadとMacの2台運用でおすすめの組み合わせとは?

iPadをMacのサブディスプレイとして使える機能「Sidecar」の登場により、Mac×iPadの連携がより強化されました。そこで、携帯性を重視したMac・iPadの理想の組み合わせを考えてみます。
M1 MacBookについても書いて欲しいです!!
コメントありがとうございます!近日中に反映予定です!
macOSはLinuxベースではないと思いますよ…
修正しました。ご指摘ありがとうございますm(__)m